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2016年に結成15周年を迎えたORANGE RANGE。2003年のメジャーデビュー以来、数々のヒット曲をリリースしているのは周知の通り。現在は地元である沖縄を生活の拠点にしながらも、その活動の勢いは止まることなく、2017年11月1日に5曲入りEP盤「UNITY」をリリース。またリリース後からスタートした全24公演のホールツアー「ORANGE RANGE LIVE TOUR 017-018 ~UNITY~」が2018年2月まで継続中。そんなツアー中の合間を縫って、ギターのNAOTO氏がRock oNにご来店。NAOTO氏のご好意もあり、このタイミングを逃すことなくインタビューを実施しました。ORANGE RENGEのサウンドの核を担うNAOTO氏の機材好きな一面がお届けできるインタビューになっています!
iPhoneからスタートする作曲プロセス
Rock oN : NAOTOさんの曲作りは、どんな感じで始まるんですか?
NAOTO氏 : まずはiPhoneに思いついたメロディーを入れることが多いです。それを家に持ち帰り、録ったものを流しながらPro Tools付属のXpandを使ってシンプルなビートを作り、鍵盤を弾きながらコードをつけます。それが最初の過程です。DAWはPro Tools|HDXを使っています。
Rock oN : NAOTOさんはギタリストですが、鍵盤を使うんですね?
NAOTO氏 : そうです。ロックな曲を作る時以外は鍵盤でコードを打ち込んでいきます。早い時期からDAWを使っていたので、こういうスタイルになりました。シンプルな構成が好きなので、コードに関しては出来るだけ減らす方向で整理していき、同様にコードのボイシングに関してもできるだけ削る方向で詰めていきます。
Rock oN : NAOTOさんがシンプルな方向に向かうのは、UKギターロックが好きだからでしょうか?
NAOTO氏 : そうですね。大きな展開やお洒落なコードが入ってくるとJ-POP臭くなるというか、、、ちょっと好みと違ってきますね。
NAOTO氏が愛用する音源を紹介
Rock oN : では最初のスケッチを経て、音を詰めていく作業についてお伺いします。リズム系でよく使う音源はありますか?
NAOTO氏 : 生ドラムの曲じゃない場合は、膨大なドラムサンプルをストックしているので、AKAI MPC2000にロードして使います。今でもMPCの音が好きなんですよ。その他、Roland TR-909、TR-808、JOMOX KICK Maschineを鳴らすこともあります。アウトボードを通して音を作り込んでからPro Toolsに取り込みます。ソフトシンセは、最初のスケッチを作る時以外はほとんど使わないです。シンセベースに関しては、MOOGやProphet、Nord Leadを鳴らします。ベースもソフト音源じゃなく、ハードウェア音源がほとんどです。生ベースの場合は、メンバーが自宅スタジオに来てMANLEY SLAM!を通してラインレコーディングし、後でスタジオでリアンプします。でもミックス時に活かすのはラインだけの場合が多いです。リズムの音が決まると楽曲の方向性が結構見えてきますが、自分の好きな音について十分に分かってるので、そこに向かって追い込んでいく感じです。
Rock oN : では上物に話を移しましょう。ギターは何をお使いですか?
NAOTO氏 : メインはFender USAのストラトキャスターです。レスポールも持ってますので、曲に合わせて持ち変える感じです。家でラインレコーディングする時は、ベースと同じくMANLEY SLAM!を通します。SLAM!はハイがなまる感じで中低域がふくよかになり、音に太さを感じるので気に入っています。さらにインプットとアウトプットのゲインを調整すれば、真空管の特性が変わり、音作りの幅が出るんです。リアンプする場合ですが、キャビネットはVOXかマーシャルを持ち込み、マイクはROYERのリボンマイクを立てます。こだわりとして、プラグインではなく、コンパクトエフェクターを掛け録りすることですね。その方がかっこいい音が作れるので好きなんです。サーストン・ムーアやジョニー・グリーンウッド、J・マスシスといったオルタナ系のギタリストが好きです。
Rock oN : ピアノやシンセといった鍵盤系についてはどんな音源を使われますか?
NAOTO氏 : ピアノは生じゃなく、THE MAVERICK、THE GENTLEMEN、ALICIA’S Kといったソフト音源から曲に合うものを選ぶことがほとんどです。THE GENTLEMENのアップライトピアノの音が柔らかくて好きですね。シンセ系はハードシンセを使います。ドラムやギターもそうですけど、MIDIでちまちま打ち込むよりも、自分達で弾く方がぜんぜん早いし、音がすぐに馴染むんですよね。
Rock oN : ボーカルレコーディングで使うマイクを教えて下さい。
NAOTO氏 : ORANGE RANGEには歌うメンバーが3人いるんですが、以前はそれぞれマイクを変えてましたが、NEUMANN M149を導入してからは、それ1本に落ち着きました。NEUMANN U87と比べると、上が伸びてちょっとモダンなサウンドで気に入っています。以前はU67も使ってたんですが、結局、録った後で高中域~高域をEQでブーストしてたんですよ。だけどM149にしてからは、エキサイターで倍音を加えるだけで前に出てくるので、「もうこれでいいじゃん!」という感じになったんです。
ミックスも手がけるNAOTO氏。愛用プラグインは?
Rock oN : NAOTOさんはご自身でミックスもされるんですよね? プラグインはどういった製品を使いますか?
NAOTO氏 : Pro Tools付属のダイナミクス系は色が付くことなく、動作も軽いので好きです。また、WAVES H-EQはブースト、カット共に効きがいいのでよく使います。以前は、カット用にはR-EQやQ10、ブースト用にはPultecを使い分けていました。
Rock oN : 空間系はどうですか? 好きなプラグインはありますか?
NAOTO氏 : Native InstrumentsのLexicon 480系のリバーブでRC24、RC48をよく使います。リバーブは色々と使いましたが、最終的にこれに落ち着きました。アコギ、ストリングス、スネアなどの生系にはAltiverbを使うこともあります。ディレイは普通の使い方の場合はH-Delayを、エフェクティブなことするならSuper Tapを使います。
Rock oN : マスタートラックには何か挿しますか?
NAOTO氏 : いえ、僕はリズム、上物、歌の3つをバスで分けてステムにし、それぞれ軽くリミッティングする程度で、マスタートラックにはプラグインを挿さないんです。自分が求める音がわかっているので、各トラックの音をアウトボードでしっかり作り込み、後は並べるだけです。あえて、またマスターでコントロールする必要はないんです。
NAOTO氏から若いクリエーターへのアドバイス
Rock oN : 曲を作る時に気をつけていることはありますか?
NAOTO氏 : アレンジに関してはごちゃごちゃしないように、できるだけ音数を増やさなように注意しています。作業をやっていると、どんどんトラック数が増えていくんですよね。。。必要最低限になるように常に意識してます。
Rock oN : このサイトは若い世代のクリエーターも多く見てますので、アドバイスをもらえますか?
NAOTO氏 : 僕は死ぬほど曲を作るんですよ。ちょっと悪い言い方ですけど、数打ちゃ当たるっていう感じで(笑)。それが実になるというか勉強になるんです。1曲完成させるために10曲はボツにしてる感じですが、たくさん作ることがノウハウの蓄積につながると思いますので、できるだけ曲を作ってください!
NAOTO氏、2つの顔。ORANGE RANGEとdelofamilia。
Rock oN : 続いてORANGE RANGEの新しい作品についてお伺いします。2017年11月1日に発売された「UNITY」はEPというスタイルなんですね?
NAOTO氏 : そうです、EPというかミニアルバムという感じですが、これまでやったことがなかったので単純にやってみたかったんです。シングルでもよかったんですが、2016年はオリジナル作品としてのリリースがなかったので、シングルだとちょっと寂しいかなと思い、もう少し曲数を増やしてみようというところからこの形態にしました。サウンド的には、1つ前のアルバムがちょっとナローレンジな方向性だったので、今回は普通に聞きやすさを意識して作った作品です。収録5曲はバラエティーに富んでいて、いい意味でまとまりがないです(笑)。ORANGE RANGEが持つ、いろんなキャラクターが含まれているんじゃないかなと思います。
Rock oN : NAOTOさんはORANGE RANGEと別にご自身のプロジェクト、delofamiliaでも活動されてますね? こちらもNAOTOさんが作曲、アレンジ、ミックスと手がけてらっしゃいますが、ORANGE RANGEとの違いは?
NAOTO氏 : ORANGE RANGEはパブリックイメージもあるし、メンバーと一緒に今までやってきたことを土台にして、方向性を考えながら作ってます。一方、delofamiliaに関しては全く考えがなく、思いついたものを作っている感じです。もう1人のメンバーのRie fuはイギリスに住んでるので、彼女が自宅で録ったボーカルのファイルをネットで送ってもらいます。ORANGE RANGEとは全くの別物で、メロディーや歌詞という括りじゃなく、音像自体を聞いて欲しいですね。音数も少なく、リバーブの余韻、ボーカルの声の切れ目、ブレス、スネアの響きなどを含め、全体の雰囲気を感じて欲しいです。
記事内に掲載されている価格は 2018年1月19日 時点での価格となります。
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