音響機材でいうところの「コンプレッサー」は音量を制御するエフェクターです。
「音量を制御」といえばこの他にリミッターがありますが、機能的には同等では有りますがパラメータの調整範囲に差があり、目的や用途に応じてコンプレッサー・リミッターと定義されているに過ぎず、明確な線引きはありません。
あえて線引きをするとなると、コンプレッサーは音声レベルを平均化することを目的とし、リミッターはCDやAD/DAコンバータなどで許される最大レベル以上の音声ピークを制限する事を目的とすること。パラメーター的に特徴的なのはリミッターの方がアタック、リリースのタイムを短く設定できる傾向があります。
コンプレッサーの使用例
レコーディングの時、1曲の中でボーカルの音量が大きく変化したり、感情と共にマイクとの距離が前後したりすることによって録音レベルが大きく変わるという経験はどなたにでもあると思います。
この場合そのままミックスをしようと思っても回りのオケとの関係でエフェクトの掛かりがバラバラになったりボーカルが飛び出すぎたりと、埋もれてしまい非常にミックスがしづらくなります。そこでコンプレッサーを使用してレベルの変動を均一化する事によって、聴感レベルを上げ、オケに対してボーカルの距離感、存在感をはっきりさせる事が出来て、イメージしたポイントにボーカルを納めることができ、ミックスが非常にやりやすくなります。
もちろん、大きな差があるパートは、予めGAINを調整して平均化した上で使ったことがいいですよ。そうしないと、レベルの大きなパートはコンプレッションが強くかかりすぎ、小さいパートには少ししかかからないなんてことになります。この後、詳細の解説を行いますが、ある程度平均的にスレッショルドに掛かるように予め整えておくのも、コンプレッサーを利用するときの使いこなしではないでしょうか。
またアタックが鋭く、サスティンの短いキックやスネア等のパーカッションや、オケの芯となるベースなどでは減衰する音のレベルを相対的に大きく聞かせることが出来、サスティンが伸びたように聞かせることが出来ます。結果としてオケの重心を安定させ、空気感の調整や、ラウドなキャラクターを付加させたり、グルーブ感も調整させてあげる事が出来ます。
コンプレッサーのパラメーター
コンプレッサーとはある任意の入力レベルに対し、それを超えた入力レベルを一定の割合で圧縮します。
例えば、マイナス20dB以上の入力レベルに対し、出力レベルを4:1の圧縮比で圧縮するとします。
この場合マイナス20dBと設定された値をスレッショルド、圧縮費をレシオと呼びます。
このままでは出力レベルが低下するので、これを適正レベルにして出力しますが、小さな音とのレベル差を少なくし全体のレベルを平均化して上げるという事はノイズフロアがあがりSN比が悪くなる事になるので、収録の際のノイズレベルや適正なコンプ量を意識して活用する事が大事です。
コンプレッサーの設定でポイントとなるところは以下です。
日本語にすると『しきい値』となります。入力レベルがスレッショルド以上になるとコンプレッションがかかりますが、実際に効き始める迄はアタックタイムに追従します。
アタックタイムとレシオ、コンプレッションの目的によって最適な深さはそれぞれ異なります。
コンプレッションの割合を決定します。自然で緩やかなコンプレッションでは2:1,ボーカル等は3:1,ギターやドラム等にはもう少し高めで設定してあげると良い効果が得られる可能性が高いです。
もちろん決まりはないので、様々なレシオを試して最適な効果を追求してみてください
ギターやベースでアタックを潰さないで!といった解説は様々な参考書で見かけます。元の音のピークよりもアタックを遅する事で、ピークを強調することが出来、原音がより活き活きとします。逆に早くすると、アタックが潰れ音がつながって聞こえますのでたとえばサイドギターなどでは重厚な壁を作って上げる事も出来ます。
いずれにしろ、ピッキングのニュアンス(ピーク成分)を消してしまうほどアタックタイムを早くしてしまいますと、音がのっぺりしてしまいます。よほど狙わない限りは多少アタックを長めのタイムに設定したほうが経験的にいい結果が生まれます。
アタックタイムと同様に重要なのが対となるリリースタイム。これは音声信号がスレッショルド以下となってからコンプレッションが解除されるまでの時間を示します。
基本的にアタックタイムより長めに設定してあげますが、長くしすぎるとコンプレッションがかかったまま、次の大きなピークを迎えてしまうので全体のレベルが下がったままレベルが戻らなくなります。逆に短くし過ぎるとコンプレッションの効果がみ身につきレベルがフワフワと変動したりします。これをポンピングや、ダッキングと呼んだりもします。
※アタックタイムとリリースタイムで重要なのはスレッショルドレベルを超えてから選択したレシオの値に到達する時間を指すという事で、アタックタイムの間に全くコンプレッションがかかっていないわけではありません。リリースにしても同じです。このイメージを明確に持ってもらえればもっと手軽で簡単に適切な調整ができるようになります。
(搭載されていない機種もあります)スレッショルドがパラメータとして存在せずに固定の機種に用意されるパラメーターです。固定されたスレょるどに対して掛かり具合を調整するために入力信号を調整することが出来ます。アナログ機器では、大きすぎると瞬間的なピークで歪みが発生したり、逆に小さい場合はSN比が悪くなりますので適正なレベルになるよう調整しましょう。
コンプレッションで下がった信号を出力段で増幅させます。必要以上にアウトプットレベルをあげて単純なレベルの増幅をコンプの効果と錯覚しないように注意が必要です。
目から鱗の導入ノウハウ
★回路によりゲインリダクション方法とサウンドの違いについて
コンプレッサーは「ゲインセル」とも呼ばれるボリュームコントロールを行う要素がオーディオ信号の経路に挿入され信号レベルは常に計測され、その情報はゲインセルでのコントロールに使用されます。
そのゲインセルの機構の部分は、大きく分けてFET、真空管、オプティカル、VCA回路の4種類があり、「音量を制御」する目的としては同一ながら、その効果やニュアンスの違いによりレコーディングの世界では、これを使い分けます。音楽に携わる人間としてのいわゆるこだわりです。
オプティカルコンプとはLEDとその受光体であるフォトセルを組み合わせたフォトカプラーという素子を利用します。
入力された信号(電流)でLEDを光らせます。そうすると音の大小が光の大きさになります。フォトセル(cdsセンサー)がその光の大小によって電流を発生させます。わかりやすく言えば、フォトセルは太陽電池のようなものなので、光の強さを電力量に変換していると言えます。
反応速度が遅く、音量に対しての特性も精密にリニアなものではないが、それが逆にオプティカルコンプレッサーの音、味ともいえます。
スタジオによくある機材でいうとLA-2Aが代表的にあげられます。Avalon VT-737のコンプ段もこの形式ですね。
個人的に好きなコンプはTUBE-TECHのCL1Bです。CL1Bは出力段に真空管式のプッシュプルアンプを持っているので、独特な粘り感と倍音感を感じられます。
オプティカルコンプ→FETコンプの2段がけ(薄ーくピークを削っていきましょう!)も自然なニュアンスを保ったままレベルを平均化できるのでおすすめですよ。
[eStoreClipper1A mdin=’13324′ ]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’12583′ ]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’53’ ]GET[/eStoreClipper1A]FETとは電解効果トランジスタ(Field Effect Transistor)の略で、抵抗による電流の制御ではなく、入力された電圧によって電流を制御するタイプのものです。
代表的に挙げられるものはやはりUniversalAudioの1176です。レスポンスの早さ、コントロールのしやすさ、クリーンな質感が特徴です。
世の中のメーカーのFETコンプはこの1176をモデルにしたものも多くインプット段とアウトプット段のトランス等の回路によって独特な味付けができるため、ボーカル/ベース/ギターなど様々なソースに対してオールマイティに使用する事が出来ます。
PurpleのMC77のVPR版であるActionや、1176タイプのコンプレッサーに更に機能を付けたSlate Pro AudioのDragon等がこのFETコンプレッサーにあたります。感度も相当に高いので攻めのセッティングに使用できることと裏腹に、それぞれのセッティングに対し細心の注意を払う事も重要です。
[eStoreClipper1A mdin=’13322′ ]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’20356′ ]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’13419′ ]GET[/eStoreClipper1A]真空管コンプとして代表される1950年代初期に設計されたFairchild 660および670は、可変ミュー式リミッターです。 可変ミュー式の設計は、ゲインを動的に変更できる特殊な回路が採用されています。
非常に高いコントロールボルテージ(制御電圧)を増幅するシングル・プッシュ/プル・ステージを使用しています。このチューブリミッターがユニークなのは、真空管をアンプリファイアー(増幅器)にしようするのではなくゲインリダクションに使用する点ともいえます。
現在多くのコンプレッサーが真空管コンプと称されて販売されていますが、純粋に半導体を使用しない真空管コンプと呼べるものは今や、ManleyのStereo Variable Mu Limiter Compressorや670の回路を忠実に再現したともいえるADL660/670など数少ない希少な存在となっています。
[eStoreClipper1A mdin=’1290′ ]GET[/eStoreClipper1A]いわゆる一般的といわれるVCAコンプですが、簡単にいうと入力信号と出力信号の間に増幅器があり、通常この増幅器の回路の増幅率は一定ですがその増幅器に制御信号を送ってあげる事によって増幅率を変化させてあげる回路をVoltage Controlled Amplifier回路と呼びます。
イメージしやすいところでいうとミキサーのフェーダー。フェーダーの場合は手動で制御信号に加える電圧を変化させています。コンプの場合は自分自身の信号を制御信号線に加えるフィードバック回路が一般的で、制御信号が小さければ増幅率を大きく制御信号が大きければ増幅率を小さくしてあげればコンプの動作になります。
SSLのStereo Bus CompresserやDangerous MusicのDangerous Compressorなど、レスポンスの早い、クリーンで素直な出音が特徴です。
[eStoreClipper1A mdin=’26871′ ]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’32828′ ]GET[/eStoreClipper1A]記事内に掲載されている価格は 2014年7月9日 時点での価格となります。
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