昨今モニタースピーカーは、可聴周波数帯域をはるかに上回るツイーターや独立したサブウーファーを搭載した、ワイドレンジさをウリにした製品が増えてきていますが、一般ユーザーの全てが良い条件で音楽を聴けるわけではありません。ポータブルオーディオやテレビ、ノートパソコンのスピーカーなど、レンジの狭い再生環境で聴かれることも想定してミックスを仕上げることはプロの仕事では常識と言えるでしょう。その際にエンジニアがかかせないセカンドモニターとしてお勧めしたいのがこのAvantone Mixcubesです!
レンジの狭い再生環境を想定したミックス/マスタリングで最も重要になるのは、ボーカル、ピアノ、ギターがいる「中域」です。ここにフォーカスをあて正確にモニタリングするためには、クロスオーバー回路によって複数のスピーカーユニットで音を再生する2Way以上のスピーカーよりも、1つのスピーカーユニットで音源全てを鳴らしきるフルレンジスピーカーが理想とされます。
これまでこの役を担っていたのはAuratone 5C Sound Cubeでしたが、これは1970年代後半から80年代にかけて生産されていた製品なので、既存ユーザーはスピーカーユニットの劣化に耐えてメンテナンス費用をかけながら使い続けるしかなく、新規で導入するとしても新品は存在しないため、状態の良い中古製品を血眼で探すしかありませんでした。そこで「現代にマッチした形で蘇ったAuratone 5C Sound Cube」としてデビューしたのがこのAvantone Mixcubesです。
MixcubesはActiveタイプとPassiveタイプの2つのラインナップが用意されています。ポップでかわいいルックスとは裏腹、細部まで非常にこだわって作られていて、スピーカーユニットは、ニュージーランドの最高級パルプと樹脂雲母を用いた紙製コーン、密度が均一という理由で選ばれた日本製のスピーカー・クロス、ドライバーのプレートとヨークは住友製1008低炭素鋼、マグネットは43オンスのY- 40 GRADE(ホスピタルの上を行くミリタリーグレード!)が使用されています。
続いてキャビネットは、Auratoneが1/2インチ合板だったのに対しMixcubesは共振特性に優れた重量級のMDFが採用されていて、完全防磁仕様になっています。これらの仕様を見ても、MixcubesはAuratone 5C Sound Cubeの思想を受け継ぎながらも完全なオリジナル製品として開発されたことが分かります。(マイクスタンドに直接取り付けられるようにネジ径5/8インチの穴が開いているのが便利!)
先述したように、Mixcubesは定位感に優れた高解像度のリファレンスモニタースピーカーです。ワイドレンジな通常のモニタースピーカーをメインとして使いながら、セカンドモニターとしてMixcubesを使うことで、お互いを補い合う形で理想的なモニタリング環境を構築します。
またプロフェッショナル仕様のモニタースピーカーながら手軽な価格なので、ネット配信などを積極的に行っているアマチュアミュージシャンにもお勧めです。このMixcubesをきっかけとして、プロユースに限らず、小規模な自宅スタジオにもセカンドモニターを置く事が当たり前になってくるかもしれませんね。これから要注目の製品です!
記事内に掲載されている価格は 2012年6月22日 時点での価格となります。
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