2018年で創立40周年を迎えるGENELECの日本法人 ジェネレックジャパンが2017年7月7日に設立しました。その公式発表の場としてフィンランド大使館にて設立レセプションが開催され、本国からキーマンが来日。さらに新製品THE ONESシリーズがお披露目となるなど、これからのGENELECの活躍がうかがえる大きなイベントとなりました。
「地球環境への配慮も視野に入れたサスティナビリティー、音響的な最新技術、生産面での最新技術、インダストリアルデザイン、そしてデジタル化したテクノロジーをひとつにパッケージにまとめたGENELEC。クリーンなビジネスを目指します。」
村井 幹司 氏(ジェネレックジャパン 代表取締役)
「将来に向けて今回提示する製品は、将来に向けてのコンセプトの一つになるかと思います。単なる新製品ではなく将来に向けてモニタリングの次世代がどういったものになるかを形にしたものと思っていただければ幸いです。従来のGENELECが長年培ってきた技術とデジタルテクノロジーを組み合わせるというこの方向性は、今後も突き進めていくものと思いますし、我々だけでなく業界全体がそうなっていくと思います。」
Siamak Naghaian氏 (GENELEC Managing Director)
先日逝去した創業者Ilpo Martikainen氏のご子息 Juho Martikainen氏による挨拶。音楽家としての活躍もあり、ジェネレックジャパンの株主でもあるということ。
THE ONESシリーズ 8331 / 8341 / 8351A
すでに発売されている8351Aを含むコンパクト3WAYスピーカーラインナップがGENELECのTHE ONEシリーズです。このたび新たに8331と8341が登場しました。
あらためておさらいすると、THE ONESシリーズはコアキシャルの2WAYと、上下のスリット奥に隠れているウーファーを合わせた3WAY。特殊な設計により3WAYながらコンパクト化に成功し、さらにMID-TWEETERはコアキシャルのため点音源としてモニタリングが可能。さらにGENELECの独自技術であるルームアコースティック補正機能SAMシステムを搭載。
←8351Aについて。SAMシステムについて詳しく知るにはこちら
GENELECが提唱する新しいモニタースピーカーの特徴について、Chief Technologist Thomas Lund 氏が語ってくれました。
3WAYの利点
「2WAYと比べて3WAYのシステムには幾つかの利点があります。それはドライバー部分を担当する周波数の帯域が狭いので、よりリニアなレスポンスがドライバーに得られるということです。しかし同時に幾つかの難しい困難もあります。より多くのドライバーが同じ面積のフロントバックになるため、実現が難しいということです。それでもなぜ3WAYを選んだのか、お見せしましょう。」
「左側が2WAY、右側が3WAYのレスポンスです。青い線はマルチトーンの信号で、黒はインターモジュレーションのディストーションをかけたものを示しています。この例であれば、3WAYは高い音に対するインターモジュレーションのディストーションが極めて低くなっています。」
なぜ同軸なのか?
「これは伝統的なスピーカーを縦に並べて聞いている画像です。リスニングポイントが上下に移動した場合、周波数特性がクロスオーバー周波数よって異なる場合を示してます。
実際にこのような上下移動をすることはまずないと思いますが、スピーカーは3次元に音を放射しています。音を空間に出して残響と共に耳に到達するため、残響音が中立的でなければクリーンには聴こえません。スピーカーを同軸にすることによって、こういった希薄的な変化を避けることができます。」
「これは音の放射の「軸外」「軸内」の両方がクリーンになる可能性があるものを示唆したものです。この特徴こそが同軸のコンパクトなモニタースピーカーを作るきっかけとなったものです。他にいくつかの利点もあります。」
「一つは耳とスピーカーの間の距離を縮めることができます。伝統的なスピーカーだと配置される場合、近づける度合いに限度がありましたが、同軸の3WAYだとすべての音は空間上一つの点から放射されるため、これまでよりスピーカーに近づくことができ、レイアウトに大きな自由度を持つことができます。」
「スピーカーに近づくことでより多くの直接音を聴くことができ、部屋の影響を最小化することが可能になります。」
THE ONESの内部構造
「外側だけでなく、中も見てもらいましょう。
まず中央にミッドとツィーターが一体化されたものがあり、その上下にウーファーが厳密に計算された距離で配置してあります。
1つ問題がありました。フロントバッフル全体を指向性の制御に使用したかったのです。これは形状を自由に設計できれば実現可能です、そのためにはウーファーを取り除きミッドレンジもなんとかしないといけません。これは新しい発明が必要でした。そこでウーファーを取り除いて隠すという選択をしまして、フロントバッフルの後ろにウーファーを配置したのです。
また同軸のスピーカーのミッドレンジドライバーは新しくデザインされてます。8351A、8341、8331とそれぞれ外観が違うのがわかるかと思います。そしてこのデザインによって縦置き、横置き両方が可能になりました。また2つウーファーを使うことで指向性の制御が低い周波数まで行えるようになりました。
アナログ入力にAES/EBU両方に対応しています。スマートアクティブモニタリングのコンセプトも導入されておりますし、リスニングを行う部屋に合わせてアラインメントを取ることが可能です。」
THE ONESの利点
発表後に行われたTHE ONESの視聴会。メディアやエンジニアなど多くの関係者が集い、GENELECの提唱する新しいモニタースピーカーのサウンドに関心を寄せていました。
THE ONESシリーズ、最大の8351Aは発売中ですが、8331、8341の発売時期や価格は未定。近日発表されるとのこと。小規模スタジオでも導入でき至近距離でのモニタリングによりルームアコースティックの影響は最小。日本のスタジオ事情を狙ったかのような特性を持つTHE ONESシリーズの発売が待ち遠しいですね。
株式会社ジェネレックジャパン
https://www.genelec.jp/
記事内に掲載されている価格は 2017年8月22日 時点での価格となります。
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