皆さんこんにちは。PD安田です。遂にSpectrasonicsから期待のキーボード音源 「Keyscape」が発売となりましたね!
突然ですが、ピアノは楽曲に使用される楽器の中でも必須とも言える重要な存在で、RolandのシンセサイザーJupiter-50やYAMAHA MOTIFを始め、ステージピアノも各メーカーのモデルが存在し、さらにソフト音源も非常に豊富なメーカーと収録されている、またはモデリングされているブランドがラインナップされています。PD安田はピアノだけは豊富なネタがあった方がインスピレーションも湧くので、セッションテンプレートに常に6-7個は立ち上げて使用しています。
しかし新しい音源が出てくると、実際どうなのか!?ときになるところ。同じ楽曲でMIDIをそのまま差し替えた状態で他の音源と比較できるなんて、気軽にできる機会もないかと思いますので、この機会に、PD安田が自分の為は人の為をモットーに、ピアノ音源をまとめました!
早速ですがSoundcloudにて視聴用のデモ曲を用意しましたので、是非参考に聞いていただければと思います。なおこれらの音源はRock oN渋谷店Acoustic SiteにてMIDIデータおよび、設備の整ったリファレンス環境でしっかり比較視聴することも可能です。もちろん実際に弾いてみて鍵盤がどう踊り出すのかも体感していただければと思います。
【制作時の補足事項】
今回は各メーカーの顔とも言える音源の一番冒頭に立ち上がる音色をピックアップしています。またそれぞれ比較しやすく、できるだけドライなサウンドにするべくReverbなどのエフェクトはOFFの設定にて素材を用意しました。ということで!できる限り試せたピアノ音源の比較をアップしましたので、まずは一度試聴いただければと思います!
Spectrasonic「Keyscape」
Omnisphereでお馴染みのSpectrasonicsからピアノ音源「Keyscape」!もっとも注目な音源かと思いますが、まず鳴らしてみて驚くのが音の太さが圧倒的に分厚い!が感じ取れるかと思います。そして面白いことに、それぞれの粒が細かく聞こえてくるので、まさに楽曲ベースの曲にぴったしな音源となっています。今回はデフォルトの状態でエフェクトなどは無しの状態に変更していますが、Keyscapeのインターフェース上にてCompやTAPEのタブから調整することによって歪んだような音作りから、さらに分厚い鉄板のようなサウンドもエディット可能です。
そして、当たり前?のSpectrasonicsならではのユニークな機能として、「Omnisphere」のエンジンでKeyscapeの音源を読み込むことができます。当然Omnisphere上のエンベロープや、えぐいエフェクトをインサートすることもできるので。あのCompのはち切れんばかりのパンチ感も演出可能です。うむ!迫力満点です。
ただ、比較してわかる通りピアノの低い鍵盤の所の混ざり方としては、ガキン!とした感がないので、ちょっとピアノ弾きにしてはやや物足りなさを感じるかもしれません。また、鍵盤から手を離した時のリリース感がドライすぎるので、MIDI差し替えの際はちょっと伸ばし目にしたほうがいいかもです。しかし、Keyscapeはピアノのクオリティーだけではなく、今回紹介出来なかったエレピやアップライトなどもSpectrasonicならではの存在感ある豊富なネタが入っているので、一つのシンセ的な存在として重宝すること間違いないでしょう!
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Modartt「Pianoteq 5」
さてPD安田のお気に入りPianoteqです。Pianoteq最大のメリットはやはり「動作が軽い!」所かと思います。そして鍵盤の低音部分がハッキリとした「ガキン」感があるので、アクセントでガツンなネタを入れるにはこれがたまらないです。さらにPianoteqのユニークなポイントとして、鍵盤のマイクポジションもシミュレート可能なので、遠目の音、近めの音などの自由度高い音色作りも可能です。そして、Pianoteq内部にもEFFECTのパラメーターがあるので、Compを入れたりEQを設定したり、またリバーブの設定も細かく調整も可能です!他の音源と比較してもわかる通り非常にはっきりとした音色が特徴的なので、Wavesなどのコンプのノリも非常にいい感じになります。なのでダンス系で、ガツガツしたピアノサウンドが欲しいと思う方はPianoteqをお勧めします!今回はReverbはデフォルトでONになっていたので、OFFに変更しています。
ガッツリとハッキリなサウンドなので、他の音源の良い所?の様なモッタリ感がないので、コーンとしたJAZZっぽいのには少々目立ちすぎてしまうかもしれません。それでも、これだけのハッキリさがあればPOPSなどちょっとピアノ主張目の楽曲には重宝できると思います。
なお、エレピやハープシコード系の音源もレパートリーとしてラインナップがされていますが、別途オプションにて購入する必要があるので、まず購入したてはピアノがメインの音源となります。けれども豊富なエレピ素材などなど、どれを選んでも動作が軽く気軽に使えて且つハッキリと歯切れのいいサウンドが得られますので、これも是非持っておきたいピアノ音源です!
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East West「Piano」
えー、泣く子も黙るEast Westのピアノ音源です。実際に収録されたサンプルデータをPLAYエンジンにより生のサウンドがMIDIにて演奏することが可能になっています。なかなかの量のデータが入っているので、一度の読み込みにやや時間はかかるのはしょうがないですが、生系のサウンドが欲しい…と思う方はEast Westが是非お勧めしたい所です。今回の収録音源はYAMAHA C7のサンプルと、おまけでSteinwayの音色も加えて、なぜかEast Westを贔屓している2本立てにしています。なお、できるだけドライなサウンドにする為「Close」のサンプルのみを使用しています。
East Westの特徴としては、奥行きの響きが物凄くリアルに且つ、まるでホールで聞こえてくるサウンドが演出可能で、私の作成した音源の冒頭ソロ終わりのペダルの余韻部分を確認すると、かなり良い感じのスーとしたニュアンスが感じ取れます。そしてSteinwayの音色に関して、高域のあるポイントでピッチの共鳴が収音されています。とにかく空気感満載の音源なので、また一つのレパートリーとして持っておきたい所です。
一つだけ使用勝手に関してですが、この空気感満載なのは決して悪くは無いのですが、ちょっとロックでギターなどバリバリに入っている楽曲においては、リバーブ感がやや邪魔になるかと思います。一応、PLAYエンジンの方でエンベロープ側の方でリリースを若干カットできるので、多少短めに設定するやり方も悪く無いでしょう。とにかく生系の良い感じのサウンドなので、EQでハイパス、ローパスをやってラジオサウンドっぽいサウンド演出や、軽く歪ませて使うと、激しい主張もなく溶け込んでくれるので、自身のオリジナルサウンドエフェクト的な面白い使い方を発明してみてください。
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Synthogy Ivory II American Concert D
生系のサンプル素材を中心に、共鳴感に関してはモデリング技術が搭載されているハイブリッドな音源「Ivory」!今回はピアノのラインナップも幾つかあるうち、American Concert Dを選択しました。理由は…店頭で立ち上げると一番上に来てたからではなく、非常に上品なドライさを持っていて、とにかく弦と弦のコードを弾いての響き方が心地よいので、この音色を選択しました。実際にデモソングを聞いてわかる通り、冒頭のソロから、アンサンブルの出だしの合わせの混ざり、そして高域に転がっていくときに端切れとごちゃごちゃしない感じは素晴らしいです。
ここでピアノ音源の比較するにあたり試聴するポイントも兼ねてIvoryの特徴ですが「低域鍵盤の位置」「高域鍵盤の位置」、実はこの立ち位置は非常に音源としても最終的にどう位置付けをするのか(88鍵盤分)非常に悩ましい且つ、コードを弾いてもごちゃごちゃさせない為にも難しいところです。Ivoryは聞いてハッとしますが、無理なく左右全体に混ざっていて、ちゃんと中域の和音の時もべちゃーってしないのがユニークと言いますが「凄い」所になります。全体を通しても偏りもなく、そのまま混ぜても問題ない音源なのが改めて確認できました。ロード時間は多多少かかりますが、それでもまだ軽い方かと思います。
デメリット?は無いんですが、デフォルトでこれだけ完成してしまっているのであとは凄いえぐい感じのiZotope TRASH2でバリバリディストーションかけて、ん?ギター?…あピアノ!的な海苔のようなサウンドエフェクトで使ってみると面白いと思います。いやいや、どの音源もディストーションかけてしまえば同じじゃないか…?と突っ込みたいと思っているかもしれませんが、残響部分も歪みに影響してくるので、Ivoryぐらいがなかなかバランス良く歪んでくれます。是非試してみてください。
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TOONTRAK「EZKEYS」
軽くてお値段もお手頃価格!TOONTRACK「EZKEYS」の登場です。まずこの音源の特徴はピアノがちょっと苦手な方でも「弾いたコードが表示される」機能が付いています。(Logic使いの方なら良く知っている機能ですね)そしてパターン集も豊富に入っており、そのまま他のMIDIをドラグ&ドロップで他のソフト音源に貼り付けて代用することもできます。まさに製品名の名の通りEZ(Easy)な音源ですね。ただ一つこの音源のデメリットとしては、そこまで複雑なカスタマイズ要素はない所なので、ピアノのこの感じをこうして…ができませんが、それでもパッと使いたい方には持って来いの音源であることは間違いなしです。
EZKEYSはスタンダードのGRAND PIANOの他にUPRIGHT、MELLOTOONなどなど鍵盤系の楽器のラインナップは豊富に用意されています。Pianoteqと悩ましいのですが、軽くて使い易い音源は一つでもあると便利なので、是非EZKeysもチェックしていただければと思います。
余談ではありますがPD安田のやり方として、必ずコード、メロディ、その他の要素用に必ずピアノ音源を立ち上げておきます。いわゆるスケッチ用に用意しているトラックなわけですが、仮に作曲の途中でこういう要素を加えたら…など思った時に、下書きの用に足してみたり、または元のトラックのノートを削ったりして作業をしています。今回のデモソングもEZKEYSとPianoteqを主体に構築し、そこからMIDIを複製し、他の音源と差し替えてアップロードしています。このような使い方もオススメです。
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Native Instruments 「Alicia Keys」
NI KOMPLETEと言えばこの音源!「Alicia Keys」です。とにかくドライなニュアンスのサウンドが全体で聞いて取れるかと思います。遠くに響き過ぎず、どことなくバーに行った時のピアノの響きがする感じなのが素晴らしいです。Alicia Keysは音源として発表されたのが確かKOMPLETE 8の頃(昔も今もULTIMATEのみに内蔵)でしたが、今聞いても使いやすい音源でした。そして面白いことに、そんなにライブラリの読み込み容量も多くはないので、立ち上げによる動作もスパっと終わってしまうのもポイントかと思います。
サウンドに関してですが、コードの混ざり方としてもっとも纏まりがあるのが分かります。ごちゃっとせず、歯切れも良くPOPSとか他の楽器に混ざっても空気の読めるピアノが演出できそうです。軽快な高域の転がり、聴こえやすい中域の和音を意識しながら比較してみてください。
しかし、これまでの音源とは違い音色のレパートリとしてはAlicia Keysのサウンド…のみなので(当然ですが…)、希望としてはKOMPLETEにこういう系のサウンドをもっと増やして欲しい!と思う所です。なおこの音源はYamaha C3 Neoグランド・ピアノからサンプリング収録されており、彼女の”本物”のサウンドが手に入るという、贅沢な音源となっています。この音源をGETするためには単品でNIストアから購入するか、あるいはKOMPLETE 11 ULTIMATEを購入する必要がありますので、気になる方はチェックしてください。
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GARRITAN CFX CONCERT GRAND
生系のピアノ音源の注目音源、GARRITAN CFX CONCERT GRAND!ですが、特徴としては非常に生々しいサウンドを奏でられる…といった所ですが、それよりも一度の読み込みするライブラリの数が膨大なのが気になります。きっとこの音源を使用するときはSSDにはしておくのがベストかと思いますが、待っただけの価値はあります!実際の演奏における動作自体はそこまで重くはないので、使い勝手的には頗る好調に使えます。今回デモでの設定状況に関してですが、CFX CONCERT GRANDの場合、2種類のポジションによるサンプルに加えて、マイクのレパートリーとして3種類のサンプルが用意されております。とにかく本物の「残響」をとことん追求できるサウンドが確認できます。
他にもこの音源のユニークなポイントとしてリバーブの種類も豊富に加えて、AMBの設定で「オーディエンスなのかパフォーマーなのか」でステレオのイメージを変更することができます。なお今回は悩んだ結果、デフォルトをキープする意味で、オーディエンス側の方でイメージをしております。ただ、AMBIENTのミキサー側でMUTEをONにしているので、CLOSE MICのみにて書き出しております。
今回、全体の音源をできるだけドライ目に…を統一事項として進めましたが、このGARRITAN CFX CONCERT GRANDはそもそも残響や空気感が売りなので、冒頭のピアノソロで是非その感触を確かめていただければと思います。やや低音弦が右側に位置されているのが気になりますが、ハッキリしていて濁ら無いサウンドは非常に素晴らしいクオリティーを誇ります。
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記事内に掲載されている価格は 2016年9月21日 時点での価格となります。
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