ギターシンセサイザー技術を牽引するBOSSブランドから発表された「SY-300」を試奏してきました。
BOSS/Rolandと言えばギターエフェクター業界でもメジャーなブランドですが、1977年世界で初めて「GR-500」というギターシンセを開発したメーカーでもあります。その3年後の1980年にはPat Methenyが使用したことで有名なポリフォニックモデル「GR-300」を開発し、その12年後の1992年には着脱が可能なGKピックアップを開発しています。
それから23年たった今、ついに一般的なエフェクターのようにシールドケーブルを結線するのみでポリフォニック演奏が可能な「SY-300」が開発されました。
このSY-300で画期的な点は従来の「ピッチ検出」といった方法ではなく、新しい技術によってシンセサイズしている点にあります。詳しい技術はブラックボックスの中ですが、試奏したイメージでは細かい周波数帯ごとに音量を基準としてシンセサイズする「無段階検出」のように見受けられました。つまり、ギターの倍音構成によってシンセサウンドが変化するため、従来のピッチ検出方式にはないギターやピックアップ位置の変更による音色の変化があり、さらに表情豊かなパフォーマンスが出来るようになっています。
音色はオシレーターが3つ、フィルター・VCAとシンセサイザーの機能を踏襲。またステップシーケンス可能なピッチコントロール機能を搭載しています。例えば、オシレーター1はサブオシレーターを使用してベースのようなサウンド、オシレーター2にステップシーケンスピッチコントロールを設定することにより単音を弾けば擬似アンサンブルができるような設定にすることも可能です。また、ギターガジェットとしての機能としてオーバードライブ・ディストーション、コーラス、ディレイ、リバーブ等のエフェクトも搭載しています。
操作は本体にエフェクトON/OFFスイッチと様々な機能やパラメーターに対してアサイン可能なコントロールスイッチを3つ、さらにアクセサリーでコントロールスイッチを2つかエクスプレッションペダルを追加することができ、単なるプリセットチェンジのみならず演奏中にも積極的に音色を変化させることができるような構成になっています。背面には先ほどのスイッチ拡張端子の他に、エフェクトセンド・リターンのための「Thru(バッファード)」「Return」端子、出力には「MainOut L/R」「SubOut L/R」、その他にMIDIとUSB端子が設けられています。ポイントは出力もまた柔軟な設定が可能な点で、それぞれにドライ/ウェットを割り当てるだけでなく、オシレーター3の出力のみサブアウトに出力といった柔軟なルーティング設定が可能です。
他にも柔軟なルーティング機能を利用した偶発的にサウンドを発見するためのBlend機能、音程によってオシレーターを変えるスぷりっとのような機能を搭載するなど使い応えのあるギターシンセサイザーとなっています。
実際に試奏してみて、一番の特徴である新しいシンセサイズ方式によるゼロレイテンシーとデバイデットビックアップ無しでギターシンセが出るというのは非常に新鮮に感じました。倍音成分の少ないフロントピックアップは従来のギターシンセらしいサウンド、倍音成分の多いリアピックアップは豪華なシンセサウンドとなり、トーンコントロールや奏法によっても微妙に異なったサウンドを出力してくれます。
ポリフォニック演奏に関してはアルペジオでは良いものの、勢いの良いコード弾きフレーズになってしまうと和音感の薄いコードになってしまったり、トップノートの音が強く出てしまうような印象でした。単音での演奏ではチョーキングやスライドといったピッチ変化には違和感なく追従し、ピッキングでのニュアンス付けもできるまさにエフェクター感覚。音作りもサウンドの変化幅や自由度が非常に高く、ゲームをやりこむような感覚で非常におもしろい機材だと感じました!
青を基調とした筐体、モデル名の”300”からGR-300をリスペクトした本製品。ギターシンセサイザーの新世代を開拓する名器となりそうですね。
Writer ジャングル 林
記事内に掲載されている価格は 2015年4月27日 時点での価格となります。
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