新製品香る春が到来!NAMM 2018の潮流を捉えたトレンドから時を超えるロングセラーまで。皆様に満足していただくためにアドバイザー厳選プロダクトを紹介するBuyer’s Guideがスタートしました!
第一回目は競合モデルひしめく一番人気のモニタースピーカー編!
Column
昨年を振り返ると、アクティブモデルではダブルパッシブラジエーターなど自社生産ユニットを生かしたフランスFocal社のSHAPEや、国産レジェンドモデルの系譜を担う後継機 FOSTEX NF01Rなどが話題を呼びました。
そして長年にわたるアクティブモニター全盛の中、いま新鮮さを持って受け入れられているパッシブモニターも見逃せません。アンプの性能が大きく左右するこの市場ではAmphionなどの台頭も顕著でした。
さらに接続性においてはネットワークへの動きも見逃せません。モニターコントローラーのDante対応だけでなくHeddのように接続方式をモジュール構造にしたメーカーも注目です。
さあ、ここからはベストモニターと共に相性抜群の必携アクセサリーもご紹介しますので、これからモニター導入もしくは一新したいという方は必見!!
BUYER’S GUIDE
一聴して驚きました! クラスを超えた躍動感と低域再現性を持ちながら、Focal譲りのバランスの良さを失ってないんですよね。この価格帯においては驚異的な高水準モニターと言えます。
ミックスが思わず楽しくなるような躍動感は外観からもひときわ目を引くダブルパッシブラジエーターの賜物。CMSやSolo6のような全帯域バランスを損なわないのは、コンポーネントベースにおいて理想的なパーツ自体を作成するR&Dセクションを会社に併設しているからです。
欲しい形状や素材から理想の特性を追求できることは10万円以下のみをターゲットとした製品開発では中々受けられない恩恵ですよ! 予算ギリのチョイスですいません!
ここまでいけるのか! ディケイまで見渡すような豊かな低域再現性は同クラスの他社モニターを引き離して圧倒的なトップ! 元ADAM AUDIO創設者の一人であるクラウス氏は同社が現行のデジタルアンプに舵を切るタイミングで、アナログ回路へのこだわりから袂を分かちHEDD AUDIO社を設立しました。
このアナログ回路設計が実に秀逸で、高域再現性は過去にあった耳に刺さるようなトランジェントを抑え、それでいて遅さを感じさせないバランスの良さ。そして圧倒的に強化された豊かな低域はダンスキックの量感/質感まで手に取るように見えます。そして何より強調したいのが、『聞いていてシンプルに気持ち良い』。モニター然としたフラットバランスやトランジェントの鋭さを抑えつつも、モニターとして極めて高い水準で成立しています。
HEDDの特徴の一つに出力端子がモジュール式で将来の拡張性も発表していたのですが、Dante以外のモジュールは突如生産終了を発表、クラウスさんは本当に割り切りの言い職人気質な方です。
10万円以下編でも紹介したFocal社の2016、2017ベストセラーハイエンドモニターと言えばコレでしょう『Solo6 Be』!
スタジオの格をあげるソリッドウッド、そして同社の特許技術である極めて硬度の高いベリリウムを使用したリバースドーム整形による40kHzの高域再現性。ストリングスなどアコースティック素材のダイナミクスをここまで微細に描き切るモニターは40万円以下でも希少です。先述のHEDDは低域のキャラクターが特徴的でしたが、こちらは全体的なバランスがフラットでオールジャンルに適応できるモニターと言えます。
Focal創設者の父が所有していた会社のR&Dセクションと協力し、欲しい特性が出せないなら作るという発想から実現したベリリウムツイーター。特許技術だけあってパーツ修理代もしますので、お子さんのタッチは厳禁です。
ハイエンドモニタースピーカーmusikelectronic geithain RLシリーズの最小モデルRL906。同軸設計のスピーカー構造により、モニタースピーカーの理想である「点音源」に極めて近い状態のリスニングを可能にします。最適な設置環境では定位感、空間の再現性が極めて高いサウンドを実現。
サウンドの傾向は最近よくあるハイスペックを音にしたようなタイトなサウンドではなく、柔らかさを感じる大人なサウンド。ボーカルやアコースティック系サウンドとは抜群に相性が良いですが、過度な低音、パワフルさを求めるのでなければ、打ち込み系ポップス、ダンスミュージックでもバランスよく鳴ります。小音量でのバランス良さもさすが。コンパクトモニターの最高峰の1台です。
パワードモニターの歴史とも言えるGENELEC社8030の3代目モデル。アンプがDクラスアンプに変更になったことにより、”A”、”B”のモデルで若干感じたモッサリ感が軽減されつつ、GENELECならではのパワフルで密度の濃いサウンドを実現しています。
音像は他メーカーのスピーカーよりも若干狭いですが、広がり過ぎず適度な空間なのでミックスしやすいのではないでしょうか。パワフルなサウンドからロック、ヒップホップ、ダンスミュージックにはもちろん向いていますが、クラシックやジャズ、アコースティック系などあらゆるジャンルをバランスよく鳴らすのはさすがパワードモニターのパイオニア。まさにスタジオの定番モニターです。
コンデンサーマイクの定番中の定番『U87Ai』で知られるノイマン社初のスタジオ・モニター。周波数特性などのスペック重視ではなく、解像度、忠実性、バランス、パワフルなどがバランスよくまとまっており、最大の魅力はサウンドが”音楽的”であることでしょう。
アンプはウーファー/ツィーター共に80Wと余裕のパワーですが、小音量でもバランスが崩れないのも魅力。ボーカル、アコースティックものから、ダンスミュージックなど様々なタイプのサウンドをしっかりとモニターできます。”音楽的”なサウンドなのでリスニング用途でも楽しく聴けるのも良いですね。周波数特性の表記は±3dB表記でメーカーの真面目さが伝わり信頼感があります。
フィンランド発の自然な再生が特徴のAmphion。このアクティブ全盛期の時代にあえてすべてのモデルがパッシブという力の入れようです。音は無理なく無駄なく自然。低域の量感はアクティブやバスレフ構造の物に比べると物足りなさはありますが、そう思う方はアクティブの音質に慣れすぎてしまっているのではないでしょうか?
そういった環境下で作業をしていると実際の納品時に、別環境での再生で地味な音になっていた事が発覚することがあります。その点でAmphionはすべてのモデルで過度な誇張がありません。音を捉える事ができる解像度と明瞭度を持ち、立ち上がりも良いスピーカーです。アンプも(ほぼ指定)のmono100との組み合わがベストマッチ。
スピーカーケーブルまで合わせると、よりAmphion社の自然な意図がわかります。一聴すると地味ですが、EQ、Compや音量バランスのコントロールをする事で、その結果がはっきりとわかる、ある意味で調整機機のような部分も持っています。
レコーディングエンジニアの定番機。こちらも原音忠実な傾向で、長年使われている方がいるのも納得の低域~高域にかけての再生能力を持っています。色付けがなく透明度が高い、フラットな特性。ただ良く聞こえるだけではなく、適度な分離感で個々の音の良し悪しがそのまま聞こえる、仕事で使うべきスピーカーです。
低域に関しても、30Hzまで再生可能な特殊なユニットになっていて、パワーのあるアンプなら低域も見れるのは大きなメリットではないでしょうか。音の輪郭など、クオリティの高さで印象も良く、そこまで地味な印象もないので、パッシブらしさも過ぎない、定番の良さを持つスピーカーです。
スタジオスピーカーとしてのJBLの新ライン。アクティブは未発売ですがパッシブに関しては既に販売がされ、導入も進んでいます。
音はフラグシップ機”M2”の技術を投入した39Hz~36kHzまでを再生できるレンジの広さは出音にそのまま反映されています。音の立体感もあり、奥行きまで見通せる描写の良さも特徴的です。スイートポイントも広く、空間を鳴らす事もできるので、スタジオ設置としても抜群の良さ。
アクティブで搭載されているAmcronのデジタルアンプとの組み合わせでは特性のコントロールも可能なので、部屋鳴りにもきっちり合わせられ、音の立ち上がりや粒の揃い方も心地が良いのポイントが高いです。上記2機に比べると音楽的な部分も持っており、音を楽しむ方にもオススメできるスピーカーです。
モニターコントローラー
スタンド
卓上スタンド/インシュレータ
記事内に掲載されている価格は 2018年3月1日 時点での価格となります。
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