心臓部にSHARK DSPチップを採用し、アナログ機以上にアナログなサウンドを奏でるstrymonのギターエフェクト。Universal Audio UAD-2と同等のDSPが生む高解像度のサウンドは、ギター用エフェクトとしてはもちろん、シンセサイザー等の楽器にも最適です。
そのStrymonの最新エフェクトが、今回ご紹介するMobius(メビウス)です。発売は2012年11月中旬が予定されていますが、輸入代理店のオールアクセスさんのご好意で、発売前のMobiusをお借りすることができました!そこで、StrymonをイチオシするRock oNがMobiusのハンズオンレビューをお届けします!
CHORUS、FLANGER、PHASER、Vintage Tremolo を始めFILTER、FORMANT FILTER、AUTO SWELL、DESTROYERなど 通常のギターエフェクターでは珍しいエフェクトまで、音楽的なフィーリングに溢れる12種類の異なるモジュレーションサウンドを搭載したペダルエフェクター。
選択したエフェクトにより、最適なパラメーターにアクセスできるツマミが7つ、豊富なプリセットの選択、バイパス(トゥルーバイパス)、タップテンポをコントロールするフットスイッチにを搭載。
これだけ見るとMobiusはギター専用のエフェクターだというイメージを持つ方もいると思いますが「Strymon独自の、クリアながらアナログ的でWarmなサウンドをギターだけにしか使わないのはもったいない!」ということで、今回はエレキギターに加え、キーボードやドラムマシンにも使ってみることにしました。
ピアノとオルガン、そしてドラムの音に徹底してこだわり、KRONOS譲りの音源を持つKORG KROMEと直結して試してみました。
Strymonは+4dBライン入力にも対応しているので、キーボード用として使ってもまったく問題ありません。
ではまずエレピから。KROME側で空間系とモジュレーション系のエフェクトを切り、MobiusのVINTAGE TREM(トレモロ)を試します。
KROMEの温かいエレピサウンドをさらにメロウに響かせるMobius。とても良い!続いてVIBE(ビブラート)やCHORUSを試しましたが、どれもKROMEのサウンドに艶とアナログライクな雰囲気を付加してくれます。ギター用エフェクトをキーボードに使うと、レンジの狭さやS/Nの悪さのせいで使えない場合がありますが、このMobiusにその心配は無用。それどころかMobiusのモジュレーションサウンドはエレピサウンドにベストマッチ!ほかにもオルガン、シンセPADやSAWシンセに使ってみましたが、やはりキーボードとの相性の良さは抜群でした。
さてお次はDave Smith と Roger Linnが共同開発した、強力なサウンドメイクが可能なドラムマシンDave Smith Instruments Tempest!
デジタルとアナログの2つのオシレーターを持つハイブリッドリズムマシンTempestは、その太い低音と、ザラついた高域が心地良いエレクトロドラムを響かせますが、ペダルエフェクターMobiusとの相性はいかがなものでしょうか?
今回もKROMEと同じくTempestとMobiusを直列でつないでいます。エフェクトのタイプはいろいろ満遍なく使ってみましたが、一番面白かったのはDESTROYERと名づけられたビットクラッシャー。アナログディストーションで得られる歪みとは違い、よりざらついた質感やバチバチとドラムサウンドがデジタルノイズになり消えてしまうまで、過激に音を変えることができます。このDESTROYER、設定次第でとてもマイルドな歪みを得ることができるのが面白いです。たしかに音は潰れ気味になるのですが、不思議な甘い質感を持ち、これまでに感じたことのないサウンドにビットクラッシュしてくれます。これはぜひ一度聴いていただきたいエフェクトですね。
そのほかアナログライクなサウンドのFILTERも秀逸で、ローパスやワウはもちろん、ダンス系ドラムには欠かせないハイパスフィルターもとても使いやすく、濃密なサウンドで好印象。原音を損なわないトゥルーバイパスボタンのON/OFFを繰り返しながら、時が経つのも忘れて遊んでしまいました。ライブで使用する時もこのように、ON/OFFを積極的に使うと派手なプレイを楽しめます。
最後はエレキギター。Rock oNに常備してあるフェンダー ストラトキャスターとVOX AC30アンプの間に直結でMobiusを入れています。
これまでの試奏を通じて、楽器を選ばないエフェクターという印象を持ったMobiusでしたが、やはり最後はギターで思い切り試してみたい!
まずはクリーン~クランチのギターサウンドをCHIORUSやFLANGERなどのスタンダードなエフェクトで弾いてみました。競合他社のペダルエフェクターの追従を許さない、ローノイズかつワイドレンジで澄み切ったモジュレーションギターサウンドは、試奏ブース空間を異質なものに変化させます。それに加えて、ギタリストが愛して止まない、温かみのあるアナログライクな質感もしっかり感じるところが、さすがの一言。
ほかにも音の立ち上がりをスローにさせ、軽いコンプレッション風のサウンドからいわゆるバイオリン奏法まで、幅広いサウンドを作ることができるAUTO SWELLや、ギターの音を人間の喉を通したような音に変えるFORMANT(フォルマントフィルター)を試しましたが、どれもそのサウンドを聴いただけでワンフレーズ浮かんでくるような、インスピレーションを刺激するサウンドです。それも単なる飛び道具ではなく、メインの音として使いたくなる太さと存在感があることを高く評価したいと思います。
今回運良く試すことができたStrymonMobiusはこれまで通り、これぞStrymonの真骨頂ともいうべき、アナログの質感を持ったハイファイサウンドを持ったモジュレーションエフェクターでした。
この試奏でトライしてきたように、Strymonのサウンドは楽器を選びません。ライブステージはもちろん、スタジオのラックの上に置いていつでもスタンバイさせておくことをお勧めします。
記事内に掲載されている価格は 2012年11月7日 時点での価格となります。
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