スティーヴィー竹本(以下、竹)さあ始まりました。Rock oN AWARD 2015選考会。まずはおのおの、推したい製品から教えてもらっていいですか。
パパ洋介(以下、洋)僕はSSL XL-DESK。これはSSLがサードパーティー機器(API 500モジュール)に対してオープンになったところが新しい。ソフトウェアでいうとRX4のインパクトも大きかった。ポスプロ目線だけど音楽制作者にも使って欲しい機能が沢山ある。
ダビットソン阪田(以下、坂)XL-DESKはその前にAPI The Boxが出ていたから、これがなければ生まれなかった。
洋でもXL-DESKにはThe Boxにはないファンクションが沢山盛り込まれている。例えば16 mono + 4 stereo + 1 masterという入出力の多さ。A,B,C,D4系統のMix Busで16基のVPR500モジュールをを1ボタンでインサートできるから煩雑な操作なしでミックスのレイヤーを増やしていける。そういうところもしっかり評価してほしいね。
阪僕もXL-DESK。イチオシしたいです。アナログサウンドの中の空気感が充分に懐柔できるデジタルレコーディング技術の土壌(DAWやDA/ADの進化、ハイレゾの高解像度)が仕上がったからこそ開発された製品だと思います。
ACID渋谷(以下、渋)私はAIRAです。誰でも知っているTR-808が30年以上経って復刻されたというのは大きな意味があると思います。
AIRAはそのアイデアが新しい。イノベーターという意味で評価したいです。
従来の「デジタルだとアナログの再現はこれで限界」みたいな壁を突き破って、音のクオリティを追求に制約を設けずやりきった新しいプロダクトだと思うんです。
Rolandがマスマーケット指向を切り換えてきたというか、スタイリッシュで若い人に受ける研ぎ澄まされたたエッジのあるデザインで打って出たことも大きい。
IH富田(以下、富)さすがAIRA Rock oN Lab.所長。熱いね。
佐々木(以下、佐)プラグイン/プラグアウトの提案も新しい。ハードウェアメーカーとしてのチャレンジを感じるよ。O・H・R・C・A(オルカ)もMADI、DANTE、Sound Grid等へのOPEN化に高いフレキシビリティで対応し、チャレンジしている。これからも伸びるメーカーだと思います。
渋続いて、技術的に選ぶならDiGiGridです。
将軍 恒吉(以下、恒)DiGiGridのどの製品?
渋んー、難しい質問です。もし可能であれば『DiGiGrid全製品』というのはいかがでしょう?
洋それでもいいんじゃないかな。DiGiGridに関しては特別ですよ。Rock oN的にいま最も注目したいのはDLSだけどね。Waves プラグイン処理能力とSoundGridネットワークでPro Toolsシステム(その他主要DAWシステム)を拡張できるというのは制作業界の運用そのものを変革することだと思う。
阪SoundGrid Studioによるリアルタイムモニタリングにもエフェクトリターンを戻せたりパンチインした瞬間にきれいに切り替わったりとか。これまでネイティブ環境でストレスに感じていた事がほぼ解決されている。これはみんなに知ってもらいたい。
洋単純にオーディオI/Oとして見たとしても、AoIPのイノベーターでありながら従来のクリエイターが使ったオーディオI/Oとして、優れたユーザビリティとファンクションを持っている。音質もDiGiCoから引き継がれたクリティカルな現場でつかえるクオリティを持っているよ。
渋はい。来年の動向を読むマイルストーンになると思うんです。HDXと共に。
佐次は僕の番かな。僕もRoland AIRAを推したいけど、ぜひみんなに知ってもらいたいのはTRIAD ORBITです。
富あれは売れてますね。始めて触ったときは雲台の仕様にびっくりしました。レバーを少し緩めるだけで可動部が完全に解放されて、可変範囲がすごく広く。どこまでもマイクを持って行ける。で、レバーをチョイとしめるとカツーンと固定される。あのクイック感とホールド力はすごい。マイクスタンドを買う予定が無い人にも触ってほしい。
なかなか無かったマイクスタンドの新製品だし、製品として新しくてしっかりしてて、あれはオススメですよ。
阪さっそく某放送局さんに大量に導入していただいてます。
富私はBoss WAZA CRAFTシリーズ全部(さっきDiGiGrid全製品がOKだということだったので)。AIRAにも通じるところがありますが、過去の名機の魅力をそのまま現代的なサウンドで使えるようにブラッシュアップしてきたってところが気に入ってます。WAZA CRAFTのWebサイトを見てもこれまでのRolandと明らかに違うテイストで、コアな若者層へアプローチしていることが分かります。Boss(Roland)はこう変わってくるのか、と嬉しさを感じます。
私はWAZA CRAFTの新製品発表会に取材に行ったんですが、その時の開発者 池田氏のコメントがわすれられません。「WAZA CRAFTは技術者と職人が心を込めて作りました。この音が分かる人だけ分かればいい。」大手メーカーなのに尖ってるなーって。
あえて欲を言うなら、DM-2W Delayにタップテンポが欲しかったんだけど…。
竹みなさんの目の前にあるAntelope Zen Studioも、同社の音楽制作市場への戦略的シフトを象徴する意欲作でした。
洋Zen StudioはAntelope Audio社がWord ClockのテリトリーからオーディオI/Oのフィールドに飛び込んで来た、という意味で新鮮さがあります。
阪このサイズでマイクプリが12基。持ち出してドラム録りに使いたいっていうお客様もいました。
佐実際にユーザーも多くなってきてるよね。Antelope Audioの新しい提案が理解されてきているということか。モバイルできるオーディオI/OでOrion32やIsochrone TrinityクラスのWordClock(4th Generation Acoustically Focused Clocking)を搭載しているっていうところも評価されてるよね。阪田くんはレビュー記事を書いたでしょ。実際に使ってみてどうだった?
阪そうですね、さっき言ったドラム録音と重なりますけど、Zen Studioはぜひ外に持ち出してほしい。1時間いくらで使っている現場ではあまり時間をかけられないけど、だからといって焦って「本当はこうしたかったんだけど」って後悔は絶対したくない。そんなときにもZen Studioのコントロールパネル(ソフトウェア)の直感的な操作感と自在なルーティングはとても役立つと思います。音の良さだけじゃないんですよ。
阪同じAntelope Audio製品でOrion32も気になっています。来年の躍進に期待です。
渋AES 2014 で発表されたMP32(32chマイクプリアンプ)がこれから出てきて、これと一緒に使うことで化けるでしょうね。
阪合わせて3Uサイズで32in/32outのオーディオI/Oになるんだもんね。すごいよ。ちなみにあのマイクプリはZen Studioと同じクオリティのものだよ。
洋ROCK ON PRO スタッフとしてはTASCAM CG-2000も忘れてほしくないです。放送局に導入できるレベルのWordClockが国産メーカーから出てきたことは大きい。
洋プロフェッショナルな製品として、Avid S6はソフトウェアバージョン1.2でユーザビリティが上がっているのでぜひ評価してあげたい。
竹まだ語られていないマイクにいきましょうか。audio technica AT50シリーズの最新作5045や、Neumannの新たな挑戦TLM107が目を引きました。NEUMANNはそれでいてAES 2014で発表されたU47FET復刻モデルの話題でも盛り上がってますね
渋U47(tube)の方は復刻する可能性ってあるのかな?
富U47(tube)が終わったのはVF14真空管の生産完了が原因だから。復刻の可能性は低いんじゃないかなあ。ちなみにあの真空管はいま中古でも$2,000くらいする超貴重品ですよ。
阪マイクつながりで、技術的にすごいなと思ったのはLEWITTです。今までに無いテーマを掲げたマイクブランドですよ。特にUSBマイクのDGT 650とフラッグシップLCT 940は面白い。
渋USBマイクっていうとネット上で会話するために使うガジェット的なものが多い中で、DGT 650はラージダイヤフラム(2/3inch)によるXYステレオ録音ができる本格的な仕様ですね。
富MIDI制御可能なオーディオI/O機能がついてバッテリー駆動もできる。これとノートPCでどこでも本格的な録音ができるね。
坂iOSにも対応してます。LEWITT recorderっていうアプリのデキも良いんですよ。まだ正式な一般公開はされていませんが、発売を楽しみにしていてください。
渋使い手のアイデアが試されるようなマイクですね。これは。
>坂LCT 940も使い手次第でいろんな音が作れるよ。マイク本体に12系の真空管を搭載していてそれがオレンジに光るっていうのもかっこいいし、そのサウンドとFET回路のサウンドを混ぜられることには無限の可能性がある。
坂コンサバティブなラインナップが目白押しのマイク業界の中に、新しいアイディアで切り込んでくるなんてすごいと思う。それもあの値段帯でこの品質なんだから。
竹バックヤードビルダーのアナログアウトボードは?
佐Warm Audio WA76も面白かったなあ。6万円以下で1176(Rev.D)を再現するとか。ちゃんと1176と同じReichenbach Engineering(現CineMag)製のトランスを使ってて、音の食いつきのスピーディーさとかリリースを短くし設定した時に歪んでくる感じとか1176のテイストが楽しめる。始めてのアウトボードにもオススメだよ。
竹Aurora Audio Stingerは宅録ユーザー達もチェックしているのではないでしょうか。GTQ-2の1ch版かつInstruments入力付きで、1ch贅沢主義の個人ミュージシャンには有力な選択肢の一つになるはずです。お馴染みのノブデザインやアウトプットフェーダーも所有欲満点。
取り扱い元MIDさんのブログにもありますが、2つの独立回路を応用した活用法など、音作りの幅広さもクリエイター向けですね
渋国内ではまだ発売されていないから…
竹残念ながら得票は得られず。来年に期待します。
阪個人的にPurple Audio VPRが今年盛り上がりました。Punts(Cinemag社ダブルボビン型入力トランス仕様、差動式ディスクリート・マイクプリ)はけっこう売れましたよ。
富そして真打ちがDANGEROUS MUSICのDANGEROUS COMPRESSOR。お店でも売れていますね。
阪各部位のありとあらゆるパターンを切り換えていろんなサウンドを作れて、なおかつ精度が高い。
佐サイドチェインが強力なんだよね。ベースを抑える「BASS CUT」と逆に歯擦音をブーストする「SIBILANCE BOOST」。
阪加えてSMART DYN(傾きが2つある特性カーブを特徴とするコンプレッション処理)とSOFT KNEEもあるので、原音重視のクリアなサウンドからドラムをぶっ潰すところまでいろいろやれます。
恒DANGEROUS MUSICはけっして大きなメーカーではないんだけど、これは小規模なメーカーでは考えられないようなクオリティの高さを感じるよ。安定感もあって小気味良い製品だと思う。
洋もっと売れていい製品だね。さすがクリス・ムース(本機の設計者であり、凄腕のマスタリング機器製作者)。
富技術的に評価されたのは…(集計表をめくる)
竹FUJITSU TEN TD-M1ですね。投票者コメントの中には「まだ持ってないけど今後ぜひ使ってみたい」という期待の声もありました。
恒僕はTD-M1が「パワード」「AirPlay搭載」だったことが投票多数の理由じゃないかとにらんでる。これまでFUJITSU TENのスピーカーは全部パッシブだった。クリエイターからすると若干使いにくさがあったからパワードのメリットは大きいよ。
それからこれは音のニュアンスが従来のモデルと違っていて、ウーファー8cmの同じサイズのモデル(TD508MK3 BK)と比較して低音がモニタリングがしやすい。耳がモニターに慣れるまでは低域が明確に聴こえてこないという特性がフォローされてると思うよ。
竹といっても従来のモデルを聴いている人でも違和感なくナチュラルに音圧を感じ取れるんですよね。
恒この(良い方向への)音質の変化ははパワードになったことが大きいと思う。これとWiFi機能の便利さが受け入れられたんじゃないかな。
※TD-M1に搭載された技術の概要はこちら>
洋Tech AWARDはTD-M1で決まりでしょう。
恒ソフトウェアがまだ出てないよ。
佐Zynaptiq UNCHIRP。エンコーディングされた音源のノイズ(アーチファクト)を除去するっていう、魔法のようなプラグイン。
洋渋い。Musical Noise Reduction機能とDechirping機能を使ってLow bitなmp3のシャバシャバ鳴ってるノイズが消えた時は鳥肌が経ちました。
佐Enhance機能を使えば無理矢理平坦になってしまったトランジェントも自然に回復できる。これはすごいですよ。
洋じゃあ僕はiZotope RX4を推しますよ。
阪iZotopeは勢いありますね。このあいだ本社をボストンに移転して、1年間で社員数が2倍になったとか。大きくなってきているんですよ。あのテクノロジーファーストな高い技術はどこから生まれてくるんだろう。
富iZotopeといえばOZONE6の方が馴染みがありますが…。
前偉大さでいえばRX4だね。こっちの方がインパクトがある。
竹プラグインの流れで言えばRockoN推薦のシネマティック音源Symphobiaの第三弾となるLUMINAは外せません。ホールアンビエント込みサンプルなのは従来と変わりませんがそれを含めた仕上がりと即戦力っぷりがProjectSamはいつもダントツです。今回SAMがクワイアにフィーチャーしている点もマストバイなポイントでしょう。
阪9万円以上するのにバンバン売れてます。これひとつで幅広くカバーできるふ懐の深さが人気の理由でしょうかね。
富これは面白い。得票もけっこうありますね。
佐クリプトンのページを見てて思い出しましたが、みんな忘れてた初音ミクがありますね。
恒トピックとしては、Macに対応したということだよね?
佐それと、V3になって英語対応したということもあります。KORG MIKU STOMPっていう面白いガジェットや楽曲への果てしない派生効果を考えると、VOCALOIDは相変わらず勢いがありますね。
富こうなってくると、Popular AwardがKOMPLETE 10じゃだめですか?これだけ売れてみんな知ってるし。
佐売れてますね。
渋総合音源としてはKOMPLETE 9までにありとあらゆる音源が用意され尽くされて、もうこれ以上なにもいらないっていうところまできましたよね。10はどうなっていくのかという期待がありましたが、Manley Massive PassiveやSSL BusCompなどを模したエンジニア向けプラグインを強化してきたり、POLYPLEX(サイコロを振って出た目でサウンドをランダムに生み出すソフトシンセ)などの偶発性を呼ぶ音源やプラグインを多数搭載してきたことに驚きました。専用コントローラーのKOMPLETE KONTROL Sの登場も大きい。これでブラウジングやEDIT面も大幅に向上させましたね。
竹投票者コメントの量も多かった。どれも熱意の感じるコメントばかりでした。これはPopular Awardは間違いなさそうですね。
恒じゃあポピュラー賞はKOMPLETE 10で決まりだね。
竹みなさんわすれてませんか、Sonnet Echo Express IIIは利用者が急増中。これはヒット製品でしょう。
阪最新Mac Proが製作現場へ浸透するにつれて需要は増えるばかりですね。これは当然といえば当然。
富SonnetといえばxMac Pro Serverはインパクト大でしたね。専用マシンルームをや静音ラックを用意できるプロにはありがたい製品ですけど一般ユーザーにはいまのところSonnet Echo Express IIIが手に届きやすいですね。
竹寄り道もしながらやってきましたが、各賞で揃ってあと残すは栄えあるGOLDのみ。得票数と投票者コメント、売れた数どれをとってもNo.1ということで Universal Audio Apollo Twinでいかがでしょうか。
富Apollo Twinですよね、やっぱり。投票者コメントがこんなにたくさん集まったということファンが多いっていう証だし、FUNなプロダクトでもある。これは文句の付けようがないですね。
佐Universal Audioのアナログ技術とデジタル技術の粋がApolloなわけだけど、それをパーソナルユーザーが求める機能と価格でリリースした功績は大きいと思うよ。
坂10万円を切る価格でUAD-2(リアルタイム処理可能)とオーディオI/Oが手に入るわけですから。これはみんな飛びつくでしょ。
恒ラインナップは2種類ありますが…
佐売れているのはDUO。Apollo Duoです。
坂ですよね。1万円くらいしか価格が変わらないならSHARC DSP 4基搭載しておもいきりUADプラグインを使いたいですもん。
富せっかくですからね。始めから出来る限りのUAD-2プラグインを使いたいですよね。
佐最近はさらにモデリング技術がすばらしいプラグインがたくさん出てきてるんだけど、例えば、Apollo Twinから搭載された世界初のマイクプリアンプモデリング「Unison」。あれはモノチャンネルで約23%くらいDSPパワーを使う。Thermionic Culture Vultureなんて63%も使うからApollo Twin Soloだったらこれ1個立ち上げて終わりになってしまう。
富今後はRoland SDE-3000Aのような日本メーカー産の名機もぜひリリースしてほしい。ディレイタイムは1500msが限界だし周波数特性も17kHz(メーカー公称)だしで今のハイスペックなディレイには敵わないんだけど、電源やパーツにこだわったからこその荒いけど気持ち良いデジタルディレイサウンドなんですよね。あれを手軽に使ってみたい。
恒Unison機能もそうだけど他に技術的に評価できるポイントは?
坂Thunderboltドライバーですね。いまはもう他のApolloやApollo 16にも採用されていますが、今年頭にはApollo Twinだけが先行してこの ドライバーを搭載しました。従来のドライバーがさらに高速化されて、当時の上位機種よりもレイテンシーが低かったんですよね。これは上位機種ユーザーがやきもちを焼いてましたよ。
富お仕事で使っていて持ち出しようI/Oとして使っている方からも投票者コメントをいただいています。
佐安いだけじゃなくて、パーソナルユーザーが欲しい機能がちゃんとそろってる。たとえばあの大きなボリュームノブ。あれはデジタル制御のアナログボリュームだから…
富ボリュームを下げていってもビット損失しないモニタリングができる。あとパーソナルユーザーが気にするヘッドホンアウトは独立したDACなんですよね。
佐そう。モニタリングクオリティにぬかり無し。今のオーディオI/Oの流れだよね。ここは。ただしこの部分のこだわりは上位機種Apolloが先にあったからこそだと思うんだよ。まずプロフェッショナルの反応ありきでそこから得たものをコンシューマーに響くApollo Twinに落とし込んだ。
竹後でまとめますが投票者コメントにもいろんな意見をいただいてます。単純にオーディオI/OとしてやUAD-2として。さまざまな試みなどもあり、やはり今年を象徴する GOLDはApollo Twinに決まりですね。
佐店頭展示もしているからぜひ実際に触ってほしいです。
竹各賞が出揃いましたが、最後にみなさんで今年1年を振り返って、Rock oN AWARD 2015の締めとなるコメントを下さい。
渋やっぱAIRAが面白かった。(AIRA Rock oN Lab.)所長として大満足です。もちろんこれに限らず全般的に楽器は鍵盤付きのシンセ、リズムマシンでアナログ化が進んでると思います。
佐アナログのファンが増えた年だよね。
渋かなり敷居が下がったと思います。エレクトロンにしてもアナログ3機種でずっと攻めてきてますし。鍵盤シンセとデスクトップタイプのアナログ化は進んでたんですが、それに対してデジタルによるアナログモデリングでやってきたのがAIRA。
あとアナログシンセ界隈ではEURO RACKのモジュールも流行ってますけど、あっちは逆にデジタルのオシレーターが少しずつ出てきているんです。アナログのオシレーターだとライブ中に吹っ飛んだりするんですよ。それを回避するために、逆にEURO RACKの方はデジタルに人気が出てきてる。Mutable InstrumentsのBraidsやEdgesのようなデジタルオシレーターモジュールは新しいEuRO RACKの流れを感じます。それが面白いな。
竹分りました。渋谷くんらしい意見でした。
阪新しい提案がある製品の発表が多かった年だったな、という印象です。例えばZen Studioとか、DiGiGridもそう。今までオーディオインターフェース市場に対して参入してなかったブランドが新しいアイデアをもって参入してきた。Wordclockが得意だったり、ネットワークが得意だったり、ラージコンソールを作る技術を持って参入してきたり、とか、 規格だけじゃなくて、新しいメーカーがオーディオインタフェース市場に個性ある製品を持って入って来た。それも20万円代の製品が一気に。
洋オーディオI/Oは激戦区にもなりましたけど、ZOOM TAC-2の最低ラインから始まって上はPro Toolsまで色んなレンジが出てきた。
佐Apollo Twinはあの値段であのプラグインのパワー入れて、ソフトがいっぱい出るというのはすっごい楽しかったよね。あんな楽しい商品は久しぶりだったよね。AIRAも同じでミュージシャンが楽しくなるような製品が多かった。後半もKOMPLETE 10が出てきて、渋谷店で感じた印象は、ミュージシャンやクリエーター系のものが多くて、ガジェット的なデザインや手頃な価格で、欲しいと思わせてくれる製品が出てきたと思います。フィジカルで偶発的で、想像力をかき立てられる。とにかくミュージシャンが楽しめる機材が目立ったと思います。
洋今年のイノベーションはDiGiGridだけじゃなくて、MOTUのAVB対応オーディオI/Oシリーズが出たりとか、Avid S3がAVBに対応したりとか、Network化への兆しが見えてる。これまでもDanteだったりとか、地道に各社やってきたのが一気に製品として、出揃ったかなという印象です。もう1つはAVIDがやってるEuCon。S6の出荷が始まり、下のレンジとしてS3がEuCon対応でコントローラーサーフェースになったり。
恒それらの製品の受賞はなかったけどすごく期待できるよね。あと洋介くんの仕事だったらテープレスワールド。バックアップストレージへの移行がクラウドになってくると思うので、クラウドも兼ねながらの本当の意味でネットワークが組まれる時期に来ているよね。
洋サーバー系を見てると、音のインターフェースも次のステップが見えて来てるかなと思います。
富私が今年の一年を振り返って印象的だったのは、以前からのVOCALOIDブームも然り、KORG littleBitsやガジェットシンセ、そしてマイコン系からアナログな自作楽器の類いまで、音楽をやってなかったオタク系の人が音楽を始めたことです。製品はもちろん、楽器は楽しいという情報や知識がインターネット上で爆発的に広がり続けています。これはこれからの楽器業界に対して影響があるんじゃないかなと思います。
渋なるほど、楽器に触る楽しさへの再認識ですね。
竹インターフェースとシンセサイザーカテゴリーが活性化した年でした。インターフェースでは20万円超のハイエンドに切り込んで来たモデルが多く、機能も個性的で選択肢が大幅に広がりました。上半期はTHUNDERBOLTが成熟してきた。次は並行してネットワーク(AoIP)でしたね。
渋MERGING HAPIでDSDに録るとかものすごく選択肢がありますし、盛り上がってきている上に、例えばYAMAHAなんかの大手メーカーも今後、20万円超のオーディオインターフェースに参入して来るんじゃないかとも思います。
洋ネットワークオーディオであの機能であの値段だったら、一般個人ユーザーでもリーチする値段なんですけど。Pro Tools HDXよりはかなり安いですよね。
恒IOSはかなり期待してますよ。
MADIやP2Pのインターフェースも含め、2014年内にネットワークオーディオ時代の片鱗が見えてきました。そしてRock oNは2015年以降をこう予測します。まず2015年にCloudの制作ソリューションが登場し、遠くない未来に近づくにつれて転送スピードが向上。そしてリアルタイムに世界中のオーディオソリューションが繋がります。オーディオファイルなどのライブラリはクラウド上に蓄積され様々な人達が共有。そこから新しい音楽の作り方が生まれていくのではないでしょうか。個人の選択肢は自由度が広がりさらに解放されます。
いまサーバー業界では40G/bpsという驚異的な転送スピードのソリューションが開発され産声を上げ始めています。これを音楽制作に持ち込んだ場合、マイクはイギリスにあってエンジニアとDAWは日本で。というコラボレーションが現実味をおびてきます。マイクからオーディオI/O、アウトボードからスピーカーに至るまで全てが繋がる時代。
インフラ的なネットワークと、クラウド的なワークフローの概念が統合された未来がすぐそこまでやってきています。
つまり、ソーシャルミュージックが本当に実現する時代へ進みつつあります。
Rock oN AWARD 2015 に見事選ばれた11製品。Rock oN選考委員がユーザー投票を元に独断と偏見で語り尽くした選考会の模様をお届けいたします!