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ビートメイク・DJ・ポン出しマシンなど、多くの現場で姿を見せているSP-404シリーズ。SP-404SXが惜しまれつつも製造終了となり、今後ハードサンプラーはどうなるのか…多くの方が打ちひしがれている中、満を持して発表されたのが「SP-404MKII」です。
発売前ではありますがSP-404MKIIを色々と試す事ができましたので、今回はレビューをまとめていこうと思います。
まずはビートメイク&ライブパフォーマンスの垣根を越えて多くのユーザーに愛されたSP-404シリーズとは一体どんなサンプラーだったのか、振り返りながらSP-404MKIIを見てみましょう。
SP-404シリーズとは…
SP-404シリーズはその独特な音質とエフェクト、そして何曲分も再生できる豊富な容量で、ライブパフォーマンスの一つのスタイルを生み出した機材。歴代のSPシリーズや古くはRolandのDJミキサーDJ-2000等で培われた、両手のツマミ操作で派手な効果を生み出すエフェクトと、長尺のサンプル(曲丸々一本も可)をふんだんに使ったDJ的なプレイ方法が相まって、ビートメイカーが現場で行うパフォーマンスの幅を大きく広げたと言える。
★Beat Culture & the SP-404 with Dibia$e, Flying Lotus and Ras G
SP-404MKII・SP-404SX比較
●ボディ
まずはSP-404SXとSP-404MKIIの外観を比較してみましょう。両者ともMacBook Proのスペースグレーに近い色味ですが、MK2はより濃いグレーでモノトーンな仕様となっております。ボディサイズはややMK2の方が大きいですね。
●サンプルパッド
まず目を引くのがパッド、SP-404SXと比較するとここまで薄くなりました。SP-404MKIIはベロシティに対応し、押したときのクリック感が無くなり表情を付けやすくなってます。このパッドは好みが分かれるところだと思いますが、私は好きです。
●OLEDディスプレイの採用
次に目を引くのはSP-404MKIIのディスプレイ、OLEDディスプレイが採用されました。SXに採用された電卓のようなディスプレイでも作業はできましたが、OLEDディスプレイにより、さらに細かな情報をディスプレイに表示してくれます。
ちなみに、スタートアップ画面や待機時のスクリーンセーバーはカスタマイズも可能です。
また、この高精細ディスプレイでサンプル波形が表示されるようになりました。良くも悪くも耳だよりだった波形編集がより精密に行えるようになりました。サンプルスライスがより素早くできるようになりました!
●入出力が増強!2系統のヘッドホンアウトを搭載!!
SP-404MKIIは以前のモデルと比較して、入出力も増強されました!SP-404SXにはLINE IN/OUT、MIDI IN、MIC IN、ヘッドホンアウト、SDカードスロットがそれぞれ1系統ずつ内蔵してましたが、SP-404MKIIには更にMIDI OUT、USB-C端子、3.5mmステレオミニヘッドホンアウトが増えました。ボディサイズはそこまで変わっていないのに、よくここまで増やせたなぁ…と感心しましたね。
個人的にはUSB-C端子はアツいなと思いました。PCと接続すればそのままPCの音源をREC出来ますので、より手軽にサンプリングに取り掛かれるのではないでしょうか!LINE IN / OUTがRCAからフォーン に変更された点も、普段音楽制作をしている方にはより身近な仕様になったと思います。
●MIC INがアップデート!マイクだけでなく、ギターやベースもそのまま挿せます
SP-404MKIIのINPUTはマイクだけでなく、ギターやベースもインピーダンスを気にせずそのまま挿せます!SP-404MKIIにギターを繋いでRECしてみたのですが、音質も良くGAINの調整幅も広いのでピックアップの仕様に左右されずRECすることが可能です。RECしたギター素材に内蔵エフェクトを積極的に使えるのもいいですよね。
●エフェクトの増強
SP-404MKIIではエフェクターが増強されています!DJプレイで多用できるフィルター系・ルーパー系はもちろん、Rolandの過去の名機に搭載されたエフェクトをモデリングしたものも搭載。音の厚みとステレオ感を魔法の様に加える皆大好きJUNOのコーラスも、JUNO CHORUSとして搭載。ギターに掛けてもいいかもしれません。
また面白いエフェクトとして、カセット録音をエミュレートするエフェクト。このエフェクトの”age”という項目を弄ると、カセットの経年変化具合がエミュレートされ、面白いローファイ感が得られます。そのほか「Hadou」や「Kodama」など、和を意識した遊び心をくすぐるものも面白いですね。
また、今回試せなかったんですがボコーダーやScatterも新規追加されています!どんな具合なのか、次の機会の楽しみに取っておこうと思います。
●他にもたくさんアップデート
SP-404MKIIには16GBの内部ストレージを新たに搭載、SDカードがなくても本体だけでサンプリングできます。16GBあればいくつかの現場は賄えるのではないでしょうか。もちろん電池でも動きますよ!
またSP-404MKIIには、25秒遡ってキャプチャーする「スキップバックサンプリング」機能も搭載。不意に最良なプレイだったがRECされてなかった、再現できなかった…SP-404MKIIではそんな場面でも過去に遡れるので、取りこぼしはありません。長時間使っていると案外、この機能が最も大きなアップデートなのかもしれませんね。
また、SPのフェイスプレートは取り替えが可能。WEBサイトからダウンロードできるフェイスプレート用のテンプレートを使って、オリジナルSPも作れますよ。
実践
それでは早速、実践編ということでビートメイクしてみました。
作業の模様はこちらの動画をご覧ください。
まずはエレキギターのサンプリングから。上で書いた通り、DIを使わずとも直接SP-404MKIIにギターを挿すことができます。何パターンかギターカッティングをRECします。エフェクターは掛け録りで、コーラスを厚めに掛けます。
その後、RECしたギターフレーズをサンプルスライスします。スライスの模様は自分でポイントを決めることもできますし、自動でも可能です。OLEDディスプレイだと波形の起点を決めやすいですね。
その後、リズム素材を取り込むために、ドラムマシンの素材をサンプリングします。今回利用したドラムマシンはKORGのmonotribe。一時期はプレミアが付いて高価で取引されてましたが、このアナログサウンド良いんですよねぇ〜。不規則ながらリズムを鳴らしてSP-404MKIIに取り込み、波形編集して打ち込んでいきます。今回はキック・スネア・ハイハット(クローズ)を利用します。
Voiceもサンプリング。Rock oNのリル・ウージー・ヴァートこと、バウンス清水に声ネタを提供してもらいました。
「あっ、さっきの声ネタ使えそうだから、もう一回歌える…?」。こんな場面がありましたが、SP-404MKIIは過去に遡ってサンプリングすることが出来るスキップバックサンプリングが裏で動いていたので、既にRECされてました。この機能、かなり便利です。
最後に、サンプリングした素材をエディットしてトラックにまとめていきます。SP-404MKIIは他のSPと比較して階層が少ないので、目的の機能にダイレクトにアクションできるのでストレスなく打ち込みができます。
出来上がったトラックを聴いてみます。昨今、あまり単体サンプラーを使わずに素材の切り貼りでトラックを作る方も多いと思いますが、サンプラーを使うと自分が意図していないフレーズが出来上がることがあるので、偶然の産物が発生しやすいですよね。改めてハードサンプラーの魅力を再認識する事が出来ました。
SP-404MKIIを使ったトラック制作は、古き良きトラックメイクの手法をストレスなく実現してくれます。インスピレーションが湧いたらすぐに形に出来る…SP-404MKIIは、きっとあなたの良き相棒になる事でしょう。
モダンに生まれ変わったSP-404MKIIを是非あなたも体験してみてください!
Writer.ファンキー松本
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記事内に掲載されている価格は 2021年11月12日 時点での価格となります。
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