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昨年のMusikmesse 2015でKORGは新世代真空管のNutubeを発表しました。21世紀に楽器メーカーが生み出した真空管はそれを使ったコンパクトな真空管ギターアンプのデモ演奏と共に大きな話題になりました。
そして2016年。新たにNutubeを搭載した試作機が展示されるという情報を掴んだ私 IH富田は1月13日から3日間、東京ビッグサイトで開催されているエレクトロニクス技術展「ネプコン ジャパン2016」に足を運びました。
ネプコンジャパン 2016
ネプコンジャパンは、エレクトロニクス製造・実装・検査に関するアジア最大級の専門展。2,230社を超える有力企業が出展、世界中から91,000名もの専門家が来場する巨大な展示会です。朝早くから沢山の来場者で賑わっていました。
ノリタケ伊勢電子(株) ブース
これが実物のNutube。
手に取らせていただきました。裏面にはNutube 6P1 と製品名が刻印されています。
この技術がKORG製品だけではなくサードパーティや一般にも販売されるのかどうかはこの記事を作成現在未定です。
そしてブースにはPRS SEギターと共にNutubeを搭載したギタープリアンプの試作機が!
たった1Uサイズの真空管プリアンプ。試作機なので非売品で名前もありません。CLEAN と LEAD の2chを持ちながらたった1U。電源のために大型トランスも必要ありません。
ここまで来たら弾くしかない!このギターアンプにはキャビネットシミュレーター(アナログ回路のようでした)がついているので、ヘッドホン(MDR-CD900ST)を使って鳴らせます。ちょうど私 IH富田は真空管ギターアンプのハイゲインサウンドを研究中で、しかもプリアンプのサウンドをヘッドホンで聴く機会も多かったため耳にリファレンスが整っていました。その状態で弾いたNutubeギターアンプのサウンドは、従来のものと遜色なし!このアンプの設計が影響していると思いますが荒々しくガッツのあるサウンドで気に入りました。ゲインを上げた時の真空管独特の歪み方は滑らかでギターがうまくなった気になります。
メッシュからNutubeの青い光が漏れています。かっこいい!
KORGでは既にJC-120やMarshallキャビと共に使うNutubeアンプを開発中です。いつでもリハスタに持って行ける、ギターバッグに入れて持ち運べる本格的な真空管ギタープリアンプの登場は近いようですよ。製品化されたらいくらになるのでしょうか。本当に欲しいんですけど。KORGさん、1chでいいのでハーフラックサイズのNutubeギタープリも作ってください。お願いします!
続いてはNutubeを使ったヘッドホンアンプの試作機。ハイレゾプレイヤーAudiogate4でDSDファイルを再生してDACのDS-DAC-10Rからアナログ出力。Fostexのボリュームを経由してヘッドホンアンプにアナログ信号が入ります。
これはトグルスイッチでNutubeあり/なしのサウンドを切り換えることができます。実際に試してみました。ほんの僅かではありますがNutubeをONにすると中域に温かみが増し、いわゆる真空管らしい魅力的なサウンドを感じることができました。
オーディオアンプもギターアンプと同じく真空管は人気があるものの、筐体が大型で重く高価なためなかなか簡単に手に入れられなかったと思います。Nutubeは乾電池で作動するため、もしかしたらポケットに入る真空管オーディオアンプが出てくるかもしれませんね。
KORG のアイディアとノリタケ伊勢電子(株)の真空技術が実を結んでできたNutube。私は実際にその音を聴くことで、これを搭載した製品が産声を上げる日がすぐそこまできていると実感しました。
(※NutubeはKORG製品だけに使われるのか、それともサードパーティーや自作派の個人にまで販売されるのかはこの記事を作成現在未定です。)
制作者や音楽愛好家がこよなく愛す音を奏でる真空管が、コンパクト&省電力&超寿命という優れた特性を持って生まれ変わる。Nutubeは楽器業界、オーディオ業界が期待する希望の星だと感じました。
これから何が生まれるのでしょうか。NAMM 2016でそれを見る事はできるのでしょうか。注目していきたいところです。
KORG Nutube 公式Webサイト
Writer . IH Tomita
記事内に掲載されている価格は 2016年1月13日 時点での価格となります。
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