注目度の高いLAWO。この写真からもわかるように、多くの人が商談に訪れ、スタッフと話をしていました。よく見てください。写っている人はみんな話をしています。
LAWO社はオーディオ・ミキシング・コンソールの開発製造で40年以上の歴史を持ち、高評価を獲得しているメーカーです。製品は故障の許されない放送環境向けに開発されており、劇場やスタジオ、ライブにとオンラインの現場で活躍しています。
NAB2017で発表されたのがこちら。フラグシップmc²96になります。mc²90からの刷新となる本機。こちらは完全IP型のネットワークコンソールとなっていて、AoIPの接続ではRavenna/AES67/Dante/SMPTE2110をサポートします。
あまりの機能の多さにここですべてを記述することは不可能なほど。おおよそできないことはないと言えるほど拡張性にも優れています。
また故障率に直接影響する部分である電源ですが、こちらはあくまでIPのコントローラーであり、発熱も少ないことから、FANレス構造となっておりFANノイズによる集中力の妨げもありません。ただし本体の裏にはローカルとしてMic/Lineのin/outの他にAES3、MADIもサポート。単体の機能だけでも入出力が不足しないように備えています。
その他にもWaves SoundGrid、NEAUMANN DMI-8 Digital Microphoneを統合。入出力の要となるDALLIS – Modular I/Oにモジュールを追加する形での対応になると思います。ここも大きなポイントで、モジュールを追加することで、より多角的にシステムの互換を高めることができます。
こちらがミキサー部分になります。他のコンソールと見比べるとLCDパネルの多さが特徴的です。1モジュールに複数のCHを割り当てることも可能なため、左側のメーターでは1chのみですが右側では5.1chのメーターが見れる視認性の高さも使いやすさに貢献することでしょう。
しかもこのパネルは全面タッチスクリーンとなっていて、バスアサインもこちらから可能。
センターセクションです。フェーダーの右側のほとんど全てがアサインに関するものとなっています。シーンの切り替えから、VCAの切り替え、ルーティングの切り替え、ストリップのアサインと、IPコントロール系統が集約されています。
上段はモニターコントロールセクションになります。モニターコントロール、パンニングなど。最上段はTalkback、AUX。とにかくスイッチやノブなどのコントロールが多くなっていますが、機能を統合し結局使い勝手が悪いこともあるので、ふんだんにフィジカルのスイッチがあるのはユーザーライクでとても良いです。
更に各フェーダー上のミニLCDには映像が!
VoIPにも積極的なLawo社では、フェーダー上にビデオを立ち上げることが可能に。今回、フラッグシップとして発表されたmc²96とともに、そのシステムをSeamless Orchestration and Unification Layer、通称SOULという形で刷新。
Audio/Videoというmulti-venderとして複雑なソリューション互換を可能にしています。
ブロードキャストで複数のカメラを同時に扱う場合には、それぞれのCHにオンラインでカメラが繋がっていますので、一目でどのチャンネルに今どの映像が撮れているかを瞬時に把握することができ、これはmc²96が初といえる技術で、大きな魅力です。
もちろん、IPコントロールのサーフェイスですので、V_MatrixのMultiviewer Modulesが必要となるかと思いますが、こちらもパワフルの一言。4K UHD,3G,HDなどなど、様々な規格を極端に低いレイテンシーで再生可能となっています。本体のバリエーションもあり、システムに見合った形で選択できるのはもちろんのこと、後にカスケードで増やす事も可能でしょう。
発表されているPDFを見る限り、リモートディスプレイ機能で画面の呼び出しが可能なので、全面タッチパネルでのカラー調整ということも見せています。
複数人で作業することも想定されているため、ブロックごとにもマルチコントロールが可能、オートミキシング機能の追加、ノブ数が増えたことによる単純な操作性の向上など、前機種である90のバージョンアップというだけではなく、とにかく機能が詰まった印象を受けます。
こちらはmc²36で、96に比べると機能が限定されているように見えますが、メーターパネルは全面タッチスクリーンで、左に見えているRavenna接続のI/Oから大量のchルーティングが可能となるため下位互換とは思えないほど十分にパワフルな仕様となっています。
こちらはNAB2015で発表されたmc²56XTです。こちらもタッチスクリーンはもちろんの事、ネットワークにはDanteが対応に。
frameは16から144まで拡張可能で最大888ch。こちらもネットワークオーディオならではの構築のし易さで様々な環境に適応できます。
Lawoはブロードキャスト業務のため、導入にはハードルが高い印象ですが、こちらのrubyはビジュアルラジオコンソールということで、機能を絞り扱いやすいサイズとなっています。
まずはフィジカルコントローラーの写真になりますが、先ほどのmcに比べるとボタン数も少なく簡素な印象を受けますが、フェーダーは100mmと共通。増設可能で最大で60フェーダーまで使うことができますので、従来のミキシングコンソールと同等、もしくはそれ以上まで拡張できることになります。
こちらがその詳細です。ユーザーアサインからモニターセレクトまで、一切の無駄がなく、また不足することもないようにデザインされています。
これがPower Coreと名付けられたrubyのエンジンで、Ravenna/MADIを取り入れることにより、最大96inputまで対応。
4つのMADIと2つのAES67/Ravennaのポートを使う事でより柔軟なシステム構成が可能となります。下段のオプションポートは入れ替えが可能なので、足りないI/Oを追加する事で仕様環境にあった選択ができ、アナログとの接続も容易になります。
また、コンソールソフトウェアのGUIのデザインも特徴的でありながらシンプルなつくりで、使い勝手の良さがうかがい知れます。
コントロールサーフェイス自体にも、わかりやすく表示されるので視認性もよくマルチコントロールのフィジカルコントローラーとしての良さもありますので、mcシリーズのような大規模をターゲットとしたものだけではなく、rubyのような小規模を担うコンソールがある事で、よりLAWO社への注目度が上がるでしょう。
一方で機能の塊のような印象を受けるmc²96。今後の展開と詳細が気になって仕方ありません。
Writer. Yamaguchi
記事内に掲載されている価格は 2017年4月26日 時点での価格となります。
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