昨年O8N2がMix/Masteringを革新し、RXがポスプロにおけるレストレーション作業を革新。
iZotopeが2018年に革新するのはなんと全てのミュージシャン。『レコーディング』そのものをターゲットとした革新的レコーダーにして同社初のハードウェア『Spire』が遂に登場!
すでに基本コンセプトは昨年秋に発表済みのSpire。すでにSpireレコーディングされた著名アーティストのアルバムも存在するとのことですが、この製品がなぜ誕生したのかをまずは振り返りましょう。
なぜSpireが生まれたのか
Spireコンセプトを昨年も来日していただいたScott Simon氏が語ってくれました。
「レコーディングはミュージシャンにとって決して簡単なものではありません。オーディオインターフェース、コンピューター、DAWなどのワークステーションなどは一般的に見ればとてもテクニカルで難しいものです。もっと誰もが簡単に音楽を録音できないかというところがスタートポイントでした。
『どうやったら一番簡単にいい音で録れるか』がコンセプトであり、今現在までそんな商品は市場に存在していません。
まず音を拾うマイクに無指向を選択した理由として、大多数のミュージシャンはレコーディング自体を経験していません。
マイクロフォンの適切な立て方がわからないことも往々にあるでしょう。Spireはどこを向いていてもクオリティを落とさずに収録が可能です。ハードウェアは完全にワイヤレスで、バッテリーも充電式。Gainステージも自動調節します。撮ったサウンドはiOS Appへすぐさま転送。Spireはレコーディングという所作を極めてシンプルなものに変える存在です。
マイクロフォンカプセル自体の選定もNeumannなど著名なマイクとブラインドテストをして、エンジニアの評価が並ぶクオリティのカプセルを慎重に選定していきました。
また外部入力のマイクプリアンプの設計はGrace Designが行っています。」
こちらは2トラックを録音する動画でしたが、冒頭1タッチで数秒行ったのが自動レベル調整をしてくれるSound Check機能。
そして最初の録音完了時にLEDイルミネーションの右半分が1色だったのに、2トラック目を録音し終わった際は2色になったのにお気付きでしょうか。この本体LEDハタッチパネルになっており、こちらを長押しすることで任意のトラックをミュートしたり、スライドで出力ボリュームを設定したりと直感的な操作性を実現しています。もちろんiOS上から離れた場所でリモートもできますので本体に触らなくてもOKです。アンドロイドやiPadにも間も無くの対応を予定。
Processing
二つ目の動画はエフェクトプロセッシング。Spireが持つ最大8つのオーディオトラックではそれぞれに『独立した』エフェクトプロセッシングが可能です。収録したオーディオデータはSpireとApp両方に保存されますが、エフェクト処理は基本Spire内蔵DSPが処理、app側に負荷無くコントロールできます。そしてトラック数が増えた時に困るバランスの問題も、フェーダーなどを意識せず直感的に解決できるようNeutron2のVisual Mixer的なタッチコントローラーを搭載。その様子をまずは動画で。
同時に録音できるのは最大2chまで。背面入力も2ch分あるのですが、良くできてるなぁと感心するのが1chに信号を入れると内蔵マイクは自動的にミュート、2chに入れると内蔵マイクと併用での2ch録音という設計。
サンプリングレートなどの仕様を見ても本製品がプロフェッショナルなクリエイターをメインターゲットとしていないのは明らかですが、これほどレコーディングを身近に感じさせる製品がこれまであったでしょうか。
最初の動画にあったように収録したデータはiOS機器に即座に送信。すぐに楽曲をソーシャルにアップしたり、このSpireセッション自体を他のユーザーと共有し互いにトラックを重ねてコラボレーションをしたり、パラのオーディオデータとしてDAWに送ることも可能です。逆にマイナス1のカラオケデータを取り込んで、VocalだけSpireで録音というカラオケ練習派にもバッチリ対応。本当にこれが1台あるだけで、人と音楽との関わり方を変わりますね。
会場ではRock oN Award2018 Tech Awardの授与式も実施(昨年みなさんを驚かせたO8N2が受賞)。事前にSpireの基本性能はもちろん知っていたのですが、実際の操作性を目の当たりにすると今回のNAMMでもトップクラスの衝撃を感じました。
iZotopeならばと思って最後に1個リクエスト。Ozone8ですでに実現している機能で、『聴感上の特徴をあの曲にしてほしい』とサンプル指定するとかなり似せてくれる驚異的な機能があります。これこそSpireに必要な機能ではと思いましたので、Scottさん、Collinさん、Johnさんにリクエストをお伝えしました。本当にそんな機能まで追加されたら反則ですが。
iZotope最初のハードウェアとなるSpire。ご承知の通り海外先行発売で日本での発売時期は6月ごろを予定です!
Rock oN Companyでは国内先行して発売前に様々な実機テストを行い、その模様をお伝えする予定です。続報にご期待ください!
Writer.Takemoto
iZotope
https://www.spire.live/
記事内に掲載されている価格は 2018年1月28日 時点での価格となります。
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