こちらのコーナーはBOB MOOG FOUNDATION主催のMOOGSEUMと題し、「Bringing the legacy alive to inspire future generations.」というテーマが掲げられています。
そしてそのLegacyというのがこちらです。泣く子も踊る、MODULAR MOOG SERIES III SYNTHSIZERです。しかもこれは有名な三人の元を渡り歩いた歴史的な一台なんです。
HOLLAND SYNTHESIZERとは?
このMOOGが歩んだ数奇な歴史を記したパネルがあったので、所々登場する楽曲を取り上げながら意訳を載せてみます。
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このMOOGは大半のモジュールが1968-70に製作された大変に貴重なもので、元々はDifferent Fur StudioのPatrick GleesonがR.A. Moog Co.にオーダーした一台で、Don Preston(Mothers of Invention/Grandmothers of Invention)に売却され、その後にWalter Holland(Holland Synthesizers)の手に渡りました。
エレクトロニックジャズの先駆者であるPatrick Gleesonがまず始めにこのMOOG SYNTHESIZERを1968年に購入しました。このMOOGはHerbie Hancokの二つのアルバム「Crossing」と「Sextant」を始め、カリフォルニア州の伝説的なレコーディングスタジオ「Different Fur」で製作された膨大な数のアルバムで使用されました。
1970初め、Patrick GleesonはLenny Pickett(Tower of Power、Saturday Night Live)と共に大学のライブツアーにそのMOOGを持って行っていました。
その後、1975年くらいにDon PrestonがPatrick GleesonからそのMOOGを買い取り、すぐにフランシス・フォード・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」のサウンドトラックで使用しました。また、Don Prestonはその頃、LAにある30以上の学校でMOOGの機能性を見事に表現したパフォーマンスを行なっています。
他の初期のMOOGの多くと同じようにこのMOOGも10年もの間、持ち主によって様々な使い方をされ傑作を生み出して行きます。
1981年にDon PrestonはMOOGをカルトな電子音楽デュオであるAmber RouteのWalter Hollandに売却しました。MOOGはAmber Routeの持つ「Tangerinestudio」に設置され、彼らのアルバム「Ghost Tracks」で使用されました。
https://www.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nCoxkuJrE4sx21LjYqQGGYwx6Y3nSsr7E
またツアーにも持ち出され、1982年のSteve Wozniak(Apple創業者の一人)によるUS FESTIVALでもそのステージに立ちました。その後もMOOGはTangerinestudioでWalter Hollandは本人名義の二枚のアルバム「Relativity」、「Transience of Love」や、Sham Karet、Black Tape for a Blue Girl、Storm Signal、Fitch and Ramosらの作品や、Krause Suchulzeらが参加した有名なコンピレーションアルバム「Dali: The Endless Enigma」で使用されました。
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歴史的な一品ですね。会場で今も変わらぬ力強いベース音を奏でていて感動してしまいました。
さらにBob Moog氏の歴史を辿る写真なども展示されており、冨田勲さんの姿もありました。
今の世代にとても良い刺激になっていると思います!
The Bob Moog Foundation:https://moogfoundation.org/
Writer:Shibuya
記事内に掲載されている価格は 2019年1月27日 時点での価格となります。
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