ベルリンの中心部にあるAbleton本社に2年ぶりに訪問。モジュラーシンセユーザー待望のCV Toolsの発表会に行ってきました!
CV ToolsとはDCカップリング対応のオーディオインターフェースを使い、外部モジュラーシンセとAbleton Liveで相互にCVやGate、そしてクロック情報を送受信できるM4Lデバイスです。まずはLive10.1のベータ版で使用できます。
AbletonのMatt氏の解説動画をご覧ください!
これによって例えば定番ファンクションジェネレーターMake Noise Mathで生成したコントロールシグナルを使ってAbleton Wavetableの特定のパラメータをモジュレーションしたり、またAbleton LiveのセッションBPMに合わせて外部のモジュラーシーケンサーを同期走行させたりといったことが可能になります。
Ableton Wavetableをmake noise MATHで作り出したCVシグナルでコントロール。やりたかったやつ!!
pic.twitter.com/AIMkgsvT4A— Rock oN Company (@RockoNCompany)2019年5月8日
外部から入力したコントロールシグナルはもちろんLive内に立ち上げたサードパーティプラグインにも掛けることができるので、例えば使い慣れたNI MASSIVEの違った表情が見れたり、これまで内部だけでは難しかったユニークで有機的な変調操作をかけられるようになりました。
個人的に面白いと感じのが、Ableton Liveでドラムのループ素材を再生してグルーブをMIDIクリップに、そのMIDIクリップで外部モジュールをトリガーして演奏し、さらにクロックで同期した別のモジュールからランダムCVを取り出してAbletonに戻しドラムループにかけたローパスフィルターのカットオフをモジュレーションするというもの。このようなオーディオを基調としたモジュレーションが違和感なくできるのでアイディアが湧いてきそうな感じがしました。
なお、今回デモで使用されていたオーディオインターフェースはExpert SleepersのESシリーズが目立っていました。良いところはADATで拡張できるところです。すでに使っているお気に入りのオーディオインターフェースがある場合、それがDCカプリングに対応していなくてもADATが付いていれば、Expert SleepersのオーディオI/OをADATでのin/out拡張として繋げればコントロール用として最適だと思います。DAW場で認識するのはあくまでも元のオーディオI/Oになります。デモではRME Babyfaceと組み合わせて使っていました。
なおやりとりされるコントロールシグナルはクロックも含めて全てオーディオとして扱われるためレコーディングすればモジュレーションの再現も可能です。オーディオとして録音しておいたCVに何かしらのダイナミクス系エフェクトをかけて再現させるのなども予測不可能で面白いかもしれません。
今後の展開が楽しみですね!
CV Toolsの収録内容
CV Toolsの収録内容はこちらです。
インストゥルメント
MIDIを備えたモジュラー機材を操作する。 柔軟なモジュレーションとボイシングのオプションのほか、使っているオシレーターをセント単位の精度でチューニングする機能も搭載している。
Live内からモジュラードラムシンセのシーケンスを行う。
ユーティリティ
オートメーションを使ってLiveからモジュラー機材を操作する。 複数のオートメーションの形状を追加/融合/変形できるほか、音声のようにCV信号の処理を行う。
同期
モジュラー機材からLiveのテンポを操作する。
CVクロックをモジュラー機材に送信してLiveと同期させる。
モジュレーション
モジュラー機材を使って、Liveのパラメータにモジュレーションを適用する。
柔軟に変形可能なCV信号の形状を作成して、モジュラー機材へ送信する。
Live内から音声信号でモジュラー機材を操作する。
モジュラー機材にすばやくLFOを追加する。
MIDIエフェクト
モジュラースタイルのビートやポリリズムを生成して、有機的なリズムの作成や実験的な制作を行う。 MIDI信号の送信も行うため、ドラムラックや、MIDI入力を備えた外部機材にも使用できる。
Ableton
https://www.ableton.com/
Writer.ACID渋谷
記事内に掲載されている価格は 2019年5月9日 時点での価格となります。
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