BOSS Gigcasterシリーズはジャンル的に言えば『ストリーミング・ミキサー』というらしく、近年気軽に個人が高画質で簡単に配信を行えるようになりました。ですが、オーディオ系の高音質を目指したセットアップを構築するとオーディオ・インターフェース、サンプラー、エフェクター、ミキサーと割と複雑な接続になり毎日配信をやっているストリーマーにとっては気軽とは言えないのです。
そんな中Gigcasterシリーズは前述の複数機器を一つにまとめた本当の『オールイン・ワン』です。実機を触ってみたのでそのレビューをしていきたいと思います。
Gigcasterシリーズには複数のパッドやフェーダー数の多い「8」それらを省いたシンプルな「5」の二つのラインナップになります、今回レビューするのは上位機種の「8」になります。
パネル上部を見ると目に飛び込んでくる大きめのパッドが8つ、そしてロングストロークの9本のフェーダーや一目でミュートだとわかるボタン、独立したヘッドホンボリュームノブ等々があり一度でもミキサーを触ったことがある人であればすぐに分かるレイアウト、そして大きめの液晶タッチパネルと、どう考えても使いやすい(わかりやすい)だろうなと思うのです。わずかな時間でサクサク音を出すところまで到達しました。
さてオールイン・ワンということで何ができるかを挙げると、マイク/ギター/ライン入力に対して専門機と同等のエフェクトを装備。もちろん各インプットに独立してかけられます(複数チェイン可)。特筆すべきは同社のギターマルチエフェクターの「GT-1000」譲りのアルゴリズムを搭載していて、たしかにエフェクトの一つ一つは高品位で、アンプシミュレーター部分も現在主流であるDAWのプラグインに引けを取らないものだったりします。
尚ギターエフェクトは液晶タッチパネル上でドラッグ&ドロップでチェインの順番を変えることができます。あと、あると便利なチューナーも液晶左上にありワンタッチで起動します。
8つあるパッドは大まかにわけて2つの機能があり、効果音や簡易的なBGMをトリガーできるサンプルパッドとしての機能と、インプットチャンネルごとのエフェクトのオン/オフ操作や、エフェクトのパッチの操作が出来るエフェクトパッドとしての機能があります。(なお、パッドを叩いた時にどのような動作をするかは、お好みにカスタマイズ可能です)
それでは、実際に配信する時のセッティングを簡単に追って行きます。今回は配信用のマイク、エレキギター、Roland SP-404MKII、iPadをそれぞれ接続しました。iPadのみBluetooth接続になります。PCも接続しているPC内のアプリの音をフェーダーに立ち上げる事が可能。
例としてYouTubeStudioでの配信をしてみます。接続はUSB-Cのケーブル一本でバスパワーで駆動し、PCのサウンド設定をGigcasterのドライバーに合わせてYouTube Studioの各種設定をすればすぐに配信ができます。各音源がフェーダーに立ち上がっているので、急な調整も容易にできるのが良いです!
今回はノートPCのカメラで配信しましたが、別途外部カメラやスイッチャーを使っても良いかもしれません。間にOBSのようなアプリがない接続なのでPCへの負荷がなく安心して配信ができます。
もちろん、テロップやインサート等高度なことはできませんが、ミュージシャンが手軽に演奏配信をする場合に、今、最も最適なソリューションと言えるのがBOSS Gigcasterなのかも知れません。
記事内に掲載されている価格は 2023年8月10日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ