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Rock oN : 最初にChilly Sourceのご紹介をお願いします!
DJ KRO : はい。Chilly Sourceは、音楽を軸にしてライフスタイルレーベルというかたちで色んなカルチャーを届けていこうというレーベルです。名前のChilly Sourceについてですが、チル(Chill) + 源(Source)という組み合わせで「音の源」を意味し、もちろんダブルミーニングとして「チリソース」を引っ掛け、スパイスを加えた「少し刺激あるチルな音楽を届ける」ことをコンセプトに掲げています。音楽を中心にしたクリエイティブを「全部自分達で、誰かの力を借りずに作ろう」というもう1つのコンセプトもあります。
Rock oN : レーベルをスタートされてからどれくらい経ちますか?
DJ KRO : ちょうど7年ぐらいです。それ以前から私はDJとして活動していて、YouTubeが大きな存在になり始めた時期に自分の音楽を現場のクラブだけじゃなくオンラインでも届けようと思いました。自分のDJミックスをYouTubeで始めたら反響があり、オンラインメディアを使ってレーベルを立ち上げようと思ったんです。オンラインとリアルな現場をクロスオーバーさせたレーベルを作ろうと思いました。
Rock oN : 音楽のベーシックにあるのはヒップホップですよね?
DJ KRO : はい。ヒップホップを軸にいろんな音楽を展開していますが、ヒップホップでもローファイロービート、ジャジーヒップホップを軸にしています。僕らは日本人なので、日本の良い音楽を紹介しようと思っています。現在の活動のメインはYouTubeで、私のDJ動画に加え、ビートメイカーやアーティストのMV等の映像作成も行なっています。現在、レーベルには私を含めた2人DJと、ここにいるTsubasa Dohiとfoolishがビデオグラファーで、さらに後で取材に合流するKAIRIがVJ兼ビデオグラファーとしています。さらにグラフィック関係が1人います。
Rock oN : 皆さんどうやって出会われたんですか?
DJ KRO : レーベルを立ち上げた時点に、私がネットで募集したんです。そしたら結構反響があり、たくさんのDMが来たんですが、そこから実際に連絡を取り会って話をしたりしました。
Rock oN : 特別、チームに入る厳しい試験とかあるんじゃなくて、自然に形成された感じなんですね?
DJ KRO : はい。結成当時は、チームとしてそれほどスキルはなかったんですが、自分達のクリエイティブ能力を上げよう思い、みんなで協力して作品を作っていた感じでした。徐々にアウトプットも増え、それぞれ成長していった感じです。別の仕事をしてたメンバーもいましたけど、今は映像1本で食べていけるメンバーもいます。ただし活動当初は、利益目的ではなく「チルな優れた音楽を日本に届けたい」という思いがメインでした。僕はこのレーベルを始める前から渋谷のクラブ等でDJをしてましたが、そこだけの活動だとどうしても音楽を届けられるのがクラブに足を運ぶ層だけに限られてしまうんですが、一方、家でまったりする時に聞くようなヒップホップも大好きで、そういった音楽もYouTubeで届けたいと思ったんです。
Rock oN : レーベル活動を重ね、どこかの段階で人気に拍車がかかったタイミングがあったわけですよね?
DJ KRO : そうです。音楽だけじゃなく、DJ、ビートメイカー、ラッパーに加え、映像クリエーターを含めた活動を行い、それぞれの作品がシンクロした時にレーベルの知名度が上がったと実感した瞬間がありました。
Rock oN : 映像はTsubasa Dohi さんとfoolishさんの2人で作っているんですよね?
Tsubasa Dohi : そうです。
Rock oN : では、まずはTsubasa Dohiさんが映像制作を始めたきっかけをお伺いしていいですか?
Tsubasa Dohi : はい。僕は、Chilly Sourceに入る前は愛知県で会社員やっていたんですが、車が好きだったので車をかっこよく撮るためにカメラ始めたのがきっかけでした。その頃、Chilly Sourceの活動をYouTubeで聞いてたんですけど、foolishさんが作ったMVを観て「めっちゃかっこいいな!」って思ったんです。Chilly Sourceのイベントを見に東京まで行ってみたいと思いつつ、映像を仕事にして生きていきたいと悩んでる期間が2年ぐらいあったんです。そのうちにたまたま人脈ができ、勢いで5年勤めてた会社辞め東京に拠点移すことにしました。貯金もないままフリーランスとして映像を始めたんですけど、東京に住んで2週間後くらいにChilly Sourceのイベントが宇田川町であったので足を運びました。foolishさんとは既にインスタでつながってたので、そこで初めて挨拶し「みんなに紹介してあげるよ」と言ってくれ、DJ KROさんともつながることが出来たんです。
DJ KRO : 彼が僕達のイベントに来てくれた時、ずっとカメラを撮ってたんですよ。
Rock oN : 勝手に?
DJ KRO : はい。ちょうど僕がDJしてる時に「カメラを持ってる子がいるな」と思って、後でfoolishに聞いたら、「すごく良い映像を撮るんですよ」ということで、インスタでTsubasa Dohiの作品を見たらすごくお洒落な作品で。僕らと気が合いそうだなと感じました。
Rock oN : なるほど。今はネットをキッカケにして人と出会うのは当たり前ですからね。では次はfoolishさん、このチームに入ったきっかけをお伺いしていいですか?
foolish : はい。僕は2010年前後のSEEDA、SALUを筆頭とする日本語ラップが好きで、そこからKOHH、AKLOといったマンハッタンレコード系のディスクレビューをずっと追い、その流れで、DJ KROさんのミックスをYouTubeで見つけ「いいな」と思ったんです。そこからファンになり、自分でヒップホップのブログ書いてたので、DJ KROさんのことも書きました。それをきっかけにして、KROさんからTwitterで連絡をもらったんです。その時はまだ地元の宮崎にいて、鍼灸師の仕事をやりながらカメラを始めたばかりでした。宮崎には、なかなかアーティストがいないので、田んぼでジィちゃんやバァちゃんをずっと撮ってましたが、「東京に行かないと何もできないな」と思い、東京のChilly Sourceのイベントに行き、DJ KROさんと知り合ったんです。
Rock oN : では、映像制作に関する機材のことを色々お伺いしたいと思います。
DJ KRO : DJミックスの映像に関して大きく2つに分けてますが、経費をかけずにライトに編集をしてスピーディーに作るバージョンと、Tsubasa Dohiとfoolishに協力してもらいカメラを複数台入れ、じっくり作るバージョンがあります。ライトバージョンを自分で作る場合、Blackmagic Pocket Cinema Cameraを使いますが、加えてiPhoneのカメラも使いますし、GoProをDJブースの上に置いて手元の映像を撮ったりしています。カメラはほぼ固定です。編集もDaVinci Resolveで1人でやりますし、撮影場所は自宅や、ちょっと外出した時に撮ったり、そんな感じでやっています。
Tsubasa Dohiとfoolishが入ってしっかり作るバージョンの場合は、彼らがいつも一緒にやってるチームのメンバーも加えた6人体制で撮りますが、ジンバルのDJI RS3 Proを使ったり、ドローンで撮ったりもします。もちろん、編集においては、彼らはカラーコレクションの質にすごくこだわってもらっています。先日、友人が所有するとあるリノベーションされた蔵をロケーションにして撮影したんですが、メインカメラはBlackmagic Design Pocket Cinema Camera 6K Proを3台使いました。ジンバルに載せるカメラは、ワンオペになるのでオートフォーカスに利点があるSONY FX3を使用し、DJの手元寄りはGoProで正面から狙い魚眼風に撮りました。トータル5~6台のカメラ構成ですね。
Tsubasa Dohi : 撮影前には、撮影する空間やDJブースの配置をみんなで理解した上で、レンズや照明、プロップのレイアウト、エキストラを入れるか等、しっかりと打ち合わせを行います。
DJ KRO : 先ほど話した蔵は、所有する友人がインテリアにこだわっているので、美術を作ってもらった上で、カメラどう入れるか、またライティングについても彼と美術担当と相談しながら撮影しました。
Rock oN : Blackmagic Design Pocket Cinema Camera 6K Proの性能はいかがですか?
Tsubasa Dohi : 私がPocket Cinema Cameraを選ぶ時の理由ですが、編集時にダイナミックレンジが必要になってくるんですが、Pocket Cinema Camerは編集時の振り幅の限界値が他社製品より高いんです。カラーコレクションの作業にすごく影響してきます。例えばビューティー系の仕事など、肌の質感を大事にしたい時は必ずPocket Cinema Cameraを使うようにしています。また、フィルム調のドラマや映画っぽいMVを作りたい時も、Pocket Cinema Cameraの方が最終的な作品のイメージを描きやすいし、Pocket Cinema Cameraでとりあえず撮っとけば編集でいくらでも対応できる安心感があります。
DJ KRO : 私もそれをすごく感じます。絵が柔らかいというか、質感がiPhoneと全く違うので、撮っただけでもうシネマっぽくなります。プロじゃなくてもすごく使いやすいカメラだと思います。操作方法も楽ですし。
Rock oN : 編集は DaVinci Resolve をお使いということですね。
foolish : はい。僕は最初はFinal Cut Proで、その後、Premiereに行きました。それからDaVinci Resolveに乗り換て2年くらいになります。自分の作風として人から「色が綺麗」と言われることがあるんですが、シンプルなカット割りが自分の作風に多いので、一番大切になってくるのがカラーコレクションやカラーグレーディングの工程なんです。なので、一貫してDaVinci Resolveで出来たほいがいいと思い、使い始めました。今はほとんどの案件をDaVinci Resolveで行っています。
Rock oN : 最終的にはDaVinci Resolve上でカラーコレクショを行い、色を追い込むと思うんですが、撮影時点で気をつけていることはありますか?
foolish : 僕は、ホワイトバランスや露出をある程度整えて撮影し、カメラの持つ特色を最大限活かすために、DaVinci Resolve上で、まずは通常の良い状態に色を揃えます。そこから、シャドウやハイライトでどう色を入れるか、また、別のクリエイティブLUTを組み合わせ、ちょっと自分の色を加えていく作業を必ず入れ、最後に肌の補正等を行って質感を作る感じです。グレインやビネットといったエフェクトは最後の最後でかけます。
記事内に掲載されている価格は 2024年3月19日 時点での価格となります。
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