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第1回:ミュージック・ワークステーションの歴史、NAUTILUS概要、ピアノ音源特集
NAUTILUS特集 第2回:アナログモデリング音源
第2回は、NAUTILUSに搭載される3つのアナログ・モデリング音源をご紹介します
MS-20EX は1978年に発売された名実ともに世界で有名なシンセサイザー KORG MS-20 を忠実に再現。パッチ・パネルの機能を大幅に拡大し、当時の上位機種であったMS-50に迫る音作りの自由度を実現しています。
PolysixEX は1981年に登場したプログラム・メモリー付き、6ボイス・ポリフォニック・シンセサイザーの名機 Polysix を忠実に再現するだけでなく、多彩な拡張機能を追加。
AL-1 は KORG OASYS に初めて搭載された新次元のアナログ・モデリング音源。折り返しノイズを一掃し、アナログ本来の伸びのある艶やかなサウンドを実現しつつ、オシレータ波形やフィルターのモーフィングなど、従来のアナログ・シンセサイザーでは不可能だった新しいサウンドを生み出します。
まずは NAUTILUS 音源共通機能 AMS (Alternate Modulation Source) について
AMSは、音色パラメーターをNAUTILUSのコントローラーやエンベロープ、LFO 等で、モジュレーションをかけることができる機能で、多くのパラメーターがAMSに対応しています。例えば1つのコントローラーで複数のパラメーターに同時モジュレーションしたり、LFOの周波数をエンベロープでモジュレーションして、そのLFOでフィルターにモジュレーションをかけるなど、非常に自由度の高い機能です。AMSは NAUTILUS で音色エディットする際の重要な機能で、シンセサイザー音源でその威力を発揮します。ここを理解しておくと非常に複雑な音色作りが可能になり、特にFM音源では無限の音作りを可能にする機能ですので、次回予定記事 VPM/FMシンセシス音源 でさらに深くご紹介します。
モジュレーションソースをミックスする AMSミキサー
AMSミキサーを使用すると複数のモジュレーションソースをミックスする事が出来ます。ソース信号がミックスされる方法は6通り!
アナログモデリング音源1:MS-20EX
CMT (Component Modeling Technology) は、コルグ電子回路モデリング・テクノロジーの略で、これまでのモデリングで行われている “出音をシミュレーションする手法” ではなく、オリジナルモデルで使用していたトランジスター、コンデンサー、抵抗といった部品をデジタル化し、それらを使ってオリジナルと同じ回路を再構築しています。これにより、回路全体から生まれる複雑なサウンド / パラメータ特性を完全に再現する事が可能になりました。
MS-20EX の主な特長
Oscillators & Filters画面の主な機能
・三角波
・ノコギリ波
・矩形波 / パルス波 (パルス幅を変調可能)
・ホワイト・ノイズ
●OSCILLATOR 2
・ノコギリ波
・矩形波 (固定)
・パルス波
・リング・モジュレーター
カットオフ周波数より低い成分をカットします。
●ハイパス・フィルターPEAK
カットオフ周波数付近の周波数を強調するレゾナンスを調節します。
●ローパス・フィルター
カットオフ周波数より高い成分をカットします。
●ローパス・フィルターPEAK
カットオフ周波数付近の周波数を強調するレゾナンスを調節します。
Random にすると、ノート・オンのたびに異なる定位で音が出ます。
●ANALOG
VCO、VCF の周波数をかすかに揺らすことにより、アナログ・システムの不安定さをモデリングします。
●MODULATION
MG(MODULATION GENERATOR)やEG(エンベロープ・ジェネレーター)がピッチやフィルターカットオフを変調する深さを設定します。
MG, EG, and Modulation画面の主な機能
KORG MS-20 や Polysix ではLFOをMODULATION GENERATOR(略してMG) と呼びます。矩形波と ノコギリ波/三角波を常に生成しており、パッチ・パネル経由で両方を同時に使用することができます。“WAVEFORM” ノブは、 矩形波のパルス幅をコントロールし、ノコギリ波/三角波の左 から右への傾きをコントロールします。テンポ同期した音符設定をすればリズミカルな変調も可能です。
MS-20EXではMGの他に、NAUTILUS独自のLFOが4基も追加されており、音作りの幅が大きく広がっています。
・DELAY TIME
・ATTACK TIME
・RELEASE TIME
●ENVELOPE GENERATOR 2
・HOLD TIME
・ATTACK TIME
・DECAY TIME
・SUSTAIN LEVEL
・RELEASE TIME
MG Tri, MG Pulse, EG 1, EG 1 REV, EG 2, EG 2 REV, List of AMS Sourcesにより、下記のパラメーターを変調可能
・HPF CUTOFF
・LPF CUTOFF
・VCO1 PULSE WIDTH
・VCO2 PITCH
・AMP
●EXTERNAL MODULATION 2
・HPF CUTOFF
・LPF CUTOFF
・FM MG/T.EXT
・HPF MG/T.EXT
・LPF MG/T.EXT
パッチ・パネル画面
MS-20EX の主なセクション(VCO、フィルター、MG、EG などを含む)は、パッチ・ケーブルを接続しなくてもそれぞれが最初から接続されています。パッチ・パネル上の線と矢印は、パッチ・ケーブルを使用していないときの通常の信号経路を示しています。インプット・ジャックにケーブルを接続するとその信号経路は 断たれ、代わりにケーブルからの信号を使用します。例えば、MG は “TOTAL” ジャック(イン)に接続されています。“EG1 OUT” ジャックを “TOTAL” ジャック(イン)に接続すると、MG は切り離されます。
MS-20EX 独自のパッチ・パネル
オリジナルの MS-20 に対し、MS-20EX はパッチ・パネル上にいくつかの重要な機能が追加されています。
2 入力ミキサー 2 基(位相反転機能付き) これらの機能は次に挙げるような新たな可能性を広げます。
本家本元による最強のMS-20モデリング
KORG MS-20はオリジナルのアナログシンセ製造が終了してからも、これまでミニサイズでの復刻やソフトシンセでの復活、そして待望の完全復活を遂げた MS-20 FS など、この特別なモデルを愛するミュージシャンが数多く存在します。NAUTILUSに搭載されているこのMS-20EXは、ソフトシンセで発売されている MS-20 V2 にNAUTILUS 独自の機能が追加されているため、事実上最強の MS-20モデリングシンセです。コルグのアナログシンセはオシレーターの力強さ、中域の濃さと粘りを生み出すフィルターも特徴的です。オリジナルのアナログシンセではモノフォニックという事もあり、リードやベース、シーケンスに使用される機会が多かったのですが、このMS-20EXならば最大なんと40ポリフォニック!特にお勧めはフィルタースイープするPADサウンドで、MS-20の豊潤なフィルターサウンドが堪能できます。モノフォニックのベース、リード、定位ど真ん中を感じる中域中心の音作り、貼りつくようなコードサウンド、フィルタースイープサウンドなどにお勧めのアナログモデリング音源です!
アナログモデリング音源2:PolysixEX
PolysixEXの主な特徴
PolysixEXメイン画面の主な機能
SAW
伝統的なアナログ・シンセ・サウンドの1つである、ノコギリ波を生成します。
PW
パルス波形を生成します。
PWM
PW に LFO でモジュレーションをかける波形を生成します。LFO のスピードは、“PWMSPEED” でコントロールし、“PW/PWM” では、最大パルス幅を決定します。
PW/PWM
PW に設定した場合、このパラメーターでは波形の形状を直接コントロールします。
PWM SPEED
PWMに使用する LFO のスピードをコントロールします。
VCO にはサブオシレーターを搭載。 1オクターブ又は2オクターブ下で設定可能。
●MG (Modulation Generator)
・TEMPO SYNC
・KEY SYNC
・BASENOTE
・MODE
●VCF
・CUTOFF
・RESONANCE
・EG INTENSITY
・KBD TRACK
・ATTACK
・DECAY
・SUSTAIN
・RELEASE
※オリジナル Polysix とは異なり、PolysixEX はAMSを活用する事で VCF と VCA に別々の EG を使用することができます。
●EFFECTS
Polysixのサウンドを印象付ける、素晴らしい内蔵エフェクトも見事に再現されています。
・CHORUS
・PHASE
・ENSEMBLE
Mod & Arp画面の主な機能
2系統用意された External Modulation セクションでは、AMS ソースを使用して 1個のモジュレーションを複数のパラメーターにかけることができます。
変調先パラメーター
・VCO PULSE WIDTH
・VCF CUTOFF
・VCA GAIN
・MG LEVEL
・KEY SYNC
・TEMPO SYNC
・BASENOTE
・SPEED/TIMES
・RANGE:(1OCT, 2OCT, FULL)
・MODE:(UP/DOWN, DOWN, UP)
・LATCH
このパラメーターは、VCO、VCF の周波数をかすかに揺らすことにより、アナログ・システムの不安定さをモデリングします。
極上のPAD、極上のディチューンサウンド
Polysix は同時発音数が Prohet-5 よりも1音多い、6音ポリを実現したという事が80年代では画期的でした。左手で2和音、右手で4和音演奏できる事は普遍的なバッキング演奏の幅が広がり、この最新の PolysixEX ならば180ボイスなのでポリ数の心配はご無用です。シンプルな回路構成で、変調した攻撃的なサウンドよりもコード弾きやPADサウンドに重宝するシンセです。アナログシンセ独特のにじみが感じられ、オリジナルに搭載されていた内蔵エフェクト(コーラス/アンサンブル/フェイザー)の再現が素晴らしく、左右に広がるディチューンサウンドが特徴的。アナログシンセの不安定さを再現するANALOGパラメーターが、サウンドに有機的なゆらぎと深さを与えてくれます。特にPADサウンドには独特の世界観を持っており、温かく包み込むサウンドがとても秀逸。バッキングを力強く支えるだけでなく、アタックの強い楽器とレイヤーして使うと、とてもリッチなサウンドが見事に完成します!
アナログモデリング音源3:AL-1
AL-1の主な特徴
AL-1の構造が一目瞭然!ブロック・ダイアグラム
シンクとFMモジュレーション可能な2オシレーター、ノイズジェネレーター、サブオシレーター、外部オーディオ入力、リングモジュレーターがミキサーに入力され、フィルター、ドライブ、アンプを経て音が完成します。各ブロックを変調するLFOが4基、エンベロープが4基、AMSミキサー2基、ステップシーケンサーが用意され、アナログシンセに求めるサウンドのほとんどが、このAL-1でカバー出来てしまいます。
オシレーター部の主な機能
・Saw
・Pulse
・Saw/Pulse
・Double Saw
・Detuned Saw 1
・Detuned Saw 2
・Triangle
・Square/Triangle
※オシレーター2にはTriangleとSquare/Triangle非搭載
●Initial Phase
オシレーター 1 の初期位相を 1 度単位で設定します。Random にするとノートごとに波形がランダムな位置でスタートし、アナログシンセの各オシレーター間で位相関係が変化するのを再現します。
Waveform が Saw/Pulse か Square/Triangle のとき、2 つの波形がクロスフェードします。
●FM/Sync (OSC2)
FM Amountはオシレーター1でオシレーター2を変調します。
これはProphet-5のポリモジュレーション機能 “Osc B to Freq A” と似ていますが、AL-1は 16オクターブという、Prophet-5の実に8倍の深さを持ちます。
Syncはオシレーター1がオシレーター2のピッチをコントロールし、オシレーター2のフリケンシーを変化させると、そのピッチではなく音色が変化します。FM、Sync、Ring Mod はすべて同時に使用することができます。
オシレーター 1、オシレーター 2、サブ・オシレーターの高周波成分を設定します。0 にすると米国製のヴィンテージ・アナログ・シンセサイザーに似た音色になり、値が大きくなるほど音に「エッジ」が加わります。マイナスの値にすると、暖かく暗いようなサウンドになり、KORG MS-20 に似たオシレーター音になります。
フィルター部の主な機能
アナログライクな図太い音を生み出すDriver
低域ブーストをコントロールして独特のサチュレーション効果を作り出します。サウンドを微妙に太くしたり、極端なディストーションをかけたりなど、幅広い効果が作れます。エフェクト部のオーバードライブとは違い、ボイスごとに処理されるため、発音数によるレベル差の影響を受けずに一定な音色が得られます。
2つのおもなパラメーター、“Drive” と “Low Boost” が同時に作用して、ドライバー全体の効果を作ります。“Drive” はサウンドにエッジ感を与え、“Low Boost” は低域をブーストするだけでなく、サウンド全体に質感を与えます。
●Drive
ドライブ量を設定します。値が小さいとサチュレーションは柔 らかになり、値が大きくなるとディストーションが顕著になります。
サウンドの質感をコントロールします。効果のかかる特定の EQ 周波数は“Drive” 設定で変化します。値が大きいほど低域がブーストされ、“Drive” の効果も強まります。
ビブラートはもちろん、難解な音変化を生み出す18種のLFO波形
●Start Phase
波形の位相の起点を 5 度単位で設定します。
●Shape
基本波形を変形させ、波形に丸みをつけたり、とがらせたり、特定の範囲を強調する使い方が可能です。
●Frequency Modulation
2 つの AMS で LFO のスピードを変調可能です。
作曲琴線をガシガシつまびく THE コルグ・サウンド!
AL-1はアナログシンセサイザーに求められる機能が網羅され、NAUTILUSに搭載されるアナログモデリングシンセの大本命です。その守備範囲と懐の深さにコルグシンセサイザーの歴史を感じます。30年以上前の、アナログシンセをサンプリングして波形を鍵盤にマッピングしたKORG M1を知るワタクシにとって、今回試聴したプリセットの中には懐かしいと思う音色が多数ありました。M1に搭載されたPCM波形や音色名に付いていた「ANA」という文字は「ANALOG」の略だったわけですが、そのPCMプリセットサウンドが NAUTILUSのCPUでリアルタイムに生み出されている!という感動があるのです。
AL-1を演奏すると、これぞコルグサウンド!と思える音色の数々に出会えます。中域の重厚さと艶を持ったサウンドには、復刻された miniKORG 700FS を代表するコルグのオリジナリティが光ります。それぞれの音色が「メロディを呼び降ろす」楽器として完成し、作曲琴線をガシガシつまびくサウンドが音楽を作るきっかけを与えてくれます。シンセストリングス、Pluck系、PAD、シンセブラス、リード、シンセベースなどなど、音楽のアイディアをすぐ形にできる、超即戦力アナログモデリング音源です。それでは次回もどうぞお楽しみに! (SCFED IBE)
KORG NAUTILUS 61鍵、73鍵、88鍵 ラインナップ