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私が以前持っていた「パワーは十二分にある」と当時謳われていたMacProは、もう曲を作らないかなと思い切ってリサイクルにてさよならしております。
フルスペックは流石に無理なので、できる限り最低限のスペックで探していきます。しかし考えれば考えるほど「メモリは16Gじゃないとダメなのか」とか「CPUも上げた方が良いのか」と迷いましたが、諦めずにネットにて情報を集め、最終的に「8Gでもイケる」と記載があったのでこれを信じ、ストレージ以外はデフォルトのままのモデルで検討していきます。
調べるとわかるのですが、現在新機種で出ているM3はもはやデフォルトでも十分にパワーがあるという噂で、そもそもApple Siliconになってから評価の高いことが見て取れます。本当かな?とは思ったんですけどね。
また、渋谷店にいらっしゃるアーティストさんからも「M3のパワーと8Gメモリでどこまでできるのか?」という疑問も多数いただいており、自分も自信持って行けるぜ!とは言えなかったので、これを機に下記のモデルに決定しました。
MacBook Pro 14” M3 2023年モデル
・メモリ 8GB
・Mac OS Venture
・ストレージ 1TB(デフォルトのモデルでストレージだけアップグレードの状態)
別に大したアップグレードはしていないですが、それでも新しいMacはワクワクしますね。ちなみにMacBook Proは後でカスタマイズは不可なので、ストレージだけは1TBにしてます。導入される方はご注意ください。(アプリだけでもすぐに埋まっちゃいますので)
なお同スペックでMacBook Airも存在し、メモリとCPUだけ見ればMacBook Proよりも安く購入可能です。重さと画面の大きさ的にコンパクトを求めるならAirがおすすめです。
それでは実際に動作の感じなどレビューしていきたいと思います!
アプリをインストール
まず最初に、最低限入れるアプリを入れていこうと思うのですが、ストレージが1TBしか無いので、サンプル系の大容量音源は極力入れない方向で環境を整えていきます。
私の場合はPro ToolsがDAWで、過去の資産としてAddictive Drums 2や、Ample Sound、そしてOmnisphere(これはサンプルも入っちゃってますが)を持っておりましたので、これらを入れていき、Native Instrumentsは「BATTERY 4」のみに留めます。
知っての通りドラムやピアノなどのサンプルベース系の音源はすぐに容量が埋まってしまうので、Addictiveのようにインストール容量を食わない製品を選定していきます。
入れた音源
上記に加えてPro Toolsが入ってストレージは大体200GBちょっと超えたくらいの使用になりました。(他のアプリもカウントされてしまっているので、実際は200GBあれば最低限入りそうです)
なおピアノ音源は別にAvid付属のMini Grandでよかったのですが、梅田店の日下部こと「べっち」がUJAMのレビューを作って欲しいとのことなので、ピアノ音源として「UJAM Virtual Pianist SCORE」も駆使して曲を作っていきます。それでは早速動作チェックしていきましょう。
今回使用した音源、セッションステータス
今回使用した音源
DAW
Pro Tools 2023.12
ドラム
xln audio Addictive Drums 2:1トラック
xpand!:1トラック
Native Instruments BATTERY 4:1トラック
ベース
Ample Sound Ying-Yang::1トラック
ピアノ
UJAM Virtual Pianist SCORE:2トラック
シンセ
Spectrasonics Omnisphere 2:4トラック
Other(AUXトラックにて使用)
DDMF Metaplugin Synth on VOCALOID 5 Editor:1トラック
Guitar(Effect)
IK Multimedia Amplitube 5:5トラックぐらい
セッションステータス
まず初めに上記の内容でいくとトラック数が16を超えてきますが、大体シンセを8トラックくらい使用時点でPro Toolsのメモリ使用率が大体70%行かないくらいという感じです。
そこでGuitar用のアンプシミュレーターをかましてくると、ちょっと怖いかなという感じで、90%を余裕で超えていきます。(Pro Toolsでメモリ足りないよって来ます)
Macのアクティビティモニターでは、Pro Toolsで50%使用すると4.4GB近く使用されるようなイメージで、70%近くになると5GBと、通常運転よりもややプレッシャーを与えている状況になり、90%を超えると7.71GBと8GB Maxに対してだいぶいい感じに圧を与えております。
作業におけるモニター環境ですが、今回の作曲ではインターフェースは別に使わなくても作れるので、Mac本体のヘッドフォン端子でOKです。こんな環境ですが、すこぶる快調に動いております。
ここまで割と動きが安定しているのはApple SiliconがNativeにサポートされているプラグインのみを使用しているからだと思われます。
もし新しいMacを検討している方は、最新のソフトウェアも合わせて検討し、参考にしていただければと思います。(古いのはこの際に使わない選択肢もご検討ください)
DDMF / Metaplugin Synthを導入
ボカロ系を打ち込むにあたってDDMFのMetaplugin Synthを使用しました。
これはPro ToolsがAAXなため、AAXに対応していないプラグインを使用するために入れてみましたが、VOCALOID EDITORを動かすべくCUBASEをこれだけにいれるのはどうかなと思いまして、Pro Toolsでも動かせる術はないかと、バウンス清水に聞いたら、DDMFのMetaplugin Synthがいいというので、買ってみました。
とても快調に動いており、ボカロ作曲者でPro Toolsを使用したい方はおすすめです。(まあCUBASEやLogicを使用される方には、特別不要ではありますが)
ただ、ボカロのEditor側で編集する際、スタートなどは使用できずPro Tools画面に戻らないと再生できないのは難点ではありますが、昔みたいにカラオケに書き出してあっち行ったりこっち行ったりしなくてもよくなったので、だいぶ嬉しいプラグインです。
8トラックくらいの基本構成であれば全く問題ないパワー
さてさて、無事にカラオケがある程度できましたので、ソロギターリストの天野とベースは多田にお願いして、ちょっとバンド要素のあるサウンドを録って頂きます。
無事に録音素材も揃ってきましたので、次は軽くアレンジをすべく音などを加工しつつ、トラックを増やしつつ動作の様子を見ていきます。ここは過去の経験から、プラグインを突っ込んでやりすぎてしまい、後で立ち上げ起動した時に立ち上がらなくなるのが面倒臭いので、ビクビクしながら状況を見て進めていきます。
結果としては、体感的にある程度基本的な部分は突っ込んでも問題はなさそうで、8トラックくらいの基本構成くらいであれば全く問題はないパワーはあることがわかりました。
8GBでただのM3なので、この段階で止まるかなと思ったんですが、もう昔の薄いMacBook AIrとは違うんですね。すごいですね!
しかし、今回は自分で演奏し、Amplitubeを使用しての録音などは行なってはいないので、レイテンシー部分はわからないです。でもCPUは20%止まりなので、割と余裕はあるのではないかなと思っております。。
素材も並べて、全体の雰囲気もある程度方向性が見えてきましたので、Omnisphereのシンセのサウンドを決めて行ったらオーディオに都度コミットしていきます。
動作において軽くするのもそうですが、このMacBook Proが14”と画面がコンパクトなため、トラック表示がとても細かくなってきます。そのため何回か別のトラックの音色を弄ってしまう事故がよく起きたので懲りて、ちゃんと決めたら見切りをつけてどんどん書き出していきました。
凝れば凝るほど、やっぱり16GBはあった方がいいかも
作曲される方の性格にもよりますが、私はシンセもある程度固めてからギターの音作りに行った方が良さそうでした。(ギターメインでやられたい方は逆がいいかもです、別にきまりはないですが)
このやり方の組み上げであれば、この紹介のMacのモデルでもパワーは十分かなと思います。
Amplitubeが同時だとメモリが不足しがちで、音色選びの際に不安になってきます。記事と並行して曲を作っており、リアルタイムな挙動感を試しながら書いておりまして、凝れば凝るほどやっぱり16GBはあった方がいいかもとは何度か思いました。
まあ、でもパワーが有り余っても全体的に収集つかなくなるので、この作り方でいい感じに出来るよう練習していきたいと思います。
都度書き出せば、MacBook Pro 14″ M3 8GBメモリで十分かなと
さて、前述の通りシンセだけを使うだけならまだしも、問題はAmplitubeが結構メモリを食ってしまうのが最初に申し上げた使用率の90%に当たる部分です。
5トラックを使用するとシンセの多さに関係なしに、メモリに対してだいぶ圧が加わってきます。
一応Apple Siliconから「スワップ」という機能が備わっており、メモリが足りなくなってもSSDをメモリとして使ってくれるのですが、いかんせんDAW上においては物理メモリが使用されているので「もうメモリないよ!」ってアラートが頻繁に出てきます。
でも表示が出てくるだけで落ちたりしないです。というか強制終了になったことがこれまでの作業で起きていないので、多分中では多少は余裕はあるんだとうなと。
とは言え、色付けの部分は何であれ、音にはちょっと拘りたいので、ここが一番音色の吟味が多くなりメモリの使用量も増える一方です。
なので、ある程度決まったらコミットするのがベストでしょう。
都度書き出しであればMacBook Pro 14″ M3 8GBメモリで十分かなと思います。ご参考までに。
ちなみに最終的に集まったオーディオ素材は数えるのが面倒なので分かりませんが、84ボイスになりました。
最終的に渡すための最低限のPro Tools付属AIR EQとChannel Stripが入っているトラックがありますが、波形データのみであれば、8GBメモリでも全然余裕があります。
なので録音重視やライブパフォーマンスにおける再生のみとかでしたら、だいぶこのスペックでも問題ないのではないかなと思います。(画像は再生中の時にスクショしたもの)
楽曲が完成!!!
無事に曲も完成してきましたので、最後にバウンス清水にATMOS Mixをお願いすることにしました。(今後ATMOSのサウンドネタにできたら一石二鳥かなと思ったので、やってみました)一度ATMOS Mixができたら、バイノーラルに落とし込んで2Mixに書き出してもらいました。
バウンス清水先生にはATMOSから2Mixにしていただいたり、2Mixを作ってみてもらったりと様々な実験をやっていただき、結果を聞かせてもらったり。ただ、今回のコンセプトとしてATMOSでの展開を考えておりましたので、最終的にYoutube動画の楽曲はバイノーラルでの2Mixを合わせて公開しております。
多分、まだATMOSの楽曲としては最初にステレオで仕上げて、その後にATMOSにされるケースが多いかと思いますが、今回はATMOS Mixを先行し、そこから2Mixのバイノーラルに落とし込む形になっており、サイドの余白の聴こえ方がだいぶ違って聴こえてきます。この発想でいくとまた新しいアプローチができるかなと思います。
なお、ATMOS用の音源はApple Musicなどでも聴けるよう公開をいたしました。
2024年4月6日から問題なければ配信になります。
まとめ
記事内に掲載されている価格は 2024年4月5日 時点での価格となります。
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