第一線で活躍するクリエーターのインタビューやコラムなど、音楽と真摯に向き合う作り手の姿があなたの創作意欲を刺激します!

長年レコーディングやDJの第一線で活躍し、自宅での真空管アンプなど音響機材にもこだわりを持つアーティスト・DJのナツ・サマーさん。今回は、ゼンハイザーの最新密閉型スタジオヘッドホン「HD 480 PRO」を、普段のDJ現場や自宅でのレコーディング(仮歌入れ、チェック)での使用体験を交えながらレビューしていただきました 。さらに、同シリーズのオープン型「HD 490 PRO」との比較や、プロならではの実践的な使い分けについても語っていただきました。
基準となる愛機と「高品位密閉型」がもたらす圧倒的な没入感
ナツ・サマー:普段は自宅でのリスニングやDJプレイ、そしてレコーディングなどの用途で他社製のヘッドホンを使用してきました。しかし、このゼンハイザーの「HD 480 PRO」を装着した瞬間、あまりの「バランスの良さ」に感動レベルの衝撃を受けました。これまでのレコーディング現場では、中音域がドンと前に張り出す定番ヘッドホンを使うことが多かったのですが、その音が時として生々しすぎて「耳が痛い」と感じることがよくあったんです。つまみで音を調整しようとしてもなかなかまとまらないこともあり、これまでレコーディング現場ではずいぶん痛い思い(聞き疲れ)をしてきました。
ところが、このHD 480 PROは、つけた瞬間から全体のバランスが驚くほど良いんです。密閉型ならではの優れた遮音性と、極上のクッション性を持つパッドが耳全体をしっかりと包み込んでくれます。耳元でただ音が鳴っているというより、まるで自分がその広いスタジオやホールの中にいて、「部屋全体が鳴っている」かのような臨場感と極めて自然な空間の広がり(没入感)が得られます。
製品情報
Sennheiser HD 480 PRO
・数十年にわたるドイツの設計技術を駆使し、ルーマニアで手作業で組み立てられた緻密なクローズドバック・スタジオヘッドホン。
・インピーダンス:130 Ohm
・周波数特性:3 Hz – 28,700 Hz
・最大音圧レベル:130 dB (1 kHz @ 5 % THD)
・感度:107 dSPL (1 kHz / 1 Vrms), 98 dSPL (1 kHz / 1 mW)
・歪み率(THD):0.5%未満
・質量:272 g(ケーブル除く)
・付属品:3m コイルケーブル、PROヘッドホンバッグなど
上品でずっしりとした低域。隠れた音を呼び覚ます「振動減衰システム」の威力
ナツ・サマー:HD 480 PROの実力をより深く検証するために、藤原ヒロシさんにミックスを手がけていただいた私自身の楽曲を聴いてみました 。私の楽曲はレゲエやダブの要素が強く、ベースやドラムの低音が非常に豊かな、いわばかなり「低音を突っ込んだ」サウンドに仕上がっています。一般のヘッドホンだと低域が歪んでしまったり、飽和して音が割れたりしやすいのですが、HD 480 PROはまったく歪まず、めちゃくちゃクリアに再生してくれました。ゼンハイザー独自の「振動減衰システム」の恩恵でしょうか、不快な歪みや反射音が極限まで除去され、ずっしりとした迫力のある重厚なローエンドが、耳元に痛く刺さることなく極めて上品かつクリアに響いてきます。
さらに驚いたのは、今までレコードで何度も何度も聴いていたはずの自分の曲から、「えっ、こんな音が入っていたんだ!」という新しい発見があったことです。奥深くに隠れていた微細な音の配置や定位が立体的にはっきりと浮かび上がって飛び込んできたのには、本当にびっくりしました 。何度も流し聴きしていた音楽を、もう一度このヘッドホンで全て聴き直してみたいと思わされるほど、解像度と表現力に違いを感じます。

半日の歌い込みもストレスフリー。人間工学デザインと現場目線の機能美
ナツ・サマー:私はレコーディング前に自宅で何度も仮歌入れをすることが多く、ニュアンスの微調整やレコーディング、試聴・チェックを繰り返していると、気がつけば半日近く(12時間近く)もヘッドホンをつけたまま作業していることがあります。一般的なヘッドホンは長時間つけていると、どうしても頭が締め付けられて痛くなってしまいますが、HD 480 PROはベロア製のパッドが驚くほど柔らかく、不快な圧迫感がありません。特に私は家ではメガネをかけて作業することが多いのですが、メガネのつるが圧迫されて痛くなるようなことも全くありませんでした。メガネ用の溝付きイヤーパッドや、人間工学に基づいた細やかな設計の素晴らしさを実感します。
また、DJの現場視点から見ても、頑丈なロック機構付きのカールコード(ケーブル伝搬ノイズを遮断するコイル構造)や、レコードを探すなどの激しい動きでもずれにくい高い密着性は、真夏の過酷なクラブ現場などでも非常にタフに活躍してくれる機能美を感じます。さらに、コンパクトに折りたためる点や、蒸れにくいベロアパッドが経年劣化でボロボロ剥がれてこない点も、DJ現場への持ち運びにおいて極めて実用的で素晴らしいですね。

オープン型の名機「HD 490 PRO」との比較、そして使い分け
ナツ・サマー:今回は、参考として同シリーズのオープン型(開放型)である「HD 490 PRO」も合わせて試聴させていただきました。こちらは、HD 480 PROに比べて非常にライトな着け心地で、のんびりと自宅でレコードを楽しんだり、適度に周囲の生活音を感じながら音楽を聴くようなリスニング用途に心地よい軽さがあります。
一方で、私自身の声の細かなニュアンスを徹底的にチェックしたり、レコーディング時の歌い込みなど、音の世界に「100%没頭して作業を突き詰める」プロフェッショナルな領域においては、この密閉型「HD 480 PRO」が提供してくれる「圧倒的な遮音性と極限の没入感」が何よりも大きな武器になります。作業の局面や目的に応じて密閉型とオープン型を使い分けることで、それぞれの真価がさらに引き立つのではないでしょうか。
アーティスト/DJにとって「お家での音作りに妥協しない」ということ
ナツ・サマー:このHD 480 PROは、実勢価格を見ても決して安いものではありません。しかし、1度この「真実の音」を体験してしまえば、間違いなくその価値に納得して欲しくなるクオリティです。日本の住宅環境を考えると、壁の薄いマンションなどに住んでいて、自宅スピーカーで十分な音作りやリスニングができないというクリエイターや音楽ファンは非常に多いと思います。だからこそ、こうした最高峰のヘッドホンに投資することはとても合理的です。スピーカーを鳴らせない環境であっても、このヘッドホンさえあれば、極上の立体音響空間をそのまま手に入れることができます。
私のように歌入れを行うボーカリストはもちろん、プロモーションビデオ(PV)を撮影・編集する映像制作のクリエイターにとっても、不快感なく長時間の緻密な音作業を行えるこの機材は、インスピレーションを無限に刺激してくれる最高のアシスタントになるはずです。
ゼンハイザーは昔から愛用ブランドなんです。YMOのLIVE映像や、バブル時代の映画『波の数だけ抱きしめて』で中山美穂さんがゼンハイザーの可愛いヘッドホン(HD414X)をつけている姿に憧れて買った思い出もあるほど、デザイン性も含めて特別な存在なんです。 そんな誇り高い歴史を持つゼンハイザーだからこそ、このHD 480 PROの圧倒的な機能美とサウンドのリアリティを、ぜひ多くの音に関わる方々に一度体験していただきたいですね。

こちらもご覧ください
メーカー製品ページ
HD 480 PRO
https://www.sennheiser.com/ja-jp/catalog/products/headphones/hd-480-pro/
HD 490 PRO
https://www.sennheiser.com/ja-jp/catalog/products/headphones/hd-490-pro/
記事内に掲載されている価格は 2026年8月20日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ