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こんにちは!Rock oNスタッフのAMANOです!
近年盛り上がりを見せるヘッドフォン・ミキシング用のヴァーチャルモニタープラグイン。Waves Nxを筆頭にSteven Slate Audio、Acustica、Immerse(Embody)、Dear Reality等、様々なメーカーが活発に開発をしていて、ユーザー側の選択肢も増えてきた印象です。今回ご紹介するWaves CLA Nxは2021年8月に発売したてのプラグインで、Waves Signatureシリーズでお馴染みの著名プロデューサー、エンジニアであるクリス・ロード・アルジ氏監修の元、クリス氏のスタジオ「Mix LA」のコントロール・ルームの音響特性を再現し、ヘッドホンでの作業の際にあたかもスタジオのモニタースピーカーで聞いているような感覚で作業が出来るプラグインです。個人的にもSPLのPhonitor等、こういった製品は好きなので注目していました。それでは早速レビューしていきましょう!
CLA Nx:伝説的エンジニア「クリス・ロード-アルジ」のスタジオでミキシング
CLA NxはAAX/VST/AU等の形式のプラグインですので、DAWにインサートして使用します。マスターにインサートするか、ヘッドフォンモニター用にマスターから送るバスを作成しても良いでしょう。今回はPresonus Studio One 4を使用し、ミックス済みの音声をインポートし再生してみました。
CLA Nxを立ち上げると別のアプリケーションとして[WavesHeadTracker]が立ち上がり、ヘッドトラッキング等の設定が行われます。Webカメラを利用したトラッキングも可能ですが、より精度を高めたい方は同社より発売されているNx Head Trackerをヘッドホンのヘッドバンドに装着する事でより自然な定位の変化を楽しめます。
さて、サウンドですがかなり大胆に変化します。製品のコンセプト上、クリアになる、というような性格の物でないことは承知していたのですが、エア感や定位感が確実にスピーカーでの体験に近くなります。単純に左右を少しずつ「こぼす」ような方式と違い、しっかりと頭の外に音像がある感じです。
ヘッドトラッキングがある事によって、例えば自分がどの方向を向いても音源は常に一定の場所から聞こえてきますので、よりスピーカーで再生しているような感覚で作業が可能です。これは他社製品では得難いメリットではないでしょうか。ヘッドトラッキングはオン・オフ切り替え可能です。
スピーカーは3つ切り替え可能です。スタジオらしく
ニアフィールドモニター(CLA-10 + サブウーファー)
ラージモニター (カスタムメイドのOcean Way Audio)
ラジカセ (型番不明)
となっております。
出音も的を射たものとなっており、それぞれのスピーカーで分かりやすくレンジ感、アタック、リリースの感じは変わりつつも、全体的に「同じ部屋にいる感」が保たれるので、切り替えても集中力が途切れなさそうです。エアー感の強さもツマミで調整可能です。
音声ファイルを用意しました!
バンド様よりテスト用に1曲ご提供頂きました。
どこかノスタルジィなメロディとエネルギッシュなパファーマンスが魅力のバンド、黒猫財閥様より「ゆびきりげんまん」という曲です。
黒猫財閥「ゆびきりげんまん」
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1:元音
2:CLA10+Sub(ニアフィールド)
3:MAIN(ラージ)
4:BOOMBOX(ラジカセ)
当然といえばそうなのですが、DAW以外のアプリケーション…例えばYouTubeやiTunes等の音は補正無しで再生されますので、注意が必要です。足並みを揃えて聞くなら、作業中にリファレンスとする楽曲はあらかじめwavファイルをセッションにインポートしておくとよいでしょう。
また、マスターにインサートする際は書き出しの際にバイパスするのをお忘れなく!こちらはモニター環境を再現する為のプラグインなので、CLA Nx込みで書き出してしまうと、想定と異なる音で書き出されてしまいます。
ちなみに今回ヘッドホンはオーディオテクニカ ATH-R70Xでテストしましたが、ヘッドホン本体が非常に軽量な事もありあまりヘッドホンの存在を感じず、かなり快適で好相性に感じました。また、特性を測定済みのヘッドホンが数機種あり、それらの機種を使用している場合はさらに追い込んだサウンドで聴く事が可能です。
リストは下記の画像の通りですが、日本とアメリカはやはり定番機種も違うようで販売の身としても興味深かったです。
まとめ
一般的な住居、部屋では音響特性や防音は考慮されておりませんので、定在波や反射音等が大きく、モニタースピーカーの特性を聞いたまま100%信じる、というのは難しいと言えるかと思います。モニタースピーカーメインのモニタリングの場合、費用的にも手間的にも少なからず何かしらの工夫や制約は強いられている方が多いと思いますが、だからと言ってただヘッドホンで確認するだけではステレオ感やリバーブの具合等を掴むには相当の慣れを要します。
こちらのプラグインは[プロの信頼している音が出る][スピーカーライクな作業性]という点でDAWの中にもう一つのリファレンスとなる部屋を提供してくれていると言えます。ホームスタジオや移動先での作業に大変有効に思えました。また、ヘッドホンはスピーカーと比べ値段帯が下がりますので、本格的にスピーカー環境を整える事と比較すると総合的なコスト面で見てもかなり優秀ではないでしょうか?願わくばEQ補正済みのヘッドホンがもっと増えてくれる事を期待しつつ、使っていこうと思います。
こちらの記事もご参考に!
記事内に掲載されている価格は 2021年8月25日 時点での価格となります。
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