クリエイティブ&オモシロツール、ボーカル向けWavesプラグインを3つご紹介!
みなさんこんにちは、Rock oNスタッフのSCFED IBEです!ここ数年、AIをはじめインテリジェント・プラグインと呼ばれるイコライザーやコンプレッサーなど、創作活動に集中するためのクリエイティブなツールが数多く登場しています。今回はそんなツールの中からWavesボーカル用プラグインに焦点を当て、ボリューム処理を自動で行ってくれるプラグインと、声を自動で面白く個性的なサウンドにしてくれるプラグインをご紹介します!音楽制作だけでなく配信でも活躍してくれますので、ご興味ある方は記事内の動画もあわせてお楽しみください!
自動ボリュームオートメーションツール Vocal Rider
手を使わずに「手コンプ」
ボーカルトラックのレベルをリアルタイムに調整する「手コンプ」を自動で行うプラグイン。用途も、使い方も、他のWavesプラグイン同様、非常にシンプル。トラックにインサートするだけで、Vocal Riderはボーカルトラックのレベルを自動的に調整します。Vocal Riderはインテリジェントにボーカル・ボリュームを上下させ、瞬時にターゲットからの偏差を補正。しかも、Vocal Riderの動作はコンプレッサーとは異なり、トラックに色を加えることはありませんし、レイテンシーもフリーです。レコーディングからライブ、ブロードキャスト、ポストハウスまで、Vocal Riderはミキシングを新次元に導きます。
特徴
・安定したボーカルやダイアログのレベルを自動で維持
・ミックス時にボーカルパートのオートメーション処理を行う時間を節約
・オートメーショントラックにオートメーションを書き込む際のファインチューニング
⬅️Vocal Riderの詳しい設定方法はこちらの記事をご覧ください。
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「手コンプ」の意味が不明だという方のために少し解説します。コンプレッサーとは、ボリュームの設定レベル値を超える音を圧縮するエフェクトです。大きすぎるレベルを均一に揃えたり、揃えた状態で全体のボリュームを上げる事により、音が聞きやすくなるというもの。ナレーションであれば声を均一のボリュームに揃えたり、ボーカルであれば声を大きくパワフルに聞かせたい時に必ず使わるエフェクトです。それで手コンプとは何かと言いますと、声が大きすぎる時にはミキサーのボリュームフェーダーを下げ、声が小さい時には上げるという原始的な操作方法を指しています。昔のミキサーにはコンプレッサーが搭載されておらず、PAエンジニアはアウトボード(=エフェクター)のコンプレッサーを使用していましたが、コンプが無い時には手動でミキサーのフェーダーを上げ下げして、ボーカルのバランスを取っていたのです。
コンプは音の大きさを揃えるのに重宝するかわりに、音が圧縮され不自然なサウンドになる、という副作用もあります。圧縮された音が音楽的な効果をもたらし、ガッツのあるボーカルを演出する事が多々あるのですが、コンプを使わずナチュラルな音にしたい状況においては、この「手コンプ」が今でも定番の手法になっています。DAWミキサーのボリュームフェーダーをオートメーションで動かすという方法で、サウンドエンジニアから「ボーカルのオートメーションを書く」という言葉をよく聞くと思います。それはとても緻密な作業で、エンジニアやプロデューサーのこだわりポイントでもあります。
さて、そこでご紹介するのがこの Waves Vocal Rider なのです。手コンプオートメーションを自動でやってくれるという便利なプラグインです。
歌詞
And I touched down on the surface
And it hurt like love
It hurt like love that was temporary
And you touched my hand and we kissed And it hurt like love
It hurt like love that was temporary
スライダーがウネウネ動くと、Vocal Riderが仕事してるなー!と嬉しくなります。バイパス状態ではメロディフレーズ後半の「It hurt like love that was temporary〜」の テンポラーリー が小さくて聞こえにくいですが、Vocal Riderをかけると、特に「リー」が聞こえやすくなっています。最近のコンプは声を潰した感じにならない高性能な物も多いですが、それでもやはり手コンプは不滅でしょう。今回の素材はボーカルですが、マイクと口の距離がレコーディングのように一定を保てない、そして声の大きさが一定ではない動画配信ではさらに威力を発揮します。出演者が盛り上がって爆笑もあれば、叫びもあったり、視聴者からのコメントを読んでいたらマイクから口が離れていたり、、、そのようなシーンでVocal Riderを使えば声が聞き取りやすくなって配信クオリティアップ間違いなし!
ロボ声、ケロ声、ボコーダーが自由自在のOVOX
ボーカルトラックにスパイスを効かせるロボ声!ボコーダーのハーモニーは美しく、通常のハモリとは違った世界観を提供してくれます。OVOXは今まで複数のプラグインやプロセッサを組み合わせて行なっていた複雑なモーフィングやハーモナイズ、ボコーダーといったボーカル処理をワンストップで、シンプルな操作性で実現。
OVoxは Waves独自のOrganic ReSynthesis® (ORS)テクノロジーにより、元の信号を、アンプリチュード、ピッチ、フォルマントという音声の”コアDNA”要素にまで分解、次にこれらの要素を再合成することでオリジナルのボーカル表現を保持したまま、余分な副産物のない新しいボーカルサウンドを生成します。
サウンドアルゴリズム
サウンドのキャラクターを決定付ける12種類のアルゴリズム
4つのキャリア波形
キャリアとなるシンセ波形は4種類ありモーフィング可能!オートメーション対応で今までにないロボ声が可能に!
デュアルレイヤー仕様
高解像度デュアル・シンセエンジン搭載の8ボイスシンセを内蔵、OVOX1とOVOX2をレイヤーしてサウンドをデザイン!
9種のモジュレーター
9種類のカスタマイズ可能なLFO /シーケンサー、ADSRおよびORSモジュレーター搭載。入力された声のピッチやボリューム情報までもがモジュレーションソースとして使用可能。変調先は音源部のほかエフェクトにも適用可能!
Automatic Note Mapper機能
ボーカルトラックからコード、ハーモニー、スケールをトリガーするAutomatic Note Mapper機能は、音程毎に個別対応したコードをカスタマイズ可能!
アルペジエイター搭載
音程4オクターブ、音符1/64Tから4小節まで対応したアルペジエイターで、よりエレクトリックでダンサブルなトラックに!
Vocal Riderの紹介で聞いて頂いた曲のボーカルをOVOXに通すだけでケロ声になりました。ボコーダー系のエフェクトはキャリアと呼ばれるシンセ信号を声で変調するため、キャリアの音の太さが出音の太さに直結しています。OVOXはキャリアが太くしっかりしたサウンドを思わせる、芯のあるロボ声になるので楽曲に埋れず前に出て来ます。
ボーカルトラックをOVOXに通したら、もはや新アレンジが出来上がってしまいました。このほかにも数多くのプリセットがあり試していくと、ボーカルのメロディから様々なリハーモナイズの可能性を提示してくれます。目からウロコが出るハーモナイズは、コード進行に一石を投じるアイディアをもたらす事でしょう。
WavesOVox Vocal ReSynthesis
¥6,600
カッコ良い面白サウンドが世界的な旬!Vocal Bender
ヒップホップ、R&B、エレクトロニック、現代のポップ・ミュージックに不可欠となった「フォルマント-ピッチ・ボーカルサウンド」。数々のヒット曲で聞けるあのボーカルをリアルタイムにレコーディング、ミックスできるプラグインです。
トラビス・スコットの深い歌声とアドリブ。ビリー・アイリッシュの異世界的なヴォーカル・ダブル。フランク・オーシャンのピッチ-フォルマントを操るリード・ボーカル。Vocal Benderは、誰もが知る彼らのボーカルサウンドを簡単にコントロールするための、最速かつシンプルな方法です。
数多のEDMトラックのドロップで聞ける高音のトップライン、モダンポップ、ヒップホップ、R&B、エレクトロニック、あらゆるジャンルに欠かせないボーカルサウンドへ。Vocal Benderはレイテンシーゼロで素早く加工、2つのシンプルなコントロールで演奏可能にします。
特徴
- リアルタイム・プロセッシングによる、モノフォニック・ボーカルコントロール・プラグイン
- ボーカルのピッチシフトとフォルマントを簡単にコントロール
- ヒップホップ、ポップス、EDM、R&Bで人気のフォルマント-ピッチ・ボーカルサウンドを生成
- LFO、SEQ、Amplitude、Pitchモジュレーターでさらなる効果を追加可能
- ビブラート、ピッチドロップ、シーケンシャルピッチングなど複雑なモジュレーションが可能
- ロボットボイスを生み出す「フラット」機能
- ハーモニーやボーカルダブルをインサートでもブレンド可能なミックスノブ
- スタジオ録音やライブパフォーマンスで使えるゼロレイテンシー・プロセッシング
たった2つのノブというソリューション
Vocal Benderでは複雑なルーティングや微調整は不要です。PITCHとFORMANT、たった2つのノブを操作するだけ。
しかし、Vocal Benderの機能はそれだけにとどまりません。これら2つのコントロールに加えて、ウィンドウ下のモジュレーション機能を活用すれば、ボーカルFXのパレットは無限大に広がります。さらに「フラット」機能も搭載し、ボーカルを1つの音程に固定、ロボットボイスのようなサウンドを作ることもできます。
ボーカルを男声/女声の間で行き来させる、年齢を変える、ミニチュアなサウンドに加工したり、巨人の声のように響かせることも。ソフトなハーモニー、ビブラート、ボーカルダブルなどで厚みを出すなど、繊細なタッチも施すことができます。
⬅️田辺恵二の音楽をいっぱいいじっちゃうぞVIDEOS Vol141 で詳しく紹介されています!
声のピッチやフォルマントが簡単に変えられるので、配信に使うと面白いかもしれません。フォルマントやピッチにLFOをかけると曲のテンポに合った動きを加える事が可能で、原音とエフェクト音を50%ずつブレンドしてピッチを揺らせばコーラス効果が得られます。コーラスはLFOの波形を変えれば、これまでと違ったコーラス効果が得られます。
(Writer : SCFED IBE)