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こんにちは!ACID渋谷です。今年は乗っけからシンセが大豊作で、シンセ好きの私としては大興奮の日々です。
多くの新進気鋭のガレージメーカーが斬新なモジュラーを発表する中、RolandやKORGも新製品を発表。そんな中でTom OberheimやDave Smithなどレジェンドクラスのブランドも大活躍でした。
今回はそんなNAMM2015でのTom Oberheim 2 VOICEの実機登場を記念して、Oberheimの歴史を紐解いていきます!
そしてもう1つがSEMのバンドパスフィルターでカットオフをスウィープさせた時のサウンドです。バンドパスなので上下の帯域が削られたスッキリしながらも「ジウゥ〜」というサウンドが印象的です。シーケンスを走らせながらLFOでカットオフを動かすと良い感じのエレクトロサウンドになります。
2つ目がいきなりマニアックになってしまいましたが、SEMって何だろう?という方に簡単に解説します。
Oberheimサウンドの原点、それがSEM
SEMというのは「Synthsizer Expander Module」の略です。つまり拡張音源という事ですね。では何の拡張音源かというとMoog minimoogやARPのシンセサイザーの拡張音源です。
Oberheimの第一号製品はDS-2というデジタルシーケンサーでしたが、DS-2でminimoogなどをコントロールする際に、拡張用の音源として用意されたのがSEMなのです。そのため、SEMには鍵盤がありませんでした。
もともとMoogやARPのシンセと併用で使う事が想定されていたため、それらのシンセとは違う個性を持たせる必要がありました。
そこで採用されたのが、-12dB/Octのマルチモードフィルターだったのです。当時MOOGやARPなど有名アナログシンセのフィルターは-24dB/Octが主流だったため、SEMの-12dB/Octのフィルターが生み出すサウンドは重宝されました。加えてマルチモード(LP/HP/BP/Notch)だった為、LPF一本のminimoogよりも幅の広いサウンドが創り出せたとも言えます。
ちなみにRoland TB-303のLPFは-18dB/Oct。フィルターがサウンドキャラクターに及ぼす影響は計り知れませんね!
そしてSEM発表の翌年、Oberheimは同社初の鍵盤付きシンセサイザー「2VOICE」を発表します。
2VOICEとはSEM2台分の音源をそのまま積んだシンセサイザー
SEM2つで2VOICE。凄い名前ですね。SEMといいOberheimの機材のネーミングセンスは本当にカッコいい!ロマンチックな名前を付けずひたすら機能や役割を名前として付けるのは何となくテクノっぽいと個人的に思っています。その後も8VOICEやExpanderなどそのものズバリな製品を生み出し続けます。
話がそれましたが、2VOICEは2台のSEMを音源として搭載し、シーケンサー(2トラック)と鍵盤、その他のコントローラー類を積んだシンセでした。2つのSEMのパラメーターを同時にコントロールでき、また個別のモジュールとしてもそれぞれ設定出来たので、1台でキャラクターの異なるサウンドを同時に(ポリ的な意味で)楽しめました。特にシーケンスをVOICE別に2つ走らせられるのがニクい!!昨今のアナログブームによって、様々なメーカーからステップシーケンサー付きのアナログシンセが次々発売されていますが、この2VOICEは正にそういった製品の元になったものと言えます。
そんな2VOICEをTom Oberheim氏が自ら復活させたのが、今回NAMM2015でその姿を現した「Two Voice Pro Synthesizer」なのです。
1975年のオリジナル2VOICEを忠実に再現しながら大幅パワーアップ!
シーケンサーのMIDIクロックへの同期やフラッシュメモリーへの保存、柔軟なパッチングなど、今の時代に相応しいスペック。いや、時代が2VOICEに追いついたという方がテンション上がりますね!
ちなみにTom Oberheim史はSEMも3モデルリイシューしています。欲しい。。。!
①SEM with MIDI to CV:MIDI to CVコンバーターを搭載
②SEM with Patch Panel:充実のパッチング
③SEM PRO:SEM with MIDI to CVに21のパッチ・ポイントを搭載
text by ACID渋谷
記事内に掲載されている価格は 2015年2月3日 時点での価格となります。
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