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SUPERBOOTH16の中でも一際大きなブースを展開するMoog。とはいってもNAMMなどこれまでの展示会とは違った新しいスタイルの展示にMoogらしいセンスを感じます。
試奏は座って。これは音にハマって動けなくなりそう。欧州ということもあって靴は履いたままです。
MoogといえばMoog財団で子供の音楽教育を進めたり、3月末には本社を置くノースキャロライナ州の「反LGBT法案(通称)」を公式Webサイトで強く批判するなど社会的活動も盛んなメーカーです(この法案にはFacebook、Google、Appleも撤回要求をしています)。そういうことを考えて見ると、このブースはMoogからの熱いメッセージそして思想を感じます。
このブースには子供もやってきて恐る恐るシンセに触れている光景もありました。そうです。座って弾けるこの高さの展示は背の低い子供に優しい作りなのです。
Next Gen #superbooth2016 #superbooth16 #moogmodular #modularsynth #synth #system35 #switchedonkids Moog Musicさん(@moogmusic)が投稿した写真 –
「次世代」だそうです。粋ですね。
また椅子文化のドイツで地面に座ることは刺激的で体感的に印象に残せ、会場内で疲れた足を休めることもできます。
さて、プロダクトにいきましょう。ドーンと鎮座するこちら。5オシレーターを含む22ものモジュールから構成されたMoogを代表する製品のひとつであるSYSTEM35です。1973年にデビューした初号機の回路そのままの仕様で復刻。$22,000で現行機種です。
Moogシンセといえば、1963年11月に開催されたNew York State School Music Associationで発表したモジュラーシンセ「The First Moog Synthesizer」が源流。やはりMoogの真骨頂とも言えるハンドメイドのパワフルなモジュールはシンセ愛好家ならずとも憧れの楽器といえるのではないでしょうか。
Moogモジュラーシンセを使うプレイヤーとして有名なのは日本国内では「タンス」を愛称に持つIII-Cを使う松武秀樹氏。そして海外ではEL&PのKeith Emersonでしょう。SUPERBOOTH16が開催される約1ヶ月前、2016年3月10日に亡くなったKeith Emersonは当時のMoogモジュラーシンセに搭載されたファクトリープリセット機能に魅せられこれを発注。1969年のコンサートで使用しました。巨大なMoogシンセの壁に囲まれてプレイするという、キーボーディストのスタイルを世に広めた人でもあります。彼の没後すぐにMoog社は彼への追悼と感謝の気持ちをWebで発表しています。
『Thank You, Keith Emerson』 こちら>>
Keith EmersonがフューチャーされたMinimoogのPV。
続いてはMoog最新の”セミ”モジュラーシンセ MOTHER-32。日本でも2016年3月末に発売されたばかりで8万円を切る価格で手に入るMoogシンセということで話題になっていますね。価格だけでなく、セミモジュラーということを考えるとVOYAGER XLを凌駕する拡張性を持ちます。
筐体はユーロラック準拠で木製パネル付きのラックから取り外しが可能。つまり他のユーロラックにセットできます。この画像のMOTHER-32はオプションのラックに3台重ねてられていますが、2016年4月3日現在日本国内でこのラックは未発売。デスクトップにMoogを重ねる夢を実現するために販売が期待されます。
さて、MOTHER-32のオシレーターはMiniMOOG系譜の図太いサウンドとは違い現代的な鋭さを特徴としますが、手頃な価格とはいえそこはMoog。ローパス/ハイパスのLadder Filterを装備し、存在感のあるサウンドでシンセ愛好者を魅了してくれます。(※MOTHER-32の詳しい仕様やワクワクする魅力のご紹介はこちらで>>)
さて近頃は手頃な価格帯の製品のリリースが続くMoog。そろそろハイクラスの製品がほしいところですね。嬉し発表を楽しみにしてますよ!
Writer. IH富田
記事内に掲載されている価格は 2016年4月3日 時点での価格となります。
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