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2016年12月17日(土)、Red Bull Studios Tokyoで開催されたSteinberg Day 2016からピックアップした情報だけをクイックレポート!
Steinberg Dayは毎年新作 Cubaseが発表される時期に行われる、CubaseやSteinberg社製品をまるごと1日楽しめるイベントです。大胆にGUIを変え、強力な機能追加がなされたCUBASE 9 発表後ということもあり、プロ/アマ問わず関心の高いクリエイターが会場を埋め尽くしていました。
Stage Event
Rock oNでもおなじみの大島 su-kei 氏/青木繁男 氏による「Cubase新機能Review」というセミナーも開催され、ワンウィンドウによるワークフロー、サンプラートラック、アンドゥ/リドゥが可能なミックスコンソールなど、Cubase 9の新機能の披露とノウハウが提供されました。
特に、ミックスコンソールのアンドゥ機能は「こうするとどうなるのだろう?」という好奇心を応援してくれます。ダメならまた元に戻れるのですから、こんなに心強いことはありません。オートメーションの編集とは違った、プラグインの差し替えや大胆なミックスバランスの変更もこれなら怖くありませんよ!
VST PlugIn Zone
例年と違い今年はVST 3rdパーティーのメーカーや代理店も参加し、製品の展示や実演が行われました。
2nd Sense
Dirigentブースでは北京から上陸した2nd Senseを展開。強力なモジュレーションとモーフィングで有機的な音を生み出すダイナミック・ウェーブシェイピング・シンセサイザー『Wiggle』が人々の足を止めていました (*Wiggle=ピクピク動く という意味)。
いまのEDMやエレクトロでは欠かせないウェーブテーブル系シンセということで、サウンドはソリッド。4つのオシレーターと8つのLFOを装備していて、それらをX-Y軸の(まるでKAOS PADのような)MORPH PADで自在にモーフィング。その動きを規則的に記録することもできます。さらに本体にあるステップシーケンサーを駆使すれば、テンポに合わせて脈打つシンセサウンドが仕上がります!
オシレーターの波形自体をオートメーションやランダマイズで変形させることもできるなど、想像を超えたサウンドメイクが楽しめるWiggleについて、2nd Senseのソフトウェア開発担当であるNan Tangさんに、メッセージをいただきましたよ!
2nd Senseではなんと、新型Macbook Proに搭載されたTouch barに対応した波形編集ソフトを開発中です。これは楽しみだ!
A.O.M
東京を拠点に活動しているソフトウェア・デベロッパーA.O.M。国産プラグインということでそのクオリティが気になりますね。マスタリング用途に最適な2つのプラグインを見せていただきました。
画面左で美しい曲線を描いているのはEQの『tranQuilizr』。EQの基本となる「ブースト/カット」を極めて自然な音色で行えることが最大の特徴。デジタルEQでは原理上、高域でイコライジングカーブが変形してしまいますが、tranQuilizrは独自の理論と丁寧なプログラミングでこれを回避。高域のガサつきを排除し、アナログEQのように滑らかなサウンドでEQ処理を行います。
マスタリング用EQというのを象徴する機能が、Stereo、L、R、M、Sをバンドごとに独立してアサインできること。今のマスタリングに欠かせないM/S処理を手軽に行えます。ブースト/カットに応じて音量を一定に保ってくれるAGC機能もとっても便利です。よくできていますね、このEQは。
そして画面右は『Invisible Limiter G2』。これは非常に自由度の高いリミッター/マキシマイザーです。Attack/Releaseのリダクションカーブとsoft Kneeが可変でき、パッツンパッツンのリミッターサウンドやナチュラルな音圧上げなど幅広いサウンドメイクが可能です。
Invisible Limiter G2は、8倍オーバーサンプリングでサンプリング間のピークを読むことで、非常に精度の高いダイナミクス処理を行います(True Peak 0dbフルスケールは保証しないということ)。リミッターを深くかけていっても音量が一定に保たれるユニティーゲインも装備し、音量変化による錯覚や勘違いを抑え、冷静なマスタリング作業を支援してくれます。
A.O.M
http://aom-factory.jp/ja/
OM Factory
音楽制作のためのPC/サーバーを開発するOM Factoryから新発売された「i7 Server」と「i5 Server」(Intel製Core i7またはCore i5を搭載)。
制作に使うヒスとコンピューターは昨今CPUの速度が飛躍的に向上し、プロジェクトによってはノートPCでほとんどを完成させてしまう人もいます。しかし、それに反してサンプル音源は容量を増し、PポータブルなPCでは音源全てを保存することは難しいといった声も聞かれます。そんな時に活躍するのがこのサーバーです。
OM FACTORY からはプラグインを多用するユーザーに大きなアドバンテージとなるVienna Ensemble経由でプラグイン処理を行う「i7 Server」を展示! 全音源外部処理でこのスピードと処理能力!https://t.co/DdAztAeHIt pic.twitter.com/2GWgDzZBNa
— Rock oN Company (@RockoNCompany) 2016年12月17日
納品時には各種DAWや主要オーディオI/Fなどで徹底的にチェックし、クリエイターを悩ませる機器の相性問題をクリア。挿入したその日から制作に集中でき、安心した運用が可能な音楽制作のためのサーバーがOM Factory「i7 Server」「i5 Server」です。
Native Instruments
Native Instrumentsのブースでは、総合音源のワールドスタンダードKOMPLETE 11を中心に、コントロ−ラー KOMPLETE KONTROL S、そして新ワークフローでビートメイクするMASCHINE JAMがお出迎え。
デュアルタッチ式 Smart Strips(縦フェーダー)は、MASCHINEにこれまで無かったミックスのワークフローを提供。繊細なミックスによる展開を持ち味とするクリエイターに人気を博しています。
IK Multimedia
12月に新発売され話題のMODO BASS。メジャーデベロッパーでは初のフィジカル・モデリング・エレクトリックベース音源。つまりサンプリング音源ではなく、音源ないで仮想のベースをモデリングする音源。そのメリットはHDDへの負荷が省容量なことと、サウンドの自由さにあります。
プレベやジャズベ、スティングレイ、ヘフナーにIbanezのような代表的な12種の基本となる楽器を選び、様々な奏法はもちろんピッキングの場所やピックの角度まで調整可能。弦やピックアップまで自在に選べ、理想のサウンドを追求できます。
サンプリングベース音源の定番Trilianに続く、定番となりそうです。
[eStoreClipper1A mdin=’41464′ img=’LINK’][/eStoreClipper1A]Waves
代理店メディア・インテグレーションのブースでは、ヘッドホンミックスに、よりリアリティをもたらすバーチャル。モニタリングプラグイン NXと、奔放初公開のトラッキングシステムNx Head Tracker を展示!
ヘッドホンを使った制作は音が左右から聴こえます。耳は左右についているので当然のことですが、NXをDAWのマスターに挿すことで、あたかも目の前でスピーカーが鳴っているかのように音が前から聞こえるようになり、自然な音像と距離感をモニタリングすることができます。
これまでヘッドホンで完全にセパレートされていたLとRをぼやかすことでスピーカーの鳴りをシミュレートしたソフトはありましたが、このNXは段違いのクオリティ。私自身も使っていて、夜中の制作はこれが手放せません。ヘッドホン作業の多い方はぜひぜひチェックしてください!
さてNXはステレオ以外に5.1chにも対応します。この時に欠かせない機能がヘッドトラッキング機能。PCのカメラを使って顔の向きを判断し、ユーザーが向いている方向に合わせてスピーカーを定位させます。例えば左を向くと右側から音が聴こえ、下を向くと上から音が降って降ってように聴こえるんです!
今回NXと同時に展示されたNx Head Trackerは、ヘッドトラッキング機能をより精度の高いものに変えます。ヘッドホンの上に設置させて使う本体に加速度センサーを搭載し傾きや方向を検知。Bluetoothを経由してNXに情報を送ります。カメラでは不可能な、真後ろを向いたサウンドチェックができるようになり、ヘッドホンを使った5.1chミックスを可能にします!
MIブースではNX専用Head trackerのデモを実施! 価格は¥11,880、BlueTooth接続により360度精密な角度反映が魅力! pic.twitter.com/oQf7TQsOBn
— Rock oN Company (@RockoNCompany) 2016年12月17日
正直なところステレオソースならばヘッドトラッキング機能はあまり使わないと思いますが、5.1chサラウンドソースならばNx Head Trackerは必須アイテム!ぜひセットで導入してほしいです。
ヘッドホンミックスの救世主NX。ぜひ試してみてくださいね!
[eStoreClipper1A mdin=’41746′ img=’LINK’][/eStoreClipper1A]これまでと違い、各社のVSTプラグインまでどっぷりと楽しめたsteinberg Day 2016。プロデューサーのために進化し続けるCubaseと共に、制作の最新ワークフローに触れたイベントでした。
記事内に掲載されている価格は 2016年12月19日 時点での価格となります。
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