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今年Neumannから発売された「RIME」は、空間オーディオのミックスをを自社NDHシリーズのヘッドホンで実現できるDAWプラグインとして大きな話題を呼びました。
今回はビクタースタジオに所属する現役エンジニアで、以前よりNeumann KHシリーズのモニタースピーカーやNDHシリーズのヘッドホンユーザーでもあり、NDH 30についてインタビュー取材させて頂いた八反田 亮太氏が再登場!
★前回の取材記事はこちら
ビクタースタジオ八反田氏が語る、Neumann NDH 30のファーストインプレッション

今回は八反田 氏に日本工学院専門学校蒲田キャンパスに設立されたNeumannパートナースタジオにお越し頂き、KHシリーズのスピーカーよる7.1.4chのDolby Atmosミックスを聴いてみた印象、さらにはRIMEを使用した感想などを伺いました。
※インタビュー取材には、ゼンハイザージャパン真野氏にもご参加して頂きました。
KHシリーズのスピーカーよる、7.1.4chのDolby Atmosミックスをチェック!

Rock oN : 普段ステレオでのミックス作業は、NeumannのKHシリーズをお使いですか?
八反田 氏 : そうです。今は自宅でKH 310を使っていて、スタジオではKH 150を使っています。最初はKH 150を自宅で使おうと思っていたのですが、密閉型が好きなので自宅に導入しました。
Rock oN : 7.1.4chのシステムでKHシリーズを聴かれるのは今回が初めてかと思いますが、印象はいかがでしたか?
八反田 氏 : Neumannらしいサウンド感は7.1.4chで聴いていても感じますね。正直、最新のハイエンド・モニタースピーカーに比べるとKHシリーズはそんなに解像度が高いものでもなくなってきているので、それが逆にいいのかなと思ってるんですよね。音の焦点が合っているというより、もっとおおらかに俯瞰する音像感があるのがいいと思っていて、その特性がDolby Atmosのミックスにも反映されているかなと感じました。

Rock oN : 空間オーディオミックスの依頼というのは増えていますか?
八反田 氏 : 去年は結構やりましたね。業界的にもDolby Atmos推進の波が来ていたようにも感じていましたので。
Rock oN : 空間オーディオのミックスで気をつけている点とかありますか?
八反田 氏 : Dolby Atmosをやる際にApple Musicにスポットを当ててどう聴こえるかを確認するので、その際にAir Podsなどでどのように聴こえるか確認しながらやるようにしています。その際に一般のリスニング環境と乖離したような、鋭い音になっているモニタースピーカーも多いので、そういう点で言うとKHシリーズはそういった感じは少ないですよね。Neumann KHシリーズの独特の上の出方、柔らかいけどしっかり伸びているという印象で、一般に聴く人と比較的近い状態でモニターできるというのがいいかなと思っています。

Rock oN : MA 1で補正されたことの違和感は感じましたか?
八反田 氏 : そんなに違和感ないですね。あるとしたらむしろ部屋とかの問題かなって気がします。実際このモニタースピーカーのセッティング位置にはリファレンス的に完全に一致しているんですか?
ゼンハイザージャパン 真野 氏(以下、真野 氏):リスニングポジションにおいて等距離に配置という点では一致しているんですが、高さだけは水平面に関しては少し近い形にはなっています。同心円上にはなっているのでMA 1のアライメントの到達時間ではキャリブレートがかかっているようには補正されています。
八反田 氏 : そうですか、いや特に違和感はなかったので。KHシリーズのスピーカーを使って、こういうシステム環境を組んだ状態でモニターできるのはいいですよね。

RIMEを使ってみた印象は!?

ここからは八反田 氏にRIMEを体験してもらうことに。ITD(Internal Time Difference)と呼ばれる「両耳間時間差(音が左右の耳に到達する時間の差)を入力すべく、「Head circumference(頭囲)」と「Ear to ear(両耳間距離)」を測定。

その値をRIMEに入力することでKU 100ダミーヘッドの時間差を頭のサイズに合わせて増減でき、より精度の高いサウンドを提供できるというもの。
そしてNDH 20/NDH 30それぞれのヘッドホンでRIMEを試聴して頂きました。


Rock oN : RIMEを使ってみた印象はいかがでしょう?
八反田 氏 : 当たり前ですけどサラウンドでちゃんと聞こえますね(笑)ヘッドホンでここまで定位感をきちんと把握できることはすごいと思いました。オートパンするようなものもちゃんと回ってるように聞こえますし、その辺の再現もきちんとできているんだなと。
Dolby Atmosを使って音楽制作してみたい人の選択肢が増えるのはいいですよね。2chに比べて表現できる幅が広いので、Dolby Atmosでどう聞こえるかっていうことを踏まえて曲やアレンジを考えるのが大事ですし、例えばイマーシブのパンニングのイメージまでできるかってところまで音を選んだりって考える点ではアーティストや作家の方がRIMEは向いているのかなと。
ぶっちゃけモニタースピーカーで聴かなくても、NDHとRIMEの組み合わせでミックスしてAppleのAir Podsで確認できていれば、それで世に出してもいいんじゃないですかね(笑)

Rock oN : NDH 20とNDH 30ではどちらがよかったでしょうか?
八反田 氏 : 個人的にはサラウンドで聴くならNDH 30の方が良かったですね。普段使っているのがNDH 30なので慣れもあるかと思いますが、空間のある音源はNDH 30の方が聴きやすかったです。NDH 20だとセンターが引っ込んで聞こえている印象でしたので、逆にステレオ録音の方はNDH 20の方が聴きやすいかなと思いました。
RIMEで気になった点は・・?!

八反田 氏 : RIMEを使っていて気になったのは、AMBIENCEのパラメーターにあるWetとDryの違いは何でしょうか?スライダーで値を変えてもあまり効果が変わらない感じがしたのですが・・・。
真野 氏:AMBIENCEは部屋の鳴りを微調整できるスライダーです。本来もう少し効きがあるように調整するつもりでしたが、現状ではパラメーターをWet100にしてもほんのわずかしか効かないということで、次回のバージョンアップでそこはフィックスする予定です。
八反田 氏 : たしかにAMBIENCEのスライダーでDRYにしてもあまりDRYな吸音した音にならないので、そこは改善されるといいなと思いました。作業しているとDRYで聴きたくなることがあって、RIMEはHighが反射で音が分散する印象があって音がボヤけるので、DRYで聴くことでより繊細なモニターができるなと感じましたので。
Rock oN : RIMEだけで作品を仕上げ切ることは可能ですか?
八反田 氏 : 自宅で仕込んで、スタジオでちゃんと確認するという昨今の作業スタイルを考えると結構十分なクオリティはありそうですね。もっとドライな音で確認したいという部分が改善されれば(笑)。Dolby Atmosのリスニング用に聴くことにも使えると思います。
真野 氏 : そうですね。現状ではRIMEはDAW用プラグインなので、DAWを使わない一般のリスナーに触れづらいところがもどかしいというか、惜しい気がしています。
RIME導入のメリットとは?

Rock oN : RIMEを導入することで、どのようなメリットがありそうですか?
八反田 氏 : 夜中に大きな音が出せない環境で仕事をしている際にも、ヘッドホンとRIMEが代わりになるくらいになるとありがたいですよね。フラットに聴ける方が個人的には嬉しいので、スピーカーシミュレーターよりは素性がよかった気がしました。
以前は私もヘッドホンを全然ミックスで使わなかったんですけど、NDH 30を導入してから頻繁に使うようになったので、確認の選択肢を増やすという意味では導入メリットは大きいかなと思います。モニタースピーカーを増やして設置するにしても部屋の特性とか広さを考えると大変ですし、Dolby Atmosでのミックスとなると尚更便利かなと思います。
真野 氏:私としては、RIMEはDolby Atmosの学校用の教材として導入してもらうのがいいのではと考えています。学校の実習室のモニタースピーカーで作って最終チェックで使ったり、個人が自宅でエデュケーション的な感じで使うとか。
八反田 氏 : たしかにDolby Atmosだとだいぶ使い方が変わるというか納品形態とかも普通の2mixと違うので、ちゃんとした仕様の知識を身につけるという意味でも早いうちにそれを理解することは大事ですよね。

Rock oN : RIMEをどういったユーザーにおすすめしたいでしょうか?
八反田 氏 : 特にこれから空間オーディオでミックス始めたい人にはいいんじゃないですか。ヘッドホンとRIMEのセットで10万以内であればマルチでスピーカーを揃えることを考えると全然ハードルが低いと思います。NDHヘッドホンにしてもモニタースピーカーのKHシリーズの音にも近いですし、他のメーカーを見てもこんなにスピーカーと音のキャラクターが似ているヘッドホンは珍しいと思います。
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