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音楽制作のサウンドチェックはモニタースピーカーが主流の方が多いと思いますが、最近はヘッドホンを積極的に使って作業する方も多いと思います。特に日本では住宅事情の関係で音量を上げてのミックス作業が困難なことも多く、信頼できるヘッドホンを導入することで、レコーディング環境や時間帯に左右されず作業することができるのは大きな利点です。
今回はビクタースタジオに所属するエンジニア・八反田 亮太氏に、Neumannのオープン型ヘッドホンNDH 30を使ってみた印象を伺ってみました。普段はモニタースピーカーでの作業が中心であるという八反田氏が、NDH 30についてどのような感想を持ったのでしょうか。
ヘッドホンに求める条件とは
Rock oN : 普段レコーディングやミックスなどの作業で、ヘッドホンはどのようにお使いになっていますか?
八反田氏 : 正直これまであまりヘッドホンの重要性は高くなくて、スピーカーでのモニター環境をある程度構築できているのでミックス作業では積極的に使ってはいなかったんですよ。
とはいえスピーカーだけでの作業にシビアさもあるので全く使わないという訳ではなく、音に問題を感じたり解決できない場合の確認用に使っていた感じですね。
Rock oN : これまでに色々なヘッドホンを使って来られてきたと思いますが、参考までに機種名やその印象をお聞かせください。
八反田氏 : 主にSennheiser HD650を使っていました。密閉型はどうしても音を聞かされているような感覚があって、個人的には開放型の方がストレスが少なくて好きです。
NDH 30の印象
Rock oN : NDH 30を初めて聞いた時の、音の印象はどうでしたか?
八反田氏 : ビクタースタジオのマスタリングエンジニアのところにデモ機があったのを聞かせてもらったのですが、最初聞いた時に結構驚きましたね。普段モニタースピーカーにはNeumannのKH310とモニター補正にTrinnov D-MONを使っていて、これまでだとスピーカーでミックスした後に確認のためにヘッドホンを聞くと、スピーカーとかなり違った聞こえ方をしていると感じることが多かったんです。だけどNDH 30の場合だとスピーカーから切り替えても違和感がなくて、いい意味で普通の音というか、いつもスピーカーで聞いているのと同じ音がするというのが驚きでした。
Rock oN : 実際にNDH 30でミックス作業をしていて、他に気づいたことはありますか?
八反田氏 : 定位のバランス確認がしやすいなと思いました。ヘッドホンはセンター配置と左右に振った時で音が変わるヘッドホンっていうのが結構あるのでスピーカーよりも定位の確認が難しいと思うんですけど、NDH 30はセンターとLRのバランス感が取りやすいのと、ボーカルのバランスも取ることもできてLRの彩りも作ることができるのがいいですね。スピーカーで大きく聞いている時の音に潜り込んで作業できる感覚で、ステレオイメージのバランスが良いスピーカーで聞いているようなサウンドです。ローが出過ぎたりしているというわけではなくトランジェントやリリースをしっかりつかめるので、ミックスをする時に迷う要素を減らしてくれるヘッドホンだなって思いました。
NDH 20との違い
Rock oN : NDH 20もお使いになられたということですが、音の印象に違いはありましたか?
八反田氏 : NDH 20は密閉型なのでレンジ感があってしっかりしたタイトなローエンド感でしっかりした音像を感じられます。 NDH 30より広がり感は減る印象で、音のキャラクターは近いですけど、付け替えて聞き比べると音像感の違いはあるなって感じますね。
個人的にはオープン型が好きなのでNDH 30の方が使いやすいですけど、例えば外で音漏れさせたくない環境で使う場合には、NDH 20の方がいいかもしれませんね。
こんなユーザーにおすすめ!
Rock oN : 最後にNDH 30をどんなユーザーにおすすめしますか?
八反田氏 : スピーカーに慣れていてヘッドホンでの作業が苦手な人や、誇張のない普通のサウンドを求めている人にはいいと思います。100万を超えるスピーカーシステムと同等の音作りに使えるし、スピーカーだとその日の気温とか湿度とか配置などにもシビアに影響受けたりもするのですが、それが10万円前後の価格帯で手に入るというのは魅力的だと思います。
補正されたスピーカーとの相性も良く、ジャンルを選ばないヘッドホンなので信頼できるヘッドホンで気楽に作業したい人にはおすすめですね。
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記事内に掲載されている価格は 2023年4月12日 時点での価格となります。
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