あなたの楽曲制作にヒントをもたらす数々のノウハウ記事に加え、膨大な動画コンテンツは制作トレンド&Tipsの集大成!
今回はエンジニア・遠藤 淳也氏に、Neumannのオープン型ヘッドホンNDH 30を使用してみた印象を伺ってみました。
普段ヘッドホンでミックスすることも多いということで、HIP HOP/R&B系のレコーディング・ミックスでキャリアをスタートし、ダンスミュージック系の音作りには定評がある遠藤氏に、NDH 30はどのように聴こえたのでしょうか。所属するSTUDIO QUESTにお邪魔してお話を伺いました。
普段使っているヘッドホンは・・
Rock oN : 普段レコーディングやミックスなどの作業で、ヘッドホンはどのようにお使いになっていますか?
遠藤 氏 : ここ最近ヘッドホンの性能が上がってきたので、自宅でミックスを詰める作業をする時にヘッドホンを使うことが多いですね。最終的にはスタジオのモニタースピーカーのmusik(musikelectronic geithain RL904)で確認して仕上げます。
Rock oN : これまでに色々なヘッドホンを使って来られてきたと思いますが、最近よく使われているヘッドホンは何ですか?
遠藤 氏 : Clear Professional(Focal)を使っていますね。リバーブのテイルが見えやすいのも気に入っていますし、開放型なのでどの位置にどの楽器があるか把握しやすくて、スピーカーに一番近い空間表現だという感じがします。
Rock oN : それ以前はどんなヘッドホンを使っていましたか?
密閉型のHPH-MT8(YAMAHA)を使っていました。HPH-MT8は価格帯の割によくできているヘッドホンで、音の輪郭が見えやすいところが気に入っています。
NDH 30の印象
Rock oN : NDH 30を初めて聴いた時の、音の印象はどうでしたか?
遠藤 氏 : まず色付けが少ないフラットな音だなっていう印象でした。ヘッドホンって高域の輪郭をどれくらい出すかってメーカーごとに違うんですけど、いい意味で個性を出さないクールな感じだなって思いました。
環境を変えて聴いても差がないというか、もっとハイが出ていたはずなのにとか、もっと籠って聴こえていたはずなのに・・・というようなことがないので、音を作るエンジニアにとってはありがたいヘッドホンですよね。
Rock oN : NDH 30を使って実際にミックス作業をして気付いたことはありますか?
遠藤 氏 : 開放型の割にローがわかりやすくて、特にバスドラとかがわかりやすい感じでした。歪みもわかりやすくて事故を防げる感じですし、密閉型だとセンターの音量とサイドの音量が気になるってことがあるんですけど、そういうのもなかったですね。とにかくナチュラルに聴こえる印象です。
それと使ってて思ったんですけど、音量を下げた時のバランスチェックにも使えますね。昔よくやったラジカセでやってたバランスチェックみたいな感じで、音量を下げた狭い中域の中で楽器のバランスが取れているかを確認するために使ってみました。そういう意味では普段スタジオで使っているモニタースピーカーのmusik(musikelectronic geithain RL904)にも聴こえ方が似ているかもしれないです。musikも同軸で音量下げてもバランスが変わらないので。
Rock oN : 装着感はどうでしたか?
遠藤 氏 : 見た目の印象がメタリックで重厚な感じですけど、実際は軽いですよね。ミックスとかで長時間使うことが多いので、疲れないのはありがたいです。
こんなユーザーにおすすめ!
Rock oN : 最後にNDH 30をどんなユーザーにおすすめしますか?
遠藤 氏 : オールマイティに使えると思いますし、生楽器の再現とかにも向いているんじゃないかな。ダンスミュージックで派手に仕上げたい時にスピーカーやヘッドホンが盛ってしまうと音の仕上がりがそこまで派手でないことってあるじゃないですか。NDH 30だと仕上がりが安心できるので、そういう意味ではミックスやマスタリングをするエンジニア向きじゃないかなって感じですね。
ジャンルとか音の流行が変わっても関係なく長く使えそうなヘッドホンで、決して安い価格帯ではないと思いますが、10年くらい使えると思いますので、そう考えるとコストパフォーマンスは高いと思いますよ。色々なジャンルを作る劇伴作家の方とかにも向いているんじゃないですかね。ヘッドホンなので持ち運びもできるので、どんな環境でも使えてなおかつ精度が高いっていうのはありがたいです。
関連記事
ビクタースタジオ八反田氏が語る、Neumann NDH 30のファーストインプレッション
Neumannがオープン型のスタジオヘッドホンNDH 30を発売!
Build Up Your Studio 2019 – STUDIO QUEST
遠藤氏の所属するSTUDIO QUESTを紹介!
記事内に掲載されている価格は 2023年4月24日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ