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Rock oNスタッフ・バウンス清水が講師となり、「ヘッドホンで始めるDolby Atmosミックス – Neumann RIME & NDHシリーズヘッドホンで体験する制作セミナー」と題したセミナーが、日本工学院蒲田校のNeumann イマーシブ・デモルームにて開催されました。

バウンス清水といえばイマーシブオーディオ関連の役立つ情報を届けるスペシャリストとして、これまでもNeumann イマーシブ・デモルームでのDolby Atmosミックス解説セミナーや、Rock oNでの「今シブWorkshop!」やパラダイス記事「今シブ」などで、数多くの空間オーディオの魅力やノウハウをお伝えしてきました。

RIMEほかイマーシブオーディオ制作の新しいアプローチを体験できるセミナーということで、多くの方が会場に集まりました。内容充実のセミナーをレポートします。
以前開催されたセミナーの模様はこちら
RIMEとは

前半では、Neumannヘッドホン用のDAWプラグイン「RIME」を用いたDolby Atmosの制作ワークフローを、実例を交えつつ解説。

バウンス清水「今回はRIMEの話なので、ヘッドホンでミキシングする「RIMEを使った制作ワークフロー」ところに時間を費やしていこうと思います。
RIMEとは『Reference Immersive Monitoring Environment』の略で、Environmentは環境って意味ですね。Neumann KU 100を使って収録したドイツのイケてるスタジオを手に入れることができるという状態で、要はスピーカーの代わりになってくれるということです。

Dolby Atmosはチャンネルベースとオブジェクトベースが合わさったフォーマットになっています。
例えばKH 80 DSPで7.1.4のシステムを揃えたとしたら100万円くらいしますから。こう考えるとスピーカー揃えるのって大変じゃないですか、買って欲しいって言ってるけど(笑)Dolby Atmosミックスやりたいって思ってるだけなのに急にハードルが上がるという。」

そこで今日紹介するRIMEはモニターコントロール部分やスピーカーの部分がヘッドホン(NDH20、NDH30)に置き換わることで一気にDolby Atmosミックスを始めやすくなる。今日はそういう話を解説していきます。
僕は空間オーディオはやっぱり素晴らしいと思うので、ぜひやった方が良いと思います。僕らがセミナーをやりまくっている理由はそれです。」
Dolby Atmosミックスには、3つのデータ確認が必要?

バウンス清水「音楽をミキシングするときに結構重要なことがあって、それは聴く人が様々なタイプがいるということです。
まずスピーカーで聴く人がいるっていうのがあって、もう一つはヘッドホンで聴くっていう人達ですね。 さっき言ったようにAmazon MusicとApple MusicがDolby Atmos対応してるよっていう話ですけど、このDolby RendererっていうのとApple Rendererって聴いている音が違うんですよ。ちょっとややこしいですね。

1)Dolby Renderer:これがドルビー社が提供しているレンダラーです。この音を聴くときって【バイノーラルメタデータ】っていうさらに一個パラメータが挟まってて、Near/Mid/Farっていう、ヘッドホンに対してその音は近いのかっていうのを調整するものがあります。ですのでAmazon Musicでアトモス作品聴いてる人はそのバイノーラルメタデータが反映された音を聴く形になります。
2)Apple Renderer:それに対してApple Musicで聴く人たちはちょっと違ってて、Appleはスピーカー用のコーデックを使っています。これがバイノーラルのコーデック【AC4】ってやつを使ってて、一個進んでる新しいものなんですよ。
そのまま使ってくれればいいのにAppleは手前のEC3っていうスピーカー用のコーデックを使っています。 おそらくApple TVもあるし同じコーデックで配信したかったということがあるのかもしれないんですけど、スピーカー用のものを受け取り、7.1.4をApple独自のレンダリング方式でバイノーラルにしているという形になります。
この2つがだいぶ違うんですね、オブジェクトベースの差がありますけどレンダリングを変えられちゃうと全然聴こえ方が違うんです。
ですのでマスターファイルは1個ですけど実は3パターン聴かれるものがある状況なので、Dolby Atmosの音源を出しているアーティストの方々やエンジニアさんは、スピーカー用とAmazon Music(Dolby Renderer)とApple Music(Apple Renderer)、面倒でもこれら3個をミキシング時にチェックしておきたいよねっていう状況です。

Dolby Atmosのミキシングはこの3つを聴きながら作業していくような形になるんですけど、スピーカーで聴く人に対してはスピーカーでモニターすれば大丈夫なわけです。バイノーラルの方はドルビーレンダラーはDolby RendererだったりDAWが出してくるバイノーラルレンダリングされた音っていうのはメタデータが絡んでいるものになります。
Apple Rendererは何を聴いているかというとAudiomoversっていうメーカーがあって、そんなに高くないんですよ。 これが出てきたことによって作業中リアルタイムでApple Rendererを聴けるようになったんですよ。これが出る前は聴けなくてLogicだったら聴けるらしいって言ってみんなLogicに7.1.4ch送ってレンダリングさせて聴いたりしてたんですよ。しんどいじゃないですか。
今はAudiomoversってところが「Binaural Renderer For Apple Music」という素晴らしいプラグインを作っていて、メディアインテグレーションが輸入しているプラグインなので(笑)ぜひ買ってください。
こうしてユーザー側の3パターンっていうのをリアルタイムで確認しながらミックスできるようになったという形です。」
RIMEを含めた3つの音源を瞬時に確認するには

バウンス清水「じゃあ今日ご紹介するRIMEはどこに来るかっていうと、スピーカーの置き換えですね。スピーカーを用意しないんだけど、今のスピーカーだとどう聞こえてるかっていうのをヘッドホンでモニターしようという状態です。なので全てバイノーラルっていう状態で、全部ヘッドホンで確認するにはどういう風にそのシステムを作ろうかっていう話になります。

主に使うのがAudiomoversのBinaural Renderer for Apple Music。なぜこれを主にするかっていうと、スライドに表示している赤黄青の部分が切り替えながら作業ができるんですよ。ですので7.1.4chを受ける形でApple Rendererを作ります。
Pro ToolsからまずBinaural Renderer for Apple Musicに7.1.4を送ります。それが赤いライン。これがAppleユーザー用のApple Renderer。これ1系統目です。

もう1系統は13、14に送るオクジュアリーフェーダーを作ります。これは今ProToolsの内部レンダラーを使った想定の話をしてますけど、内部レンダラーのライブレンダーへリアルタイムにずっと生成するんです。ヘッドホン用のバイノーラルっていうのをオクジュアリートラックで受け取って、それを13、14chに送ることで2系統目のDolby Rendererが確認できるようになります。
最後にRIMEですが、7.1.4chのオクジュアリートラックを作ってそこにRIMEを刺します。そこでステレオになったものを15、16chに送ります。これが青で示したところですね。
これで3系統できまして、手元で瞬時に切り替えられるようになります。Audiomoversはよく出来ててこの3系統をキーボードにアサインして3つのタイプを瞬時に切り替えられるようになりますので、めちゃくちゃ便利です。」
RIMEで作った音源を試聴!


ここからは会場のKHシリーズで構築された7.1.4チャンネルDolby Atmosシステムにて、バウンス清水が実際にミックスした3タイプに、マスターファイルを含めたステレオ音源を含めた4曲の試聴を開始。
バウンス清水「RIMEの音源を鳴らした時にヘッドホンっぽいミックスだなって思いましたね。それとスピーカーでなくヘッドホンで作業すると、上下左右がわかりづらくなるので、結構大胆になっちゃうんだなって思いました。ただここでスピーカーで聴いてみても、個人的にはRIMEでやったミックスが一番イメージに近い音像にできたなという印象があります。」

回を重ねるごとにさらに充実さを増しているDolby Atmosセミナー。今回もRIMEの優位性や特徴を中心にした解説を通じて、バウンス清水の「空間オーディオの面白さや可能性を、できる限りわかりやすく伝えたい」という熱い想いが込められているように感じました。また会場でヘッドホンやスピーカーで直接サウンドの違いを体感できるのもこうしたセミナーならではの魅力だと思います。
今後もこうしたDolby Atmosセミナーの開催が予定されていますので、ぜひ会場に足を運んでDolby Atmosミックスのノウハウを知りながら、その魅力を体験してみてはいかがでしょうか。
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