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来月、待望のニュー・アルバムのリリースを予定している人気バンド、離婚伝説。2022年の活動開始以来、MVをはじめとするほとんどの映像作品のディレクションを担っているのが、映像制作チーム stacksを主宰するオカダワタル氏です。今回の『Blackmagic Design製品の愛用者に訊く!』では、Pocket Cinema CameraやDaVinci Resolveを駆使して映像制作を行なっているオカダワタル氏に、離婚伝説のライブ収録についてお話を伺いました。Zepp DiverCity(TOKYO)で行われたこのライブ収録では、Blackmagic Design製のカメラが合計19台使用され、カット編集やグレーディングもDaVinci Resolveだけで行われたとのこと。その映像は、ニュー・アルバムの初回生産限定盤(ライブ盤)にBlu-rayとして収録されるとのことです。

実写合成のおもしろさに気づき映像の世界に
Rock oN : まずはオカダさんが映像制作に興味を持ったきっかけからおしえてください。
オカダ : 昔は映像には興味が無くて、27歳くらいまでは音楽だけをやっていたんですよ。ずっとドラムを叩いていて、バンドをやったり、人のサポートをやったり。現在一緒に会社をやっている柴本くん(stacks合同会社の柴本雄太氏)も大学時代からの友人で、大学時代から一緒に演奏したりしていました。でもコロナで音楽の仕事が無くなってしまい、ゲームばかりやっていた時期があって……、あまりに暇だったので、iPhoneで実写合成のビデオを作り始めたんですよ。当時、柴本くんがやっていた別のバンドのMVを、きむらえいじゅんさんというクリエイターの方が作ったんですけど、それを見たときに実写合成っておもしろいなと思って。まだInstagramのリールが出たばかりの頃で、自分で作った実写合成のビデオをちょこちょこ載せ始めたのが映像を始めたきっかけです。
Rock oN : それまではまったくやられていなかったのですか?
オカダ : その辺りの時期に、自分のバンドのライブ・ビデオを自分で編集したことくらいはありました。映像に関しては本当にそれくらいでした。
Rock oN : 何がきっかけで、仕事として映像を手がけるようになったのですか?
オカダ : 実写合成が楽しかったので、「これが仕事になったらいいよね」なんて話をしていたら、ある音楽系のマネージャーさんが「じゃあ、MV撮ってみる?」と声をかけてくださったんです。一番最初はUK PROJECTのウソツキというバンドだったのですが、カメラはBlackmagic Pocket Cinema Camera 4Kを先輩から借りて、 照明も必要だと教わって急遽パネル・ライトを2本立てたり。それが4年くらい前のことです。
Rock oN : これまで手がけられた作品をおしえてください。
オカダ : 基本的にはディレクターとして音楽のMVを手がけることが多くて、離婚伝説、Awesome City Club、チョーキューメイ、FLOW、YONA YONA WEEKENDERSとか……。音楽でもバンドのMVが多い感じです。そのほか、web系の広告映像も作らせていただいたり、最近はSNS向けのショート動画を制作する機会も増えてきました。
Rock oN : MVを撮った後に、SNS用のショート動画も別に撮るという案件もあったりするのですか?
オカダ : 別に撮るというより最近は、MVを1本作る代わりに、1曲に対して複数のショート動画を制作するような案件も少しずつ増えています。THE ORAL CIGARETTESやDiosでも、そういった形の映像を担当させていただきました。
Rock oN : オカダさんが代表を務めるstacksという映像制作チームについておしえてください。
オカダ : 柴本くんとは大学時代からの友人で、コロナの時期に僕も柴本くんもそれぞれ映像を始めていて、柴本くんは同じ頃に写真も始めていました。それで「じゃあ一緒に会社にしようか」という流れで、stacksを立ち上げました。
Rock oN : 映像クリエイターとしてオカダさんが影響を受けたアーティストや作品というと?
オカダ : デヴィッド・フィンチャーはかなり好きです。あとは仲間由紀恵さんと阿部寛さんが出演している『トリック』というドラマ。家にDVDがあったので、『トリック』は何十回と見ました。だからデヴィッド・フィンチャーと『トリック』と……。それと舞台とマンガですかね。母親が演劇をやっていたこともあり、キャラメルボックスさんとか、舞台はけっこう見ます。マンガに関しては、おもしろそうな作品であれば大体読もうと思っていて。 今も暇があればずっと読んでいます。
19台のカメラを配した離婚伝説のライブ収録

Rock oN : 今日は昨年行われた離婚伝説のZepp DiverCity公演の収録について話を訊きたいと思っているのですが、オカダさんは離婚伝説のMVやライブの収録をずっと手がけていますね。
オカダ : 離婚伝説はギターの別府くん(別府純氏)が大学の同級生で、昔から友達でした。柴本くんと別府くんも高校くらいの頃から同じライブ・ハウスに出演していたことがあって、元々繋がりがありました。その縁からですね。
Rock oN : 今回の収録で、オカダさんが考えていたことというと?
オカダ : Zepp DiverCity(TOKYO)の前にZepp Shinjuku(TOKYO)で撮影したことがあったんですけど、あまり満足のいく画にならなかったんですよ。まずはその反省がありました。全体の画づくりとしては、本人たちがフィルムの質感が好きだったりするので、そちらに寄せようということは考えていました。きれいに撮るというよりは、空気感のある映像にしようと。
Rock oN : カメラは有人が11台、無人が8台で、合計19台とすごい数ですね。

オカダ : この規模だと少し多いかもしれないですね。Zepp DiverCity(TOKYO)でディレクターを担当するのは初めてだったのですが、以前Zepp Hanedaで、ステージ周辺に大量に固定カメラを配置している現場を見たことがあって。サポートの映像もしっかり使うのはわかっていたのでメンバー1人に1台くらいの感覚でカメラを配置した方が、それぞれの演奏をしっかり追えるなと思い配置しました。
Rock oN : URSA Cine 17Kが1台、URSA Broadcast G2が1台、PYXIS 12Kが1台、PYXIS 6Kが5台、Pocket Cinema Camera 6Kが7台、Micro Studio Camera 4K G2が4台と、すべてBlackmagic Design製のカメラですね。
オカダ : 僕は最初からBlackmagic Designのカメラで、基本それしか知らないというか。最初に覚えたカメラがBlackmagic Designなので、自分の中ではひとつの基準になっています。離婚伝説の最初のMVもBlackmagic Designのカメラで撮りましたし、ライブも基本全部そうなので、今回もBlackmagic Designで撮りたいと思っていました。ちょうどBlackmagic Designさん側から離婚伝説側にカメラを使いませんかとご提案をくださっていて、それならライブのカメラも全部Blackmagic Designで統一してみようと。Blackmagic Designのカメラは、色の癖が強くなく、素材が素直なところが好きです。最初に使ったPocket Cinema Camera 4Kは、当時は少しグリーンに寄る印象があったんですけど、Generation 5 Color Scienceに対応してからは、その印象がかなり減りました。カメラ自体の色の癖が強くないので、レンズやグレーディングで自分の作りたいルックに持っていきやすいところも気に入っています。中でもPocket Cinema Camera 6K Proは、屋外でもかなり使いやすいです。1500nitのモニターなので、明るい場所でも確認しやすく、今でもかなり重宝しています。
Rock oN : 各カメラの配置は、どのように決めたのですか?
オカダ : 離婚伝説のライブって、明暗差がすごく激しいんですよ。サカナクションなどのライブ照明も手がけている本田祐介さんが照明を担当していて、レーザーもすごいので、地明かりがほぼゼロになる瞬間もある。なおかつ、今回のライブですと、後方に照明が大量に並んでいたりして。だから正面に設置するカメラは、ダイナミック・レンジが広いものがいいと思い、ボーカル用にURSA Cine 17K 65、ギター用にPYXIS 12Kを使用しました。ステージ上の無人カメラとしてMicro Studio Camera 4K G2を使用したのは、できるだけ目立たない方がいいという判断からです。ステージ上にPocket Cinema Cameraとかを設置してしまうと、お客さんが気になってライブに集中できないかなと。本当はBlackmagic Micro Cinema Cameraを使いたかったんです。初代Pocket Cinema Cameraと同じSuper 16mmサイズのセンサーで、あの画がすごく好きなので。でもレンタルできなかったので、今回はMicro Studio Camera 4K G2を使用しました。
Rock oN : オカダさんはステージ上で、ジンバルを使って撮影されたようですね。
オカダ : 今回のライブなら離婚伝説のメンバーに一番近づけるのは自分だと思って。別府くんはカメラに対してアピールもしてくれるので、自分が寄った方がいい画が撮れると思いました。
Rock oN : 他のカメラマンにはどのような指示を出したのですか?
オカダ : チームで共有していたのは撮り方くらいです。ジンバルであれば曲中は絶えずしっかりワークしてほしいとか、離婚伝説のメンバーは長回しが好きなので、カット前提で動かさないでほしいとか。あとは急激なズームは避けようとか、それくらいです。今回お願いしたカメラマンは、細かく指示を出さなくても良い画を撮ってくれると分かっていたので、撮り方の方向だけ共有して、細かいところは基本的にお任せしています。
Rock oN : 撮影コーデックはBRAWですか?
オカダ : 今回のライブは明暗差が大きいのがツアーを通してわかっていたので、撮影時の露出にはかなり気を使いました。その上でBRAWは、ISOやホワイトバランスなどを後から調整できるので、グレーディング時の自由度が高いです。データは最終的に15TBくらいになってしまったんですけど、それだけの量でも、編集時は比較的扱いやすいです。


Rock oN : 編集もオカダさんが手がけられているのですか?
オカダ : はい。DaVinci Resolveでグレーディングも自分がやっています。基本的にDaVinci Resolveだけで、カット編集からグレーディングまで行っています。
Rock oN : 今回の画づくりはどんな感じですか?
オカダ : 今回のライブを企画/演出されている方から、ランウェイのようなモノクロの質感というイメージをいただいていたので、いつもよりも彩度を落として、少しフラットめな感じで作りました。いつもはグリーンとかイエローに寄せるんですけど、あまりカラーで色を着けすぎるとイメージが違うかなと。 離婚伝説とはこれまで一緒に作品を作ってきて、かなり思い切った画づくりまで共有できているので、今回はシャドウをかなり落としています。暗部の情報を整理して、余計な情報を減らしていくような感覚です。
Rock oN : DaVinci Resolveで気に入っている機能はありますか?
オカダ : Texture Pop好きですね。Beautyとは効き方が違って、細かな質感の強弱を調整できるので、肌の質感を整えたいときに一番使います。
Rock oN : 最近はフィルム・ルックなレトロな映像が流行っていますが、そのトレンドについて、オカダさんはどのように捉えていますか?
オカダ : 多分、作っている方も見ている方も、必ずしも懐かしいという感覚ではないと思います。音楽の世界でシティポップやアシッド・ジャズがリバイバルしているのと同じで、単純に良いものとして受け入れられている部分が大きいというか。今はYouTubeでいろいろな時代の映像が全部見れてしまうわけじゃないですか。昔の映像を見た若い世代が、新しいものと同じように「カッコいい」と感じて取り入れているんだと思います。自分も1990年代や2000年代くらいの映像が好きなので、どうしてもそっちに寄ってしまいます。
Rock oN : 本日はお忙しい中、ありがとうございました!

メーカーリンク
Blackmagic Design
https://www.blackmagicdesign.com/jp
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記事内に掲載されている価格は 2026年9月18日 時点での価格となります。
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