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06
Oct.2009
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「Ocean Way Drums」のプロデューサー、スティーブン・ミラー氏のセミナーが開催されました。

ocean_way_drums_1

日本でも大ヒットとなったジョージ・ウィンストン『December』、ウィリアム・アッカーマン『Past Light』の他、マーク・アイシャム『Vapor Drawings』など、ハイエンド・オーディオ・ショップで試聴盤として多用される名盤を数多く生み出してきたプロデューサー/エンジニア のスティーヴン・ミラー氏が来日。10月5日にRock oN Company渋谷店でセミナーを開催しました!

「米国トップ・スタジオのドラム・サウンド・プロダクションを伝授」というサブタイトルの本セミナーに使用した素材は、米国西海岸屈指のスタジオ「Ocean Way」のアラン・サイズと彼が共同でプロデュースしたドラム音源 Sonic Reality「Ocean Way Drums」
セミナーは参加受付当日のうちに全ての予約席が埋まってしまうほどの大盛況ぶりで、多くの方がスティーブン氏と「Ocean Way Drums」に興味を持っていることを予感させます。

(惜しくもイベントに参加できなかったみなさま、本当に申し訳ございませんでした)

さて、グラミー賞ノミネートの経歴もある彼からどんな話が聞けるのでしょうか?
世界のトップエンジニアのセミナーということで、最初はセミナーの受講者も少し緊張した面持ちでしたが、目の前で語るスティーブン氏はとても気さくで温厚な方だったので、和やかな雰囲気の中、セミナーがスタート。
まず始めにスティーブン氏は「Ocean Way Drums」の開発やコンセプトなどについて静かに、しかし熱い口調で語りだしました。
「Ocean Way DrumsはOcean WayのスタジオBで録音したんだ。最高の部屋、最高のドラムセット、そして最高のマイクがあったからこのOcean Way Drumsを作ろうと思ったんだ。」
氏の強い言葉に「Ocean Way Drums」に対する意気込みを感じます。

ocean_way_drums_2

続いてはお待ちかねの音を出しながらの解説です。
MIDIでシーケンスさせた「Ocean Way Drums」がリファレンスルームに響き渡ります。

安易な製品キャッチコピーのようですが、まさに「まるでレコーディングスタジオのコントロール・ルームにいるような感覚…この部屋の壁の向こうで今、ドラマーが叩いている。」というような錯覚を覚えます。
私は特にシンバル系の音に素晴らしい印象を持ちました。さすがNAMMショーで多くのプロドラマーから「すごい!目を閉じるとシンバルが見えてくる」と絶賛されただけのことはあります。
音を聴いて驚きの表情を隠せないセミナー参加者を見て、笑みを浮かべながら彼はと話しをはじめます。
「Ocean Way Drumsはスタジオの最高のコンディションの機材と僕のマイクコレクションを駆使して、僕とアラン・サイズが実際にレコーディングで使っている音を再現したよ。僕たちOcean Wayスタジオの音そのものが19あるプリセットにこめられているんだ。実際のレコーディングではドラマーの演奏性を重視するためにマイクの配置に多少の妥協が出てしまうが「Ocean Way Drums」はそんな妥協は一切していないよ。」
19のプリセットといっても限られた音ではなく、ドライな音〜部屋鳴り十分な音までアンビエンス量を調整することで、1つのドラムキットから無限の音のバリエーションが生まれます。

より個性的なドラムサウンドを目指すならば、プリセット内のキック、スネアタム、シンバル類などを自由に組み替えてオリジナルなドラムキット構築することができます。
これらのプリセットを使うことによって、ハードなロックからパワーフルなソウル、ライトタッチなポップスや繊細なジャズ、数えきれないほどの多彩な表現が可能です。

完全にドライな音もしっかりしているので、クラブ系、ブレイクビーツ系の音にもぜひ使ってみたいと思いました。
「Ocean Way Drums」の音質の良さの秘密についてエンジニア視点で話してくれたスティーブン氏ですが時折、録音や音源開発の裏話も話してくれました。
「スネアの録音には僕自身が改造したSM57マイクを使っているよ。中低音が強調されるようになってるんだ。どうやって改造するのかって?ごめん、それは企業秘密なんだよ。」
「もし、僕たちがソフト音源というものを作る際の手間や苦労を始めから知っていたら、このOcean Way Drumsを作ろうとはしなかったかもしれないよ。そのくらい大変な作業だったんだ。完成までに結局2年以上費やしてしまったよ。でも妥協は一切しなかった。」
このような貴重なエピソードを聞けることが、セミナーの良いところですね。

このセミナーには参加者からゲスト講師へののQ&Aコーナーがあります。毎回とても有意義な答えをいただける大好評のコーナーです。

グラミー賞ノミネートのトップエンジニアに直接質問ができる、めったに無いチャンスです。質問者の方の言葉にも力が入ります。

(今回はいくつかの質問から抜粋してご紹介します)

ocean_way_drums_4
Q. プラグインを使ってかけ録りすることはありますか?
A. まず無いね。それには2つの理由があるんだ。1つめは、Ocean Wayスタジオにはたくさんの素晴らしい機材があるから、録音後にそれらをいろいろ試してみたいからということ。「Ocean Way Drums」には妥協の無い音を生のまま収録してあるよ。音の加工は僕たちじゃなくてOcean Way Drumsのユーザーがするんだからね。スクランブルエッグを作ってしまったらもう生卵には戻せないだろ?だから極めて生の音を収録してあるよ。
2つめの理由は、プラグインのレイテンシーの問題。プラグインをかけ録りするとレイテンシーが生じる。たとえそれがわずかなものであったとしても、タイミングが命のレコーディングでは使えないんだ。
Q. ドラムのレコーディング時の悩みとして、マルチマイクで多くのマイクを立てて録音する際の、位相の狂いの問題があります。「Ocean Way Drums」でも非常に多くのマルチマイクを立てていますが、この際の位相管理の方法はどのようにしたのでしょうか?
A. 一言で言うと、それは「エンジニアの耳と技術でクリアする」ということだね。今は複雑な位相調整もできる便利なプラグインなども存在しているが、僕はそういったものは使わない。位相を反転させるのはスネアのボトム・マイクだけで、それ以外の位相はいじらないよ。その前に、マイクの位置や角度を調整して透明な音になるポイントを探すことを追求すべきだね。全ては僕の35年のエンジニアとしての経験と技術で解決させるんだ。その技術を今ここで見せるわけにはいかないけど、代わりに「Ocean Way Drums」の音を聞いて欲しい。これには僕のそういったノウハウがたくさん詰まっているよ。
Q. 良い音でドラムを録音するコツはありますか?
A. そういったコツは長年の経験で得るしかないね。でも悪い音でドラムを録音してしまう原因は教えられるよ。まずは位相の狂い。そしてもうひとつはシンバルなどの金物にマイクを近づけすぎること。これらのことをしてしまうと、ドラムの音がとても悪くなる。
Q&Aを最後に、本日のセミナーは終了となりました。
過度なエフェクト加工をせずにドラム本来の生の音を、最高のスタジオ、最高の機材、そしてスティーブン氏らの最高の耳と技術で作り上げたドラム音源「Ocean Way Drums」。

その実力を彼の言葉とともに身をもって体感することのできたセミナーでした。
多くのセミナー参加者の方と同じく、私もこのセミナーで完全に「Ocean Way Drums」の音に魅せられてしまいました。また散財してしまいそうです…。

Rock oN Comapnyでは随時「クリエイターの為の」セミナー開催しています。

是非、毎日(?)ホームページをチェックしてみてください。必ず有意義な体験ができるはずです!

ocean_way_drums_3

記事内に掲載されている価格は 2009年10月6日 時点での価格となります。

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