製品レビュー、試聴からサポート情報、キャンペーンまで製品別にフォーカス。活用のヒントがここに集結。
DAWを中心とした制作環境の進歩が要求するのは、驚くほど伸びた低域/高域の再現性。また、ハイレゾやサラウンドといったトレンドを取り込み、モニタースピーカーはまさに百花繚乱。現在、沢山の製品がひしめき合う激戦区です。多くの新興ブランドが乱立する中、「KRK」はパワードモニター黎明期から現在まで続く、歴史を積み重ねてきたブランドの1つ。そんなKRKの新モデル「Vシリーズ」を、Rock oNスタッフがじっくり試聴。常に店頭で製品トレンドを把握するスタッフが感じた「Vシリーズ」のサウンドはいかに!!
パワードモニターの火付け役「KRKブランド」
司会 : KRKブランドのモニタースピーカーといえば、2002年に発売されたV4、その後続モデルとして2004年に発売されたV4 Series 2がすごくヒットしましたよね。佐々木さんは当時、どんな印象を持ってましたか?
Rock oN 佐々木 : パワードモニターの選択肢がまだそんなに無い時代だっということもあり、V4はとても人気がありました。乾いたアメリカンな音で、かつ低音が多く出る、元気がいい音という印象がありました。値段も抑えめだったこともあり、エンジニアさんよりも、ダンスミュージックやヒップホップを作るクリエイターに人気でした。その後のVXTシリーズやRokitシリーズも引き続き人気があり、アメリカではRokit 8など、サイズが大きい機種が売れているという話を聞いてました。
Rock oN 渋谷 : 当時、海外のヒップホップ・プロデューサーのスタジオ写真には、AKAI MPC2000などのサンプラーの後ろにRokitが映っているのをよく見ました。やはり太い低域の感じが、ヒップホップのテイストに合ってたんでしょうね。
いざ試聴! Vシリーズのサウンド傾向は?
司会 : じゃあ、新しいVシリーズを聞いてみましょう! 今日は真ん中のサイズのV6 S4を準備しています。初代のVシリーズと同じく2ウェイ、V6 S4はウーファーサイズ 6.5″のモデルです。
~ ボーカルもの、ロック、ダンス系と、スタッフが聞き慣れた音源を切り替えながらしばし試聴を続ける ~
司会 : ひととおり音源を試聴しましたが、音の印象はどうでしたか? 初代モデルと比較するとどうでしょう?
Rock oN 佐々木 : 初代のV4が「フラットだったか?」と言われるとそうでない。誰もがそのことを分かってながら、音の個性を好んで使っていたんだと思いますが、新しいモデルはそこが解消され、よりフラットになった感じですね。でも初代V4のカラッとした明るい感じは引き継いでいて、KRKブランドの個性は守られてると感じました。
司会 : 初代V4の時代から比べると、DAWを中心にした制作環境が大幅に進歩し、高解像度、低域/高域のレンジ拡大と、モニタースピーカーに求められる要件も変化しましたしね。
Rock oN 佐々木 : はい。これはデジタルアンプになって以降、ほとんどのブランドの製品に当てはまることだと思います。ただ、現行メーカーの機種で「フラット」を謳う製品でも「本当にフラットか?」と問われると、実はそうでない場合もあるんです。かなり高域まで再現する能力を備えたためか、個人的には「派手な音だな」と感じる製品もあります。
Rock oN 渋谷 : 以前、僕が行っていたスタジオでは、VXT8とYAMAHA NS-10Mが置いてあって、お互いの音の傾向を補完し合って使っていたイメージでした。この新Vシリーズを聞いて感じたのは、VXTシリーズに足りなかった傾向が解消され、これ1台でも成り立つ製品に進化してるということです。デジタルアンプのすっきりさが備わった感じといえばいいでしょうか。
Rock oN 松本 : 初代モデルよりもレンジが広がってますね。初代モデルが持っていた、いい意味でモコっとした部分が解消されて現代的になり、今のジャンルに求められる音楽制作モニタースピーカーとして進化してると思います。背面スイッチで色々な設定ができるので、設置環境に合わせてチューニング出来そうですね。あと、USB端子が付いてますよね? まだここは未使用部分ですが、僕は今後の開発に期待していて、パソコンやスマホを直接繋げるようになったりと、色んなシーンにマッチした使い方が出来るようになればいいですね。
Vシリーズのオススメユーザーはこんな方!
Rock oN 佐々木 : お客様によっては、ドンシャリだったり、低音が出過ぎるような極端さを嫌う方も多くいらっしゃいます。そういう方には、この新Vシリーズは変なデフォルメがない素直な音なのでお勧めしたいですね。もし、より低域が必要になれば、同社のサブウーファー「8S2」や「10S2」を組み合わせればいいと思います。
Rock oN 渋谷 : そうですね。故意に作った低音ではなく、自然な感じというのは好印象です。
Rock oN 松本 : 最近のトレンドとして、小さいサイズの製品なのに無理矢理に低域を出そうと作られてる製品があるんですが、新Vシリーズはあるがままを目指そうという設計思想が感じられ、そこは評価すべき点だと思います。
BLACKモデル
WHTITEモデル
ウーファー
メーカーHP
KRK SYSTEMS
http://www.krksys.com
記事内に掲載されている価格は 2017年11月1日 時点での価格となります。
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