Rock oN Buyer’s Guideで新たな制作の季節を切り拓こう!
この春、個性豊かなRock oN スタッフが、独自の目線でイチオシ制作機材をご紹介。
各音源試聴に使用したデモ曲の紹介
1.PREMIER SOUND FACTORY「Drum Tree」
こんな音源待ってました!と声を大にして言いたいドラム音源です。この音源は開発者でもあるICHIRO氏が追い求めた究極なサウンドとなっており、ただ良い音ではないサウンドがここに!あります。私が思うには視聴するだけでは無く、実際にDAWで打ち込んで頂くと、今までと違う全体の仕上がりになります。とにかくサウンドが馴染んでくれるのが素晴らしいです。
これまでドラム音源と言えば、ドラムの写真があって…そしてチューニングや、エフェクトシンバル、カウベルなどなど拡張の機能は満載でした。しかしDrum Treeは、KONTAKTベースの音源となっており、立ち上げの段階で「プリセットが表示されているだけ」の状態と、非常にシンプルになっています。今回私がチョイスしたのは「Brooklyn Jazz」で、理由はキックとスネアのサウンドにビビッと来たからです。
続いて、個別の音色も少し自分好みに仕上げましたが、Mixerの画面も最初の画面と同様にシンプルでしかもGateつまみにLocutと「これで十分」感になっています。確かにJazzキットのキックって、余韻部分が欲しい要素でもあるのですが、だいたい長すぎて使いづらいですが、まさにこのGateつまみあれば、ちょうど欲しいところまでのタイトさを演出できます。
最後に1キットに対しての配置されている個々のサウンド内容ですが、最初のプリセットで音色を変えることにより、演奏できる内容も変わってきます。例えばBrooklyn Jazzではスナッピーの効いたスネアサウンドと他に、”外した”状態のサウンドも(D3、E3)入っております。他にもハイハットのベロシティで、通常はクローズの場所でも、127近くなるとオープンなサウンドに変わったりと、驚きも潜んでいます。
ICHIRO氏も言ってましたが、とにかく無駄な要素を減らしてドラム本来のサウンドを引き出している「ドラマーが感じ取れるクオリティー」がここにあると。確かに…是非、こういうサウンドを求めている方、そして今回紹介仕切れませんでしたが、贅沢なサウンドが他にも収録されているので、是非チェックしてください。Drume Treeのおかげでデモ曲もサクッとできてしまいました。
2.fxpansion 「BFD3 Peter Erskine」
BFD2の頃でしたが、あのピーターアースキンのサウンドが手に入る!?と言う事で飛びついた思い出のある音源です。この拡張音源はピーターアースキンのシグネイチャーキットが満載な内容になっているのですが、キック一つとっても18”、20”、22”のバリュエーション豊かな拡張シリーズとなってます。今回選んだ音色は20”キック、そしてスネアは「PE Snare Jazz Sticks」を選びました。オープンリムショットのサウンドも非常に心地良く、タムとのバランスも素晴らしいです。
BFDにもスナッピーをオフったサウンドを演奏でき、Drum Tree同様にジャズなら叩くよねという構成を演出できるかと思います。それに加えてミキサーの画面上ではトップ、ボトムのレベルバランスを調整でき、これらに個別のコンプやEQをインサートする事も可能です。サウンドクオリティーだけでは無く、そこから更なる音色のエディットやミックスを行う事が出来るので、とことんこだわり抜いて追い詰めたいならBFDでは無いかと思います。
そしてBFD専用のエンジンというのもありますので、画像の様にKeyMapで、欲しいサウンドを自由に配置する事も可能です。実際にはスネアのスナッピーなしのサウンドはデフォルトでは配置されていなかったので、D5、E5あたりにアサインしています。また別の拡張音源ですが、スプラッシュのサウンドもF6、G6あたりに置いており、鍵盤を余す事無くびっしりと配置できます。
このKeyMapの自由度により、多点キット構成も組み上げる事が出来るのもBFDならではのメリットと言えるかと思いますので、やはりBFDは拡張音源を隅からすみまで揃えたいところですね。もちろん今表示されているキット構成も真ん中にあるプラスボタンで増やす事もできます。うむ、考え尽くされた機能と、クオリティーを誇る代表的なドラム音源と言えるでしょう。
3.Steven Slate 「SSD4 Platinum」
割と声も多く、お客様からも良くお勧めを頂いたSteven Slateのドラム音源です。PD安田もこの日の為に購入をしましたが、みんなが言う”使い易いサウンド!”の意味をここで初めて知る事に…!そしてSSD4は割とRockよりなサウンドが中心なのかと思っておりましたが、しっかりバリュエーション豊かにJazzキットも用意されていましたので、ここはKit構成を「Deluxe Jazz」を選びました。
聴いて頂いてわかる通り、全体的に乾いた感じの鳴りが確認できるかと思います。それでいて既に纏まり感を予めに出来ているので、そのまま打ち込んでミックスするならSSD4は即戦力なのでは無いかと思います。(特にスネアの塊がしっかり前に来るところはポイントです)ただJazzの様にそのままマイクで録った様なサウンドで、しかもダイナミクスの差が激しめに演出したい場合には、少々単調になりがちかもしれません。そこは今回のデモとは別で今度ギターがバリバリ入る様な楽曲で試してみたいです。
そしてJazz Kitを選びましたが、スネアはPD安田好みの「Snare Dunnett Tight」をチョイス。オープンリムショットをした際に、結構音が変わってしまう事があるのですが、やはり自然な感じのアタック感が欲しいので、ここは敢えて変更しました。ただ、その他のパーツ類はそのままに、調整をしたので結構デフォルトの状態にしてあります。聴けば聴くほどSteven Drumの特徴が良く捉えられるかと思います。
そしてそして、SSD 4のいいポイントですが、ミキサー画面を見てもらうとわかる通り、Kick InとKick Outのバランスを整えることができます(スネアもありますね)。Jazzの場合、やはりキックの余韻部分が重要かと思いますので、こう言う部分があると非常に嬉しいですね!初めて導入してみましたが、最初に言った通りロックやポップでの楽曲に活用して行きたいですね!
4.xln audio Addictive Drum 2「Modern Jazz Sticks」
見た目が良く、すぐにやる気を出してくれるルックスですね。しかしAddictiveには比較的新しめの音源として「Vintage Dry」もある事に後から気付いて遠い目をしてますが…この「Modern Jazz Sticks」もシンプルなサウンドで使い易いサウンドでしたが、他の音源と比較すると割と音が太めなのが分かるかと思います。それだけDrum Treeがすっきりしているのもあるかと思います。
Addictiveにはプリセットが豊富に用意されており、しかもModern Jazzはブラシパターンとスティックバージョンと2種類の拡張が用意されているのも特徴です。さらに上記の画像の様に16種類を切り替えて好みのサウンドを決めてからそこからエディットする事が可能です。選んだプリセットは「Modern Sticks」で、個人的にドライ目なサウンドをピックアップしました。
そして、画像の様にミキサーはデフォルトから弄っており、コンプとEQは全部カットしてます。そしてROOMのAmbもカットしてます。PD安田的にAddictiveの使い方はOverHead(OH)のみを残し、ROOMはちょいと残しのバランス良く聞こえてくるかと思います。おすすめです。そして画像でも見てわかる通り、KickのマイクポジションはBeator/Frontで調整可能です。ちょっと余韻の感じが欲しいので、Front目に設定をしております。
総括的にですが、全体のまとまり感のあるサウンドがこのAddictive 2の感想になります。のちにおまけの初代Addictiveと比較してみたいと思いますので、是非確認してみていただければと思います。
5.KOMPLETE 11「Abbey Road 60S Drummer」
前回のドラム音源の深層世界でKOMPLETE「Session Drummer」を披露しましたが、今回はこの「Abbey Road 60S Drummer」でJazzな感じを演出してみました。なかなかドライ?なサウンドが確認できるかと思います。キックとスネアが良い感じに太く、纏まった音が一気に放出されている感じがあります。ちなみにこのAbbey Road 60S Drummerですが、KOMPLETE 11の通常からでも収録されており、上位版のULTIMATEには50S、70Sや、80Sが収録されているので、本当はそっちも試してみて欲しいところです。
まずAbbey Road 60S Drummerの特徴ですが、各ピース毎にOver Headの送り分を調整することができます。(その隣にはTUNEのツマミが用意されています)それに加えてサウンドの余韻を調整できる「Center Alternating」のパラメータもあります。なお今回はデフォルトの状態でそのままにしておりますが、良い感じのデット感が聴いて取れるかと思います。ちなみにPD安田が持っていた旧バージョンではツマミがAbbyRoadデザインになっていましたが、新しいバージョンではより綺麗なデザインに加えて、ミキサー画面上ではSSLな感じのツマミに変わっております。
※旧バージョンの画面です。
このミキサーでは個別のレベルバランスを整え、さらにはEQ、COMPも付いているので、より使い易い音源になっています。それなりに追い詰めていけばもっと良いサウンドになるかと思いますので、是非とも旧バージョンを持っている方、そしてこれからの方は是非とも持っておきたい音源の一つといえるでしょう。EQは特に色も相まって使い易さに特化しているとも言えます。そして他の機能としてはGrooveという、いわゆるMIDIパターンも幾つか収録されているので、あまり打ち込みに関してわからない方でもオススメです。
改めて思いましたが、KOMPLETEがあればどのジャンルも困ることがなく、本当にオールインワン的な印象を受けました。
6.xln audio Addictive Drum 「Modern Jazz Sticks」(おまけ)
完全におまけで、声の多かった旧バージョンのAddictive Drumsを試してみました!なんとも言えない激しいコンプ感が出ているのが、この初代のバージョンかと思います。今でもすこぶる快調に動いているので、ちょっとエフェクティブなサウンドが欲しい時には重宝します。今聞いてもなかなか面白い音をしてますね。
今回のチョイスした音色はAddictive Drums 2と同様に「Modern Jazz Sticks」の「Premier Jazz Sticks」を選んでいます。本当は2でも同じプリセットに…と思ったのですが、見つからなかった(実はあった?)ため、この音色をピックアップします。
早速サウンドを確認してみると、2とはまた雰囲気が変わり、やや軽めではあるが、暴れ具合が相変わらず出ているのがわかります。これはOverheadの要素がかなり大きいのですが、敢えて今回は切らずにして、そのままにしてあります。しかしRoomのサウンドはやや広がり方が出すぎてしまうので、抑えめにしています。
Ver2と初代とで、こうも音が変わるのはなんとも不思議なのですが、Ver2の時同様にコンプやEQはオフにしていますので、割とそのままのサウンドで演奏をしています。本当はエンベロープ部分を駆使すれば余韻の部分などをタイトにしたり、さらにコンプをかっつりかければ、良い感じのアタック感も演出する事が可能です。
今になってですが、Addictiveの初代サウンドは他には出せない音のなので、もともとお持ちの方はOSを上げることができなくなりますが、残しておきたい音源の一つかと思います。
さていかがだったでしょうか。デモ動画を見る、聴くだけでは音源の使い勝手はわからないので、是非とも紹介している音源は手に入れてみて欲しいです。今回は新製品のドラム音源「Drum Tree」をフューチャーしましたが、やはり何度聞いても、ズバリなサウンドが手に入るので、これはもう手に入れる他ないでしょう。
店頭機にてお試し頂けますので、是非一度ご来店にてご視聴いただけましたら幸いです!
PD安田
記事内に掲載されている価格は 2017年3月17日 時点での価格となります。
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