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Jun.2023
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Neumann TLM 102、TLM 103、TLM 107聴き比べ&インプレッション

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1928年の誕生から現在に至るまで、レコーディングシーンの歴史と共に輝かしい歴史と技術を持つNeumannマイクロフォン。その中でもトランスレス回路を搭載し、比較的入手しやすい価格帯でもあるTLMシリーズは、比較的最近登場したラインナップということで定番モデルU 87 Aiなどと比べるとどんな機能があってどういう音の特性なのか、イメージしづらい方もいるかと思います。

そこで今回はTLMシリーズにスポットを当てて、手に入りやすい価格帯の3種類(TLM 102、TLM 103、TLM 107)、そしてリファレンス用に定番マイクロフォンとして多くのスタジオでも愛用されているU 87 Aiを用意し、その音を比較試聴してみようという企画です。

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今回の収録はビクタースタジオ全面協力のもと、日頃Neumannマイクロフォンを愛用しているボーカリスト・ずま氏をお招きししてレコーディングを実施しました。

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今回は歌の収録順序やテイクの出来で音質が変更することのないよう、マイクロフォン4本同時にセッティングした状態でレコーディングしました。

●エンジニア紹介

ビクタースタジオ 専属エンジニア : 川人 俊之 氏

レイヤー-24

制作者の意図を読み取るうえでの正確さと勘の良さは、彼にリピートして任せられる安心材料である。レコーディングと同時進行的に完成図を描いているが、相手にどこまで提示するのか、そのさじ加減が絶妙だ。バンドや歌ものを得意とし、徹底した歌い手ファーストの姿勢と、これまでに蓄積された数々のアイデアは、作品づくりを強力にバックアップする。年長のアーティストから可愛がられるのも、彼の気遣いの賜物である。

ある程度の派手さを残し、太く大胆な音が特徴的で、そこには思い切りの良さが感じられる。

クールな風貌に反してオープンで、クライアント想いであるのははもちろん、仲間想いの熱い一面も。野球観戦や将棋が趣味。野球は熱狂的なソフトバンクホークスファンである。

https://victorstudio.jp/engineer/toshiyuki_kawahito/

ビクタースタジオ 専属エンジニア : 宮沢 竣介 氏

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エンジニアとして現場をデザインするという意味において、優れたバランス感覚を持つ。音楽を“音が楽しい”と書くように、楽曲制作の過程を全員が楽しめることが重要であるとし、彼の俯瞰的な視点は、クライアントとの関係構築のなかで強くプラスに作用する。これまで、プレイヤーとして音楽にのめり込んだというよりは、一般消費者に近い感覚で音楽との距離を保ってきたからこそ出せる色があり、それが、アーティスティックな世界では、彼の独創性にもなる。

引っかかりを持ちつつ透明感を帯びたサウンドは、楽曲の主役の存在をはっきりと浮き上がらせる。

休日は丁寧にコーヒーを淹れたり、料理をしたりすると、良いリフレッシュになるという。十分な睡眠も、良いパフォーマンスのために欠かせない。

2023年6月よりフリーに転身。

参加ボーカリスト プロフィール

●ずま

ミュージシャン/YouTuber/プロデューサー
Zuma
YouTube&SNSフォロワー計240万人突破。再生回数計6億回突破。

お題をもらって5秒で作る即興ソングを得意とし、そのクオリティが高く評価されている。

流行曲のアレンジやマッシュアップ、その場でもらった歌詞からオリジナルソングを作るなど、SNS時代にフィットした音楽へのアプローチは他のアーティストと一線を画す。

2023年5月に自身初のカバーEP「REIMAGINED」をリリース。さらに、6月16日深夜に放送されるフジテレビ番組「オケカゼ 〜桶屋が儲かったのはその風が吹いたからだ〜」に書き下ろしたオープニング楽曲「パラレル」を6月9日にリリースした。

YouTubeはこちら

各マイクのインプレッション

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収録後に音源を聴きながら、歌ってくれたずま氏とビクタースタジオ所属エンジニアのお二人と共に、TLMシリーズ3種類プラスU 87 Aiそれぞれの音の印象を伺ってみました。

★実際に収録し、比較試聴した音源はこちら

●TLM 102

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ずま 氏 : TLM 102は録り音がシャキっとしていて、歌声がオケに馴染みやすく、最近のJ-POPや洋楽で好まれる音色だと思います。コンプやEQなどのエフェクトをかけなくても、ある程度オケに混ざりやすい音で撮ってくれるので、MIXの専門知識があまり無い人でも、コスパよく、自宅で高音質な歌ってみた動画等を制作できるマイクですね。

僕は普段U 87 Aiでレコーディングしているけど、MIXでTLM 102っぽい音にしている時もあるなと思いました。

宮沢 氏 : 中域の情報量とかちゃんと聴こえてほしいところが聴こえてくる感じがしたので、今日レコーディングした中でずまさんの声に合うのはTLM 102かなって思いました。

川人 氏 : シャキッとしてますけど細い音だという印象はないですね、中身はちゃんと詰まっているという感じはします。ロックとかヒップホップとか、照準が絞られたレンジを必要としないジャンルに使えそうな気がします。

●TLM 103

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ずま 氏 : TLM 103は温かみがあって艶が出て芯がある感じです。そういう意味ではU 87に近い印象でした、U 87プラスアルファというか、令和のU 87的な印象。理由は特にないですがバラードなんかに合いそうな感じがします。

川人 氏 : 位置付けとしては難しいけれど、ちゃんと調整すれば良い音になるかなって印象でした。

宮沢 氏 : 個人的にはTLM 102とTLM 103は音の感じがすごい似ているなって思いました。余分なところを精査すれば上手く聴こえる音になるかなって感じです。

ずま 氏 :TLM 103はU 87に憧れている人で、価格帯で買うのを躊躇している方におすすめしたいですね。

●TLM 107

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ずま 氏 : TLM 107はTLM 102に似ているけど、自分色に染めやすい余白がある印象。声の芯が通っているけれど、TLM 102ほど味付けがないと思います。

宮沢 氏 : TLM 107は一番現代的な音がするっていうか、音のスピードが速い印象ですね。音の余分なところが少なくてEQで削らなくても耳に飛び込んでくる音が早い印象がありました。U67と比べるとSONY C-800G寄りっていうか、色々できる分、一般の方がファーストチョイスで使うのはちょっと難しいかなと思いました。あと人の声の特性にもよりますかね。レンジ的に美味しい部分が下にあってローミッドが欲しい人はちょっとスッキリしすぎて、ロックみたいな曲調で歌を前に前に出したい人には向いてるかもしれません。

川人 氏 : 自分の好みで言うとTLMシリーズではTLM 107を選びますね。関係性が成立しているアーティストだとTLM 102を使うというのもありですが、初めての方だとエンジニアとしての安心感もあってTLM 107かなと思いました。

ずま 氏 :TLM 107は指向性を変えられたり機能がたくさん付いているので、長く使えそうですね。自分はU 87 Aiを使ったことあるから言えるんですけど、色々なことに対応できそうなマイクって気がします。

●U 87 Ai

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ずま 氏 : いつも自宅でのレコーディングはU 87 AiとApolloTwinを使ってるんですが、この環境で聴いてみるといつものと違う印象がしました。たぶん今日使っているマイクプリアンプとかの影響もあると思うんですけど。

宮沢 氏 : 今日はSSLのコンソールとNeumannのヘッドアンプV 402で通した音とそれぞれ聴き比べてみたんですけど、SSLは味付けがなくて馴染んでくる音だったんですけど、V 402は主張があって一歩前に出てくる感じで倍音が伸びてSilkyな印象がありました。

ずま 氏 : 僕はTLM 102の音をとても気に入りましたけど、やはりU 87の音も捨て難いとは思いますね。とてもきらびやかな感じで丸みがあって暖かい音で、ここからどうにでも味付けできる印象でした。プラグインを使ってU 87をTLM 102っぽい音にすることは出来ても、TLM 102をU 87のような素直な音にすることは難しいと思います。シャキッとした音にしたい場合はEQで補正したり、コンプをかけて色をつけていくこともできるという感じがします。

V402

総評

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ずま 氏 : TLM 102の価格を聞いて、とてもコスパがいいマイクだなと思いました。エントリーモデルをまずは買って上手くなったら上位機種を試そうって考えている方にはピッタリですね。声の特性というか美味しいところもきちんとレコーディングしてくれて、Neumannらしさもあると思います。今日のテイクで自分なりに選ぶならTLM 102で録ったテイクかなと思いました。

川人 氏 : たしかにTLM 102を10万円で買えるのは大きいなって思いますね。変に補正された感じもないから、ホームレコーディングで使うことで自分の歌とか基準となる音を知るというのにはいいですよね。

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ずま 氏 : ビンテージっぽいデザインもいいし、ポップガード付きなのに抜けがあるっていいですね。最終的にミックスでEQやコンプをいじって削ぎ落とすのなら選択肢が多すぎるより、この値段でここまでの音が録れるのは潔いというか自宅DTMで使う人には最適解かも。僕もNeumann U 87 Aiをずっと家で使ってますけれど、情報が少なくて十分なときや、オートチューンをかけたい時はAudio-Technica AT3300を使ったりしますから。

宮沢 氏 : 総じてTLMシリーズは抜けが軽やかな印象で、それぞれマイクごとにキャラクターがあると思います。オケにそのまま混ぜても抜けてくる感じというか、値段的にも手が届きやすいですしね。個人的にTLM67がすごい好きで、アコースティックギターや歌のレコーディングで使うとトランスレスらしいすっきりした音で録れるんです。

川人 氏 : たしかにTLMシリーズはどれもU 87 Aiに比べてシャキッとしていて、面で聞こえる印象がしました。TLM 107、TLM 103、TLM 102の順番で音像の面積というか照準が絞られる印象がありました。TLM 102、TLM 103、TLM 107となるにつれて歌のレンジが広がっていく感じでしたね。

宮沢 氏 : この中でTLM 107は機材の組み合わせで効果を発揮できそうなマイクという印象でした。選択肢が多い分、難易度が高いのかなって。それが使いこなせる人には合うかなと思います。TLMらしいすっきりした感じは好印象でした。

●製品情報

TLM-102-Frontal_Neumann-Studio-Microphone_SR
・TLM 102
コンパクトながらパワフルな単一指向性コンデンサーマイク

• ノイマンラージダイヤフラムカプセルを搭載したコンパクトマイク
• 歪みが少なく高いSPLを実現するトランスレス回路
• 均一なカーディオイド指向特性
• 非常に高い最大音圧レベル
• 一体型ポップスクリーン

TLM 102は、他の高価なノイマンのマイクと比較するとサイズと機能が縮小されていますが、手頃な価格にもかかわらず、TLM 102はクラシックなテーパーヘッドグリルと有名なノイマンのダイヤモンドの間にクロームのリングを配した、非常に魅力的な外観をしています。

TLM 102のサウンドは見た目と同じくらいスマートです。新開発のラージダイアフラム・コンデンサー・カプセルは、世界中のレコーディング・スタジオでノイマン・マイクロフォンが最初に選ばれた理由である、クリアで焦点の定まった素晴らしいサウンドを実現するためのすべての品質を備えています。

中音域全体にわたって非常にリニアなレスポンスを実現しているため、あらゆる声や楽器の真の個性を捉えることができ、10 kHz付近でわずかに上昇してシルキーな高音域を実現します。TLM 102は、大型振動板カーディオイド・カプセルの制御された近接効果(プロキシミティ効果)によって豊かになったゴージャスなボトムエンドも持っています。すべてのシンガーにとって喜びでしょう。

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NEUMANN
TLM102
¥99,000
本体価格:¥90,000
990ポイント還元

TLM 102関連製品はこちら


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・TLM 103
K87をベースとしたK103カプセルを使ったコンデンサー・マイク

• U 87由来のラージダイヤフラム
• カーディオイド
• 限られた予算で最大限のクオリティを提供

TLM 103は、U 87と同じ設計思想のダイヤフラムを搭載、カーディオイドパターンに限定する事により抜群のコストパフォーマンスを獲得。伝説のブランドノイマンの入門編としても、本格的なレコーディングへの第一歩としてもお勧め出来るマイクとなります。

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信頼できる確かなトランスレス回路を利用することで、いままでに達しえなかった低自己ノイズと最も高い音圧レベルの透過を特徴としています。カプセルは、カーディオイド・パターンであり、音響的によくバランスがとれていて、並外れた背面からの信号の減衰を提供します。

アメリカでは、U 87 Aiに匹敵する人気を誇るマイクで、シンプルなアンプ部分によってNeumannのラージダイヤフラムモデルの末っ子ではありますが、上位モデルを凌駕する部分も併せ持つおすすめモデルです。

NEUMANN
TLM103
¥179,190
本体価格:¥162,900
1792ポイント還元

TLM 103 関連製品はこちら


・TLM 107
新型ラージダイヤフラム + 5つの指向性と革新的な操作

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• 5つの指向性パターンを持つマルチパターンラージダイアフラム(無指向性、ワイド カーディオイド、カーディオイド、ハイパーカーディオイド、双指向性)
• パッドおよびローカットのLED点灯表示によるナビゲーションスイッチ
• 卓越したインパルスの忠実度
• 音響特性: 人の声を透明で自然な再現、優れた過渡応答

多彩な場面で使用でき、妥協のないサウンドと革新的な操作; 5つの指向特性と新たなオペレーティング コンセプトにより、この基準設定のラージダイアフラム マイクロフォンはどんな着色もないサウンドを提供します。均等で印象的なレベル処理と低自己雑音を特徴とし、柔らかいささやきから雷のようなドラムまですべてをキャプチャします。スタジオ、放送や宅録のアプリケーションに最適です。

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すべてのマイクロフォンのスイッチ機能は、初めてのナビゲーション スイッチで直感的に制御されます。視覚的ハイライトは、クロームリングに彩飾されたパターンに表示され、パッドとローカットの状態はスイッチの左右に配置されたLEDにて表示されます。シンガーが気にならないようにするため、スイッチおよびディスプレイはマイクロフォンの背面にあります。

NEUMANN
TLM107
¥179,666
本体価格:¥163,333
0ポイント還元
NEUMANN
TLM107 bk
¥231,000
本体価格:¥210,000
3465ポイント還元

・U 87 Ai

ノイマン・クラシックのコンデンサーマイク

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• ラージ デュアル ダイヤフラム
• 3種の指向特性
• 最も有名で、最も広く使用されるNeumannスタジオマイク

U 87 Aiは温かみがあって、バランスのとれた音質でよく知られており、どんなタイプの音楽であっても、スピーチの用途であっても、ボーカルマイクとして最高の選択となりうる製品です。またオーケストラレコーディングのメインマイクとして、単一楽器のスポットマイクとしても使われるこのマイクは、スタジオで、放送や映画、テレビの現場でもっとも多用途に使われるマイクとなっています。

3種あるマイク指向性はグリル下部のスイッチで選択ができます(無指向性、単一指向性、双指向性)。背面には10dBのアッテネーションスイッチがあり、そのおかげで127dBまでの音圧を歪みなしに扱うことができるマイクになっています。さらに近接効果を補うべく、低域の周波数特性が抑えられるマイクです。

NEUMANN
U87Ai
¥439,800
本体価格:¥399,818
4398ポイント還元

U 87 Ai関連製品はこちら

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Neumann TLM102のファーストインプレッション by ZOMBIE-CHANG

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記事内に掲載されている価格は 2023年6月14日 時点での価格となります。

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