製品レビュー、試聴からサポート情報、キャンペーンまで製品別にフォーカス。活用のヒントがここに集結。
手頃な価格帯でありながらハイエンドオーディオ機器のテクノロジーがふんだんに盛り込まれたSteinbergのオーディオI/F URシリーズ。藤本
健さんの『DTM STATION』のアンケート調べでは 2017年2月時点でシェアNo.1のオーディオI/Fとして選ばれたほど強い人気を誇っています。
2017年5月にiPhoneへの対応(*)が公式アナウンスされ、それと同時に内蔵DSPエフェクトをiOSからコントロールできるiApp『dspMixFx』のiPhone版も発表。そしてiPad用 DAW CUBASISもライセンス付属するSteinberg URシリーズに今、あらためて注目したい。
(*「Apple iPad Camera Connection Kit」または「Lightning USB カメラアダプタ」が必要となります)
URシリーズ とは?
Cubaseで知られるSteinbergのUSB 2.0 オーディオI/F。親会社であるYAMAHAと共同開発されている。ディスクリートマイクプリ D-PREやDSPプラグインなどはYAMAHAのコンソールの技術が生かされているなど、価格だけでは計れない高品位な機能がコンパクトにまとめられているのが特徴。
ラインナップはコンパクトな UR12 と UR22 mkII、本格派ポータブル UR242 と UR44、デスクトップタイプ UR28M、ラックマウント UR824の6機種。プロジェクトの大きさやユーザーの好みによってチョイスできる。
機能比較
UR12 | UR22mkII | UR242 | UR44 | UR28M | UR824 | |
---|---|---|---|---|---|---|
接続方式 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 |
USB バスパワー | O | O | X | X | X | X |
最大ビットレート | 24-bit | 24-bit | 24-bit | 24-bit | 24-bit | 24-bit |
最大サンプリングレート | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz | 192 kHz | 96 kHz | 192 kHz |
周波数特性 | 20 Hz - 22 kHz | 20 Hz - 22 kHz | 20 Hz - 22 kHz | 20 Hz - 22 kHz | 20 Hz - 22 kHz | 20 Hz - 22 kHz |
ダイナミックレンジ | 101 dB (A-weighted ) | 101 dB (A-weighted ) | 101 dB (A-weighted ) | 101 dB (A-weighted ) | 101 dB (A-weighted ) | 105 dB (A-weighted ) |
クラスコンプライアント (CC) モード | O | O | O | O | O | O |
ループバック機能 | O | O | O | O | O | O |
入出力合計 | 2 イン / 2 アウト | 2 イン / 2 アウト | 4 イン / 2 アウト | 6 イン / 4 アウト | 6 イン / 8 アウト | 24 イン / 24 アウト |
マイク入力 | 1 (D-PRE) | 2 (D-PRE) | 2 (D-PRE) | 4 (D-PRE) | 2 (D-PRE) | 8 (D-PRE) |
ヘッドフォン出力 | 6mW + 6mW @ 40 Ohm | 6mW + 6mW @ 40 Ohm | 15mW + 15mW @ 40 Ohm | 35mW + 35mW @ 40 Ohm (× 2基) | 35mW + 35mW @ 40 Ohm | 75mW + 75mW @ 40 Ohm |
ハードウェアレイテンシーフリーモニタリング | O (DIRECT MONITOR スイッチ) | O (MIX ノブ) | X | X | X | X |
レイテンシーフリーモニタリング/エフェクト (dspMixFx) | X | X | O | O | O | O |
付属ソフトウェア (ライセンス) | Cubase AI , Cubasis LE | Cubase AI , Cubasis LE | Cubase AI, Basic FX Suite, Cubasis LE | Cubase AI, Basic FX Suite, Cubasis LE | Cubase AI, Basic FX Suite , Cubasis LE | Cubase AI, Basic FX Suite , Cubasis LE |
UR22mkII Recording Pack
『UR22mkII Recording Pack』は、スタインバーグのUSBオーディオインターフェース「UR22mkII」に、スタジオモニターヘッドホン「ST-H01」、スタジオコンデンサーマイク「ST-M01」(マイクマウント、ローノイズマイクケーブル付)をバンドルしたパッケージです。ソフトウェアは「Cubase AI」「WaveLab LE」「Cubasis LE 」を付属しており、買ったその日からレコーディング/音楽制作が行えます。
テクノロジー
D-PRE マイクプリアンプ
対応機種:全機種
UR シリーズは、全機種にディスクリート Class A マイクプリアンプ “D-PRE” を搭載しています。
プリアンプは録音作業で最初に使用される機材であり、最終ミックスのクオリティを決定づける最重要コンポーネントの一つです。D-PRE は Yamaha の経験豊かなエンジニアの手によって、オーディオソースがもつある種のニュアンスや表現力を余すこと無く捕らえることができるように、デザインとチューニングを繰り返された末に完成しました。その結果ははっきりと音のクオリティとして現れていて、さらにその秘密は回路デザインの中に隠されています。
通常プリアンプは入力段の +(ホット)/ -(コールド) 信号それぞれに1基ずつトランジスターを用い、信号を増幅していますが、Steinberg オーディオインターフェースに採用されている D-PRE は + / – 信号それぞれに2基のトランジスター(合計4基)を搭載するインバーテッド・ダーリントン回路をベースにデザインされています。トランジスター1基では、音声信号レベルの増加とともに歪成分も増える傾向がありますが、トランジスターをカスケード接続することで音声信号レベルに関わらず、歪成分を非常に低く抑えることができます。
マイクプリアンプは、使い方や用途によって、敢えて特徴的な色づけを行うものがある一方で、オリジナル素材がもつ音色の持ち味をそのまま自然に増幅するものまで様々です。例えば、非常に高い人気を誇るビンテージマイクプリアンプは、敢えて味わい深い色づけを入力ソースに与えることで、特にボーカル録音で好んで選ばれますが、一方で汎用性という点では特徴的な音がそぐわない場合も出てきてしまいます。
D-PRE は昨今の DAW 環境の著しい進化を鑑みて、色づけは プラグイン・エフェクト等を使って DAW 上でじっくり行うことを前提に、演奏者の表現力や、個々の楽器がもつ本来のエッセンスをありのままに録れるように丁寧にチューニングされ、周波数帯全域に渡りフラットな特性を実現しています。結果的に D-PRE は、高品位に原音のもつありのままのキャラクターを捕らえることに成功しています。開発チームは、難しいバランス調整をじっくりと時間をかけて行いました。D-PRE の音質をご経験いただく機会があれば、その懐の深さ、洗練された音質にきっと納得いただけるでしょう。
dspMixFx
対応機種:UR242 ,UR44 ,UR28M ,UR824
カスタムメイドの DSP チップ “SSP2” により、多彩かつ柔軟なモニタリングマトリックスと強力な DSP エフェクトを両立する dspMixFx テクノロジー。ニーズに合わせた本格的なレコーディングスタジオシステムを実現します。
ソフトウェア音楽制作環境で問題となるモニター音の遅れを解消し、DSP エフェクト (Sweet Spot Morphing Channel Strip / REV-X / Guitar Amp Classics*) を駆使しつつ、ハードドライブ上のオーディオデータとインプットソースを自在にミックス。さまざまな DAW 環境で、dspMixFx ミキサーアプリケーション (Windows / Mac / iOS) を経由したレイテンシーフリーのモニターミックスを構築できます。
【NEW】dspMixFx for iPad & iPhone
対応機種:UR242 ,UR44 ,UR28M ,UR824
dspMixFx を使えば、UR242、UR44、UR28M、UR824 に搭載するカスタムメイド DSP チップ “SSP2” が持つパワーに iOS デバイスから直接アクセスできます。
定評ある DSP エフェクト REV-X リバーブ、Sweet Spot Morphing Channel Strip そして Guitar Amp Classics を使ったレイテンシーフリーのモニターミックスを構築できるので、ライブレコーディングセッションではプレイヤーに最適なモニタリング環境を提供できます。
また、iPhone/iPad用DAWの Cubasis やサードパーティ製 iOS オーディオアプリケーションと組み合わせて、本格的なレコーディング/音楽制作環境を実現します。
エフェクト
付属ソフトウェア
Cubase AI ダウンロードバンドル
Cubase AI は最大32オーディオトラック、48 MIDI トラック、16インストゥルメントトラックを搭載。凝ったアレンジの楽曲やサウンドプロジェクトもカバーします。最大16オーディオチャンネルの同時録音にも対応し、UR シリーズオーディオインターフェースなどを使ってマルチマイクでのバンド録音も行えます。ステレオミックスは WAV または AIFF フォーマットでミックスダウンでき、また Fraunhofer アルゴリズムによる MP3 書き出し機能* もオプションでご用意しています。
(* MP3 Upgrade Patch は Steinberg Online Shop からダウンロード販売)
Cubasis LE ダウンロードバンドル
Cubasis LE は iPad 用のマルチタッチ DAW、Cubasis のライト版です。指先でトラックやツールに触れながら、iPad ならではの直感的な操作感で、録音から編集、ミックスまで曲を素早くかたちにできます。さらに Cubasis Project Importer を活用すれば、Cubasis LE のプロジェクトを Mac や Windows 上の Cubase で読み込むことも可能です。
総評
手頃な価格帯のオーディオI/Fが列挙する昨今。どれを選んでよいのか、またどれを選ばないほうがいいのかなど悩みが尽きない方も多くいるとか。そこでプロ/コンシューマーを問わずに評価が高く、iPhone/iPad対応で楽しみの幅を広げていけるSteinberg URシリーズに注目してみました。
ユーザーから直接意見をうかがったところ「Cubaseが使いたかったから安心の同メーカーで」「YAMAHAの信頼性」といった安心を求める声や「この価格でDSPエフェクトまで使える」「MRシリーズの時からD-PREの音に慣れているので次のI/Fとして選んだ」というSteinbergの独自性を評価する声もありました。やはり売れ続けているのには理由がある。Steinberg URシリーズは、セカンド機やモバイル用途のオーディオI/Fをお探しの方にぜひ候補に入れてほしい製品です。
記事内に掲載されている価格は 2017年7月25日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ