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MS-20の特集で幕を開けた2月6日のKorg新製品発表会。続いて後半はKorgが7年ぶりにリリースしたライブ向け本格アナログモデリングシンセサイザー『KingKORG』と、レスポンスを飛躍的に向上させ完成された楽器として進化を遂げている『WAVEDRUM Global Edition』をフューチャーしてご紹介いたします!
※『Korg新製品発表会レポート!前編』はこちら!>
Prophecy、Z1、MS2000、RADIASに続く7年ぶりの本格アナログモデリングシンセサイザーが登場!
まずはKingKORGの企画に携わった、Korg商品企画室の村北 氏の解説をご覧ください。
初心者にわかりやすく、マニアの要求にも応えるライブ向けシンセという『KingKORG』の特徴をお分かりいただけましたでしょうか?
・新開発のオシレーター
KingKORGは、2006年にリリースされたRADIASで搭載されたシンセエンジン「MMT」を超える新開発音源「XMT(eXpanded Modeling Technology)」を搭載しています。
一般的なアナログ(モデリング)シンセのオシレーターは、正弦波、鋸波、矩形波などのシンプルな波形が数種類だけ入っていますが、KingKORGのXMTオシレーターはそれに加え、始めから複数のシンセをミックスして作られた波形、デジタルでしか再現できない複雑な波形、ステージで便利なピアノやストリングスのPCM音源、そしてKorg初のデジタル加算方式シンセDW8000の波形など総計127もの波形を搭載しています!
ここで優れものの機能が「CONTROL」ツマミ。選んだオシレーターによって最適な効果が得られるパラメーターがアサインされるので初心者でも積極的な音作りにチャレンジできます。
これならばシンセサイザーの知識が豊富でない方でも「欲しい音に近いものを選ぶ」というところから音作りをスタートできます。さらにこのオシレーターは、3オシレーター×2ティンバーでこれを重ね、分厚いリードやリッチなパッドを作ることができます。
・充実したフィルターバンク
一般的なLPF、HPF、BPFそれぞれに歴代名機のモデリングフィルターを搭載して総勢18タイプ。中でも切れ良く温かみのあるサウンドのmoogタイプはレゾナンスの効きがとても良く、自己発振もできます。パッドにはOBERHEIMタイプ、リードにはMS-20タイプ、アシッドSEQにはACIDタイプ、といった欲しいサウンドに相応しいフィルターをチョイスできるというのは嬉しい仕様ですね。
・直感的操作のエフェクト
シャンパンゴールドのボディ上面にあるエフェクトセクションには「PRE FX」「MOD FX」「REV/DELAY」という3つの大きなツマミがあります。各6種類のエフェクトの中から1つを選んで組み合わせて使うのですがこれらのパラメーターは全て目に見えるツマミだけでコントロールが可能で、まるでストンプエフェクトを触っているかのような直感的な操作感です。
このエフェクトセクションの中にあるもう一つのポイントが、2003年ELECTRIBE MXから搭載され始めた真空管を使った「真空管ドライブ回路」です。これはマスターエフェクターとして出力前段に入っていて、ツマミ一つで真空管ならではの効果を足すことができます。薄くかければ豊かな倍音と独特のコンプレッション感が得られ、グっとかければ前に張り出すオーバードライブサウンド。さらにBOOSTスイッチを押せば過激なディストーションサウンドまでお手の物です。
・ライブの特化した機能
初心者には分かりやすく、マニアの要求にも応えるライブ向けシンセとして生まれたKingKORGの特徴はプリセットにも隠されています。200あるプリセットの内80%が、誰しもが耳におぼえのある名曲からインスパイアされたサウンドで、一度は演奏したかったあんな音やこんな音を瞬時に呼び出して使うことができます。(展示会のデモ演奏ではこのプリセットを使ってイントロ当てクイズをして盛り上がりました)
もちろんその憧れのそのサウンドを加工して自分だけのオリジナルサウンドとして保存することもできるので、使い勝手がありますね。
初心者でもすばやく望みの音にたどり着くことができるのが魅力のKingKORGですが、アナログ(モデリング)シンセサイザーの一から音を作るという楽しい行程で音作りができる機能が別モードで欲しかったなあ、と思うのは私だけでしょうか。今後はそういうシンセサイザーも期待してますよ!
また必要最小限でゆったり配置されたツマミの配置も考え抜かれたもの。RADIASのコントロールパネルに所狭しと並んだツマミはライブでは使いにくいといった反省もあったということです。アナログモデリングシンセでは珍しい61鍵というのもライブに最適な鍵盤数を探し求めての結果ということなので、まさしくハードにツマミでサウンドをコントロールしながら演奏をするライブプレイヤーに向けた1本ということですね。
商品企画室 村北氏と共に
続いては1994年から続くKorg独自の人気製品WAVEDRUMの最新版『WAVEDRUM Global Edition』!こちらも製品の開発に携わった、新規商品開発室 技師の本橋 氏による解説動画をご用意しましたよ!
ピックアップの精度を上げ、打撃の大小問わず追従性が増したことにより、さらに生の打楽器に近いレスポンスを獲得した本機。
プレイヤーや従来製品ユーザーの意見を積極的に取り入れて、実用性の高い生楽器のサウンドをブラッシュアップさせたということです。
例えばジャンベの種類を増やし、ウッド製/ファイバー製などより細かいニュアンスが表現できるようになり、他にも和太鼓やスネアの音を増量。ドラムセットのサブスネアとして使っても良いですね。
動画の中でも出てきましたが、プリセットの呼び出しが早く使いやすくなったことも、ヘッドホンとラインアウトの音量が上がったことも、楽器の面白さにこだわるKorgらしいバージョンアップと言えるでしょう。
あえて言わせてもらうとMIDIアウトや、WAVEDRUM Miniで採用されていた「センサー内蔵クリップ」を本格的仕様にしたような、足や体全体で演奏できるギミックがあればもっと楽しくなるかもしれませんね。これからもWAVEDRUMには期待しています!
前編/後編の2回に分けてお送りしたKorg新製品発表会レポートはお楽しみいただけましたでしょうか。楽器メーカーとして独自の路線を追求するKorg。まだまだ課題やクリアすべきミッションはあるものの、前編でお伝えしたオリジナルMS-20の開発者 西島 氏の笑顔からうかがえるように、Korgには今後も開発者自身が多いに楽しめる製品作りにチャレンジしてほしいと思いました。
★『KingKORG』『WAVEDRUM Global Edition』が世界初公開されたNAMM Show 2013の模様はコチラ!
記事内に掲載されている価格は 2013年2月7日 時点での価格となります。
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