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AES2019

18
Oct.2019
REPORT

AES 2019 Day1 : オープニングセレモニー 基調講演 編

今年の基調講演を務めたのは、ブレイクビーツの第一人者として有名なHIP HOPレジェンド、グランドマスターフラッシュ!!

会場に彼を紹介するイントロ動画が流れ、終了と同時にご本人登場。会場は割れんばかりの歓声に包まれます。

登壇後、なにやらホワイトボードに書いている様子のグランドマスターフラッシュ(以後GMF)
よく見ると、
Quick MIx Theoryという文字と共に
4BAR = 6CCR
という謎の式が。

GMFはその解説をすることもなくおもむろにターンテーブルを回し始めます。

早速2台のターンテーブルを自在に操り、ブレイクビーツを披露するGMF。
次から次へとオールドスクール調の曲をシームレスにつないでいきます。
そしてパフォーマンスが終わると会場は再び大きな歓声に包まれました。

歓声が止むと、彼は詩を朗読するかのように話し始めました。

インターネットもSNSも無い、1G 2G 3G 4G 5Gも無い時代…。
今のようなテクノロジーがなかった時代。
スタジオがなかったから、自分でシステムを思いついたー。

ー当時、特にドラマーのレコードを集めるのが趣味だった。
バディ・リッチ、アート・ブレイキー、マックス・ローチ、クライド・スタブルフィールド、バーナード・パーディ、リンゴ・スター、そしてスティーブ・ガッド…。

そんな中、どんなシステムを思いついたか。
オリジナルのクイックミックスセオリー。

4Bars Forward , 6 Counter Clockwise Return.
4小節進んだら、反時計回りに6回戻す。

何回巻き戻せばビートをリスタートできるか調べるため、クレヨンでレコードに印を付け、4小節中にその印が何度アームの下をくぐるか数えた。
「・・・過ぎたのは4小節なのに、なんで6回巻き戻す必要があるんだ!?」
これは数学的な問題だ・・・。俺は完全に行き詰まった。

数学的な理由は・・・ターンテーブルが1分間に33回と1/3回転するからだ

4小節進んだら、反時計回りに6回戻す…。

その後は
・使用してきたターンテーブルの中でTechnics SLシリーズがもっとも良かった。
・サンプラーやDAWなど次から次へと世界中に新しい機材が登場し、毎日それらを触り続けた。
・最終的に手元に残ったのは伝説的なAKAIのサンプラーS900。
といった話を挟み、ブレイクビーツの解説へ。

会場前方のスクリーンに彼の手元の映像が映し出されます。
”4小節進んだら、反時計回りに6回”
”2小節進んだら、反時計回りに3回”
そう言いながらAerosmithのWalk this wayのイントロをループさせるGMF。

終了の時間が迫ってきたものの、
”もう1回見たいか?”といって彼はパフォーマンスを再開。

最後のナンバーはパーカッシブなブレイクでお馴染み、The Incredible Bongo BandのApache!

これまでやっていたシンプルなループだけでなく、2枚のレコードを8分音符の拍単位でずらすことで生み出されるトリッキーなビート。
熱烈なスタンディングオベーションに包まれて基調講演は大盛況に終わりました。

講演が終わってしばらく経っても熱気冷めやらぬ会場からは”That’s was great!!!”(最高だった!)
という声があちらこちらから聞こえてきました。

レジェンドの風格
言わずと知れたヒップホップレジェンド、グランドマスターフラッシュの生演奏&テクニック解説を生で聞ける日がくるとは夢にも思っていませんでした。
落ち着いたトーンの叙情的なイントロダクションに始まり、時折ユーモアを交えつつ会場を笑いの渦に巻き込んでいく巧みな話術。
そして最後のシビれるパフォーマンス姿からは、まさにレジェンドの風格がひしひしと伝わってきました。
彼がいなかったら、現代のヒップホップミュージックはほとんど存在しなくなってしまうといっても過言ではないのではないでしょうか。
大変貴重な経験をありがとうございました!

Writer. しまモン

Grandmaster Flash
http://www.grandmasterflash.com//

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記事内に掲載されている価格は 2019年10月18日 時点での価格となります。

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