国内外のあらゆるイベントをいち早くレポート! またブランドや製品誕生の秘話に迫るDEEPなインタビューを掲載!
日本の映画産業を主導し続ける株式会社 松竹。2015年11月22日をもって創業120年を迎え、このタイミングを機に、松竹映像センター( http://www.shochiku-mediaworx.jp )がお台場へと移転。歴史ある大船撮影所から伝承される技術と最新デジタルシステムを融合させ、ポストプロダクションを先導する次世代スタジオとして大きく生まれ変わりました。
今回お邪魔したMAスタジオ「Audio Suite」ではモニターのメイン、サラウンドシステムともADAM製品を導入されたとのこと。そこで取材班は「Audio Suite」にお邪魔し、ポストプロダクション部ミキサーの吉田優貴 様に、ADAM製品導入の経緯についてお話をお伺いしました。
MAスタジオ「Audio Suite」
Rock oN : 先ほど、他のフロアも見学させていただきましたが、出来たばかりということで、開放感があり明るいイメージで素晴らしいですね。ではまず、このスタジオについて概要をお聞かせ頂けますか。
松竹 吉田様(以下、松竹 吉田) : 名称を「Audio Suite」といい今年の1月14、15日にお披露目を行い正式稼動開始したばかりです。映画本編のダビング作業もやることはありますが、基本的には本編以外の映像を担うMAスタジオになります。例えば予告編だったり、劇場で流す特報だったり、あとテレビドラマやCMも手がけます。松竹に限らず、様々なクライアント様の作品も扱い業務は多岐に渡ります。
ADAM S5X-H、S3X-Hを導入したポイント
Rock oN : モニター環境はクライアントへの印象を大きく左右してしまう大事な部分だと思いますが、この「Audio Suite」を作るにあたってメインモニターにADAM S5X-H ペアを、7.1ch サラウンドシステムにS3X-Hを導入されていますね。ADAM製品導入の経緯についてお伺いできますか?
[eStoreClipper1A mdin=’28005′ img=’ZOOM’]2つの12インチHexaConeウーファーを搭載したメインモニター
S5X-Hは2つの12インチHexaConeウーファー、7.5インチHexaConeミッドウーファー、X-ARTミッドレンジ、そしてX-ARTツイーターを搭載しています。
これらの組み合わせによって、S5X-Hは息をのむほどの解像度と圧倒的なダイナミクスパフォーマンスで大型のコントロールルームを満たすことが可能です。
新たなX-ARTツィーターを採用した柔軟度の増したミッドフィールド・モニターの決定版!
以前のS3Aの時とは違い、パラレルに並んだウーファーが同一の仕様となっているため、L/C/Rの設置に制限を持たないようになっているのも美点です。
デザインも一新されたモダンな外観は、実際以上にコンパクトな印象を与え、忠実度の高いウーファーとのクロスオーバー・ポイントもあくまで自然な印象を与えます。
[/eStoreClipper1A]
吉田 : まずADAM導入の理由の1つとして、お台場に移る前の高輪のスタジオ時代からずっとメインにS5X-Hを使っていたということがあります。私はADAMのサウンドを信頼して10年以上使ってまして、個人的に好きなブランドです。
劇場用のMIXではSMPTE(Society of Motion Pictures and Television)が映画音響向けに策定するリファレンスが0VU=85dB SPL になっていて、スタジオではかなり大きな音量で作業することになります。高輪のスタジオでは5.1ch用に別のブランドのスペーカーでシステムを組んでいましたが、85dB SPLという大音量に耐えれず、割と頻繁にレベルピークのランプが点いてしまい、その瞬間音が出なくなるという問題を抱えていたんです。
Rock oN : フラットなバランスでの高い音圧が要求される環境が求められるということですね。
吉田 : MA自体の作業ではそこまではないのですが、劇場の予告編で、例えば戦争物などになるとかなり大きな音量が要求されます。
注釈:0VU=85dB SPLといことは0VU=-20dBFSリファレンスでの作業を行う場合には、単純計算でピークは0dBFS=105dB SPLとなる。この音圧をクリップせずに、視聴位置でキープする必要があるということになる。TV向けの作品では0VU=72dB SPLという基準が多く使用される。
独自のX-ARTもたらす優れた高域特性
Rock oN : では、その問題を解決したいという考えがあったんですね?
吉田 : そうです。ADAMは長年使っていましたから大きい音量でも破綻せず、さらに高域が歪むことなく綺麗に出るということを体験の上から予想してましたが、本当にその通りでした。以前使用していた他のブランドのスピーカーでは85dBで出力した時に高域にコンプがかかり潰れた感じがして、「あれ、おかしいな」と思うことがあったんです。ボリュームを絞った時と85dBで出力した時のレンジ感が違うんですよね。
吉田 : はい。同軸構造の製品も個人的に気になっていたので他ブランドの製品もいくつかデモをしてもらいましたが、大音量時でも十分すぎるパワーを持ち全く破綻せず、ADAMのリボンツイーター構造がもたらす高域には先程言った高域のコンプ感が全くなく素晴らしかったです。
Rock oN : 低域に関してはどうですか?
吉田 : 導入時に、特に狙ってた訳じゃないんですが、結果的に良かったということがあって、S5X-Hには12インチHexaConeウーファーが左右対称に2発付いていますが、ベースマネージメントをOFFにしたほうが量感がしっかり出て、低域のずれもなくいいと感じました。「超低音域を処理できず、サブウーハーに全部送らないとだめだ」みたいな状態になることもなく、素晴らしいですね。同様にサラウンド用のS3X-Hもベースマネージメントオフの方が定位感、低域の量感共にいいんです。サラウンドはベースマネージメントを品蹴らべいけないというステレオタイプな考え方もあったんですが、しっかりと低域まで再現できるフルレンジであればそのほうがいいということを改めて実感しました。これもADAMを選択したからこそ得られたメリットですね。
Rock oN :新しいADAMの環境になって、作業効率や方法に変化はありましたか?
松竹 : サラウンドに関して、よりパンニングが見えるようになったので、シビアに作業する必要が出てきました(笑)。ちょっと回すだけにしても、このモニター環境だと細かいところまで見えてしまうのでよりシビアに追い込む必要があります。そう意味だと作業効率が上がったのかと聞かれるとなんとも言えない部分がありますが(笑) 。もちろん、結果としてクオリティが上がるので大歓迎です。今日この取材の前にドラマの作業を行ったのですが、クライアントのプロデューサーさんに、「出音がすごくいいね!」と言ってもらって、大変満足しています。
ADAM ニアフィールドモニター ラインナップ
[eStoreClipper1A mdin=’10265′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’10560′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’13513′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’13514′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’13512′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’13511′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’24893′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A] [eStoreClipper1A mdin=’24892′ img=’ZOOM’]GET[/eStoreClipper1A]記事内に掲載されている価格は 2015年5月11日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ