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前回のIBC 2017レポートではオーディオ関連の新製品をピックアップしてお届けしましたが、2回目ではそれ以外の製品のReportをお届けしたいと思います。
IBCの広い会場には放送関連として衛星からインターネット配信のファシリティーなど、非常に幅広い分野の展示が行われています。その中から注目を集めていた展示をご案内します。
● IP SHOWCASE
昨年からIBC / NABといった放送系の展示会では各社相互の接続が見られていて、IBC 2017でも同様にレクチャーや講演がひっきりなしに行われていました。その横では各社の持ち寄った機器が接続され、動態展示が行われるなどかなり具体的な内容で紹介されていました。しかも今回からは試用を想定したケースごとにコーナーが分かれていたりと、かなり踏み込んだ展示となっていました。
キーワードとしては「SMPTE ST 2110」が大きく書かれていたのが印象的でした。まだ正式策定前ではありますが、新しいIP伝送のスタンダードに則った機器の開発が進んでいることが強く印象づけられています。
各メーカーブースにてIP SHOWCASEに出していた機材について「何かしらカスタマイズは行っているのでしょうか?」と質問をしたところ、「必要であれば行っている」という返答でした。変更は必要なことなのでそれがハードウェアレベルなのかそれともソフトウェアレベルで対応できるのか、各社の規格がスタートした後の対応に注目が集まることでしょう。
各メーカーのブースでは、規格自体が策定前ということもありST2110の文字を見ることはなかったのですが、話をしてみるとST2110に対してどのタイミングでテストを行うなど、具体的なスケジュールを聞くことが出来ました。もちろん決まっていない規格の情報を出すことは出来ないとは思いますが、各社とも準備はかなり進んでいる感覚を受けました。
IPでの伝送に関しては、AoIP(Dante,Ravenna,AVB等)でAudioが先行していた感がありましたが、Videoが一気にその差を詰めAudioを内包した規格としてスタートを切ることになりそうです。まずはBroadCastingの分野からとなりますが、PostProduction等の制作分野にもこの流れが一気に押し寄せることになるのではないでしょうか。
● Future Zone
展示会場の一角にFuture Zoneという場所がありました。ここではメーカー各社がこれからの技術として最新の製品や技術の展示を行っていて、日本からはNHKが8K + 22.2chサラウンドの展示をしていました。そこは未来のリビングルームということでNABでも展示がありましたが、8Kモニターと22.2chサラウンドが組み込まれた部屋を仮設していました。
他の展示はVR関連一色といった様子!特にフィジカルにフィードバックのあるVRの技術開発が積極的に行われていたのが印象的でした。例えば歯科手術のVRでは施術者練習用の視点で器具を使用するというもので、器具自体にモーターが取り付けてあり患部にタッチした感覚などがしっかりとフィードバックされ、リアルな体験が行えるというものでした。
またちょっと変わり種としてはVR空間の中を動き回ることのできるソフトウェアで、VR体験を共有するために作ったIglooというドーム型のVR投影装置がありました。これは簡単に仮設が可能ということですが、このような需要も今後進むのでしょうか?パーソナルな高臨場感を持った体験を追求していたNABの展示とは、少しニュアンスが異なるように感じました。やはりVRに対しての地域差、需要などがでてきているのではないかと感じます。
G’AUDIO
またNABで出会ったG’AUDIOも出店していました。NABの後では、更に多くのプラットフォームに対応し、使い勝手が劇的に向上していると紹介していました。
高い再現性を保つために専用の再生エンジンを必要とするG’AUDIOのソリューション。使い勝手が上がることで、更に注目を集めるのではないでしょうか?
NOKIA
Future Zoneの展示ではありませんが、VR関連ということで続きでご紹介したいのがNOKIA OZOです。ご存じかもしれませんがNOKIAはフィンランドに本社を構える企業で、ヨーロッパがお膝元ということもあり、かなり積極的な展開を見せていました。NABと違いVR関連のセッションを行っている訳ではありませんでしたが、OZOを使ったLIVE配信のソリューションが完成し、その紹介に力が入っていました。
専用のソフトウェアが用意されリアルタイムの映像配信、OZOに搭載されているAmbisonic音声、それ以外の外部マイクの音声、これらをミキシングして出力することの出来るミキサーが完成し、LapTopクラスのCPUでも4K配信が行えるとアピールしていました。デスクトップクラスであれば4K-3Dでの配信が行えるようです。
● Video関連
AVID
DNxIV
AVIDからはVideo関連の新製品がいくつか発表となっています。その中でもAJAのOEM製品のなるDNxIVは注目の的でした。AJAのIO 4K plusのOEMとなるこの製品、Thunderbolt 3接続で、Dual – 3G-SDIとHDMIの入出力を備えています。DNxIQ程の規模のInterfaceは必要ないという方にとっては朗報ではないでしょうか?AVID純正ということで、今後Video Satellite環境下でのテストも行われるということです。
NEXIS | E2 SSD
サーバークラスのシェアストレージNEXISシリーズに待望のSSDモデルが追加となりました。12 DriveのSSDを搭載し4Kのフローに対応する製品になるということです。先日のバージョンアップにより帯域も広がり、使い勝手の向上が著しいNEXISシリーズ、帯域に対しての保証を行う独自のシステムは、シビアな現場でのコマ落ちなどのストレスから開放されます。
FastServe | Injest
これまでのAirSpeedを保管する形で登場したのが、こちらのFastServe | Injestです。4系統の入力を持ち同時に使用することで4kに対応するという、今後の4K需要を見越した新製品の登場です。
ATOMOS
ConnectConvertorシリーズ
収録用のVideo Recorderが高い人気を誇るATOMOSから突然コンバーターが登場。しかも写真を見ていただければ分かるように、恐ろしいほどのラインナップが一挙に登場。今の需要を捉えた的確なラインナップ充実の陣容です!
AJA
IO 4K Plus
IBCに合わせて数多くの新製品を用意したのがAJAです。その中でも注目はThunderbolt接続のIO 4K plus。Thunderbolt 2接続からThunderbolt 3接続へとブラッシュアップが図られた製品で、同時にAVIDからDNxIVとして登場ということで会場でも話題の一つです。
HDR-10、4Kといったキーワードを網羅した製品としてTB2時代からの開発資産もあり、完成度の高い製品となっていることが予想されます。
GB Labs
FastLTO
NABで発表となったFastLTOが遂にリリース開始しました。SPACEで培ったOSの技術を惜しみなく投入しLTO向けにチューニング、簡便に使用できるLTOとして人気に火の付きそうな製品です。LTOのソリューションとして人気の高かったCHCHE-Aのソリューションとの互換性を持っているというのも、更新を検討中の方には朗報ではないでしょうか?
● Camera関連
SONY
UHC-9300
NHKが進める8Kソリューション、それに対してSONYが製品として8Kのカメラをリリースしてきました。1.25inchの新開発8Kセンサーを備えた3板式のカメラで、120p – HDR対応とまさに弩級スペックです。お値段も参考システム価格4800万円とこちらも弩級!カメラ単体で、4K – HDのダウンコンバート出力を持ち様々なシーンで活用可能なスペックとなっているということ。まだまだ簡単に手の届く製品ではありませんが、今後どのように展開がなされるのか?いつになったら身近なところまでこのスペックが落ちてくるのか?今後の動向を見守りたい製品です。
VENICE
SONYのCineAltaカメラの最上位機種として登場したのが、こちらのVENICEです。フィルムライクな使い勝手にこだわったSuper 35mm 6Kカメラで、標準でPLマウントが付き、PLマウント部を外すとE-マウントが現れるという純正アダプター付きとなっています。従来の映像表現を可能とするPL-マウントと新しいレンズが揃うE-マウント。コンパクトな本体と合わせて使い勝手、取り回しも良さそうな製品となっています。
Panasonic
EVA1
NABで謎の新製品として展示が行われていたのがこちらのEVA1です。6月に先行して情報は公開されていましたが、実機にはIBCで初対面となりました。こちらのスペックはSuper 35mm-5.7Kセンサーを持ち、4k-HDRでの記録が可能なカメラとなっています。マウントはEFマウントを採用し、VariCamとGH5お間を埋める製品として$8000程度の価格が発表されています。本格的なシネマカメラと考えるとかなり低価格なので、インディペンデント系の制作などに活用されるのではないでしょうか。
● その他
Adder
AdderLink XDIP
小さなスタジオでもPCの台数は増加の方向にありますが、そのような中でもDisplay、Keyboardは増やしたくないというのが現場の要望です。それを実現するためには、KVMのマトリクスシステムが最低限必要なのですが、導入コストが高いという問題点がありました。AdderはDDXシリーズなど、その中でも低コストな製品群をリリースしてましたが、更にエントリーレベルの製品となるXDIPシリーズをリリースしました。この製品はKVMマトリクスで一般的に必要となる専用のマトリクススイッチを持たず、汎用のEthernet Switchを利用します。Rx/Txが汎用のIPとしてKVMの情報を送り出すことで、コンパクトなKVMマトリクスを実現するという算段です。最大接続台数は8台、Displayの解像度は1920☓1080-60Hz、同時にUSBとAudioが送ることができる仕様となっています。
記事内に掲載されている価格は 2017年9月25日 時点での価格となります。
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