日本ではJBL、AKG、dBx、Lexicon、AMCRON、Soundcraftなど、息の長いオーディオメーカーでお馴染みのHARMAN。中でもコンソールと言えばSTUDERでしょう。伝統であり伝説的なコンソールメーカーもいまではデジタル化が進み、ディスプレイに映し出されている「DIOS」が今回は前面にフィーチャーされています。が、まずは参考展示してあったAKGのMICROLITEシリーズを。
AKG MICROLITEは、イメージである羽から連想される”軽さ”が特徴。肌の色に合わせたカラーリングは全16種類。見ている人にも、付けている演者にもマイクを付けていることを意識させない、ということに徹底的にこだわり、製造されています。すでに販売自体は国内でも2月末より開始されています。端子部分が簡単に着脱可能で、左側に見えているオプションの端子を使用すればAKGだけでなく、Audio-tecnica、Sennheiser、Shureのワイヤレスシステムとも組み合わせて使用できますので、既存のワイヤレスシステムに組み込むことも簡単です。
では、本題のSTUDERに話を戻しましょう。
STUDERからはミキシングコンソールの展示が。まずはSTUDER micro core。3Uサイズのラックに収まっている Audio I/Oには4つのMic Input、8つのLine Input、12のLine Outputの他、2つのHeadPhone Outのアナログ部と、2つのAES/EBU Pairs I/Oと8つのDANTE I/Oが搭載されています。その他にもLAN、12のGPIO、Wordclockもあり、microの名前ながらも十分な性能を持ってます。
こちらがフィジカルのコントローラー。内部のコントロールはHDMIで画面にも出せ、EQやCompの処理や各チャンネルの状態を見ることができます。ただ、やはりこういったコントローラーの存在はレスポンスを大きく向上させますので、現場では必須でしょう。また、今回のNAB2017で挙げたコンソールミキサーに、必ずと言ってもいいほど導入されているiOS用のアプリケーションでのコントロールも勿論可能。
LCDパネルの多いブロードキャスト用のVISTA V。CPUベースのプロセッシングパワーで、信号を処理。BSS DPR-901のEQ、Lexicon PCM96のサラウンドリバーブ、などHARMANだからこそのPlug-Inも内蔵されています。ノブ群の下はタッチパネルとなっており、エフェクトもフレキシブルに反応できるように配慮がなされています。肝心の接続はAoIPではDante,Livewire,AES67などをサポート。
写真にはおさめられませんでしたが、今回のNAB2017に先駆けてSTUDERから発表されたのが「DIOS」です。Distributed I/O Systemの略で、本国のサイトでも映像とKey Featuresが掲載されています。こちらはI/Oのroutingを制御するソフトウェアでネットワークオーディオ内のデータのやり取りを合理化します。様々なフォーマットのファイルを統合して制御でき、またパススルーに問題があった場合には自動的にデータの転送経路を割り出すことが可能です。対応するAoIPはDante/AES67/Ravenna/SMPTE2022 6/7 / SMPTE2110。これをSTUDERのプロダクトやサードパーティー、EMBER+などと橋渡しをするのが主な特徴となっています。サイトにはアニメーションの映像が挙がっているのみですので、実際のコントロールがどうなっているか、続報に期待です。
こちらはVistaシリーズのVista 1 Black Edition。STUDERのミキシングコンソールはシルバーを基調にしたものが多い中、要望を受けてブラックバージョンを発売。先ほどのVISTA VのフラッグシップInfinityシリーズとは異なり、micro coreのミキシングコンソール版といった様相ですが、DSP96ch対応と、22本のフェーダーが中規模の現場にはうってつけのサイズだと思います。
VISTA X。正面の画面にはルーティングが表示され、来場者は音質を確かめていました。
Glacierシリーズです。ミキシングコンソールですが、TCP/IPやPoEで駆動するコントロールサーフェイスになります。Dante AoIPを受けることができます。表示されている画面はカスタマイズが可能で、ミキサー自体にも表示がされています。
驚くことに、ノブはたったの2個。潔いですね。マスターセクションがタッチパネルとなっていますので、コントロール系統は全てそちらで操作ができますし、前述のとおりカスタマイズが可能なので、自身でよりよい環境を作れるのは面白いですね。
一方でボタンは多く、フェーダーもしっかりとしたもの。ブロックごとに分けることもでき、拡張も縮小も思いのままです。
「DIOS」というI/Oソフトウェアを発表したSTUDER。今後はハードウェアとしての精度の高さだけではなく、テクノロジーを進化させ、システムの統合によりよい効果を生んでいくことでしょう。
Writer : Yosuke
記事内に掲載されている価格は 2017年4月27日 時点での価格となります。
最新記事ピックアップ