C-100の特徴
すでに読者の皆さんも情報を収集していると思いますので概略だけ紹介します。
テストレコーディングの概要
筆者は、興味あるマイクロフォン製品が出ると三鷹駅前にあるJAZZ CLUB UNAMAS でピアノを録音してそのサウンドをチェックしています。ここには筆者がPyramix DAWとマイクロフォン・プリアンプを常設してあり192-24でレコーディングし、録音HDをHOME STUDIO Pyramix DAWでMIXすることができます。(MIXモニターレベルは、54db/CH C-Weightレベル)いろいろな楽器でテストするよりもピアノという楽器がピアノの音として録音できるかどうかをテストしOKであればどんな楽器にも通用する品質であると言えるからです。
今回は3月10日に行われた沢口耕太トリオのピアノに使用してみました。演奏は、2ステージありますのでマイク・ポジションなども少し調整することにし、まずはここのピアノでいつも設置しているポジションからスタートです。マイクロフォンの性能に着目するポイントは、世界共通ですので筆者もそれに則って、かつLIVE録音では、その他の楽器からのかぶり(Bleeding)の質もチェックすることができます。11日−12日でMIXしたサウンドやピアノソロパートのサウンドなどを聞き、参考にスペクトル・アナライザーでも特性を取ってみました。
MIX後のファースト・インプレション
2ステージ目でマイキングを少し近接設置にしてみました。
参考にスペクトラム分布測定データを紹介します。
Apfソロパートのc-100特性
50KHZまでの広帯域の特徴から、20KHZ~40KHZの倍音成分が良く記録されていますので、これがピアノのナチュラルさや豊かさを出していると思います。
Apf ソロパートA社の特性
昨年リリースされた新製品でFETタイプのペンシルタイプです。倍音成分の帯域はないので芯のあるガッツあるサウンドでPOPS向きだと思います。
トリオ全体のMIX特性
楽音の典型的なハイレゾ周波数分布(Golden Triangleと呼ぶそうです)
で20KHzから60KHzにかけて減衰しながら分布しています。また可聴帯域は、大変フラットな分布です。
これまでに比較テストしてきた他機種との比較印象
CU-41とはとても似た音質です、両者ともマイク感度は、-40db付近と一般的なスタジオユースなのでLive録音では、必然的に他の楽器からのかぶりが多くなりますのでスタジオのような良い条件でかぶりが避けられる場合に好結果を出すと思います。その点で言えば愛用しているco-100kは感度が-26dbとLine レベルに近い感度がある分かぶりに強いと言えます。
またC-100よりさらに広帯域で特性も上肩上がりなのでインパルス音の再現には有利といえます。同様な機種ではEarth Worksが広帯域マイクロフォンをリリースしていますが、こちらはカプセルユニットが小口径な分だけS/N比ではやや不利と言えます。
終わりに
2 wayカプセルという設計そのものは、NHK技術研究所で永年マイクロフォン研究を行った溝口章夫氏の設計がCU-41マイクロフォンとして世に出され、音楽スタジオで愛用されていますが、似た考えを、質と適正価格で実現したと言えるのが本製品ではないかと思います。
筆者は、最近のSONY製品の設計ポリシーに好感を持っている一人です。特に昨年来のA-V民生機器やDAP H.Pなどは奇をてらわず基本重視と適正価格設定という思想が質を重視したユーザーに支持されていますが、これがプロ用音響機器にも拡充された結果が本製品ではないかと期待しています。
音響変換器であるマイクロフォンやカートリッジ、スピーカはプログラム言語で作り上げるソフトウエアー製品と異なり、ある意味クラフトマンシップを必要としますので経営陣がそうしたことを大事にするかどうかで製品の質が左右される分野です。1958年国産第1号として世に出たC-37AはMade in Japanマイクとして現在もビンテージマイク群の中でも支持されている歴史を継承する意味でも大分県国東にあるSONY・太陽(株)とそこに働くクラフトマンシップが今後とも成長していくことを期待します。
記事内に掲載されている価格は 2018年3月30日 時点での価格となります。
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