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Amazon Music Studio Tokyoにて360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)の普及と認知度向上を目的として、YouTubeで活躍されている人気デジタルネイティブアーティスト4組を招いた「360 Reality Audio x TuneCore Japanアーティストプロジェクト」が開催されました。
ソニーが提供する立体音響体験「360 Reality Audio」は、アーティストやクリエイターの創造性や音楽性に従って、ボーカル、コーラス、楽器などの音源をオブジェクトとして全天球(360°)に自在に配置することが可能。リスナーにその立体的な没入感のある音楽体験を提供します。
今回のイベントは、各アーティストが制作した360 Reality Audio作品について、アーティスト自身によるトークセッションと、13台のスピーカーとヘッドホンで来場したファンの方々に体験していただくという内容でした。また、360 Reality Audio作品はAmazon Music Unlimitedで配信され、360 Reality Audio MVはYouTubeで配信されました。
会場で360 Reality Audioを体験
イベントスペース会場には360 Reality Audioを視聴体験するスピーカーシステムとして、定評ある同軸3ウェイ・モニターGENELEC 8341Aが13本設置されていました。
サブウーファーにはGENELEC 7360APMを2本設置。300WクラスDアンプ内蔵で、ピークSPL 109 dBを誇るマルチチャンネル・オーディオに対応したサブウーファーです。
トークセッションにはアーティストが出演
トークセッション会場では各アーティストのYouTubeチャンネルなどで本イベント参加者を募集、抽選で選ばれたリスナーが集まりました。
この日はゲストであるかめりあ氏がMCとのトークセッションに登壇。
かめりあ氏は音楽ゲームプレイヤーからの人気は日本でもトップクラスで、これまでに3枚のメジャーリリースアルバムを制作。クラブミュージックを中心にロックやジャズ、民族音楽まで広い音楽ジャンルを制作、インスト・歌ものを問わず、クラブミュージック、VOCALOID楽曲、東方アレンジ、リミックス、ゲームBGM等を非常に広範に手がけるアーティストです。
MC:360 Reality Audioで楽曲制作してみた感想は?
かめりあ氏 : 球体の空間であるからこそもっと広く表現ができる。3次元的な表現ができたのが面白かったですね。
MC:ここが普段の制作と違って苦労した点はありますか?
かめりあ氏 : 普段扱っている左右2chの二次元的なステレオの表現と違って、音が前を通過してくとか、後ろを通過していくとか、あるいは上や下を通過していく。それを踏まえて制作しながら360 Reality Audioで再生した時に、実際に意図した聴こえ方になっているかとか、これまでの表現方法との違いを考えながら作るのが難しかったですね。
MC:MVについてはどういったイメージがありましたか?
かめりあ氏 : MVを制作するというのは企画当初から決まっていたので、そのためには「眼に見えて動くもの」があった方が分かりやすくなるだろうと思っていました。当初は、飛行機や新幹線などの移動するものをイメージしていたんですが、カモメが横切っていく様子であれば左右だけではなく前後や上下の移動も意識しながら演出することができ、視点が動いているのを表現できると感じたのが、具体的なイメージです。
ここでかめりあ氏が「お見せしたいものがありまして・・」とタブレットを取り出し、制作秘話を披露。
かめりあ氏 : 何が面白かったかっていうと、こんな風に3次元上に音のビジュアルを配置して、配置を目で見ながら作業していました。上から下に音が流れていくとか回転しながら上昇する動きをビジュアライザーで視覚的に音を把握しながら作るのはすごく面白かったです。これもいずれ動画で出してみたいですね。
会場の参加者との質疑応答の時間があり、「制作で悩んだことはありますか?」という質問に対して、
かめりあ氏 : 自分の曲は音数が多いので、チャンネルをまとめなきゃいけないのが悩みどころでしたね。結構大幅に上限を超えてしまったので、最終的にトラックを360 Reality Audioの仕様に合わせてまとめる作業が大変でした。
MC:最後に今回の楽曲の聞きどころは?
かめりあ氏 : 来場された方は360 Reality Audioでの最高の環境で聴くことができるということで、見ていて満足感のあるものになっているかと思います。カモメの鳴く声が動く方向や、ある場面では上に向かって飛んでいく表現、ほかにもバイオリンやチェロが横一列に並んで聴こえるなど、そういう場の表現にこだわって作りましたので、意識しながら楽しんで聴いて頂ければ嬉しいです。
そこからイベントスペース会場へと移動し、実際にMVを視聴しながら、本プロジェクトのために制作された楽曲「Seagull」を360 Reality Audioを13台のスピーカーで視聴体験。
トークセッション時にかめりあ氏の解説であったとおり、臨場感あふれる多彩な音が縦横無尽に駆け巡り、次々と切り替わる映像表現との相乗効果が印象的で、360 Reality Audioの特性をうまく活かした作品だったと感じました。ヘッドホンやイヤホンで視聴するのとはまた違った13本のスピーカー+2本のサブウーファーによる視聴体験は、多くの来場者に新鮮な驚きと感動を与えていました。
スマホアプリでも360 Reality Audioを体験
会場にはスピーカーだけでなく、スマホアプリとヘッドホンによる360 Reality Audio試聴ブースも設置されていました。
2日間開催されたこのイベント、ヘッドホンやイヤホンによるリスニングが主流になりつつある昨今、360 Reality Audioをスピーカーシステムで視聴してもらおうという試みは画期的で、新しい技術の持つ魅力と可能性を伝えたいというアーティストのクリエイティブに対する貪欲な姿勢と熱意も強く感じられました。
会場には比較的若い方の姿も多く、多くの参加者が初めて体験することとなった360 Reality Audioに、スタッフに熱心に質問をしたりと興味津々の様子だったのも印象的でした。
今後こうした取り組みを通じて360 Reality Audioを駆使した音楽がさらに普及し、多彩なアーティストが多くのリスナーへ感動を届けることに期待したいです。
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★360VMEについての関連リンク
https://www.sony.co.jp/Products/create360RA/360VME/
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