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06
Jul.2021
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大須賀淳の!ATEM Miniシリーズ音声機能を徹底解剖!第2回:イコライザーとダイナミクスを活用しよう!

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過去の記事はこちら
第1回:ATEM Miniで使えるマイクと、便利な接続方法

全チャンネルで高度な音質・音量調整が可能!

前回は、ATEM Miniシリーズのミキサーが持つ入力を最大限に活かす方法をご紹介しました。これだけの小型ボディで多チャンネルのミックスができることも驚きですが、さらに素晴らしいことに、これらの入力全てに音質調整用の「イコライザー(EQ)」と、音量を制御できる「ダイナミクス」系のプロセッサが用意されています。

ATEM Software Control上で、ミキサーの赤枠部分をクリックすると、それぞれの詳細設定が開きます。


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イコライザーは、合計で6つの周波数帯をコントロールできる6バンド仕様。


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ダイナミクスは、「エクスパンダー/ゲート」「コンプレッサー」「リミッター」が装備されています。


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ソフト上で画面を分けて表示されているのでコンパクトに見えますが、ハードウェアのミキサーに展開したら、スタジオにある大型コンソールなみ(またはそれ以上)の機能を持っています。これらの画面を見て既視感を感じている方もおられるのではないでしょうか?実は、ATEM MiniのプロセッサーはBlackmagic Designの編集ソフト「DaVinci Resolve」内のサウンドエディット機能である「Fairlight」と(若干デザインが異なるだけで)同内容となっています。Fairlightは元々独立したMAシステムだったので、まさにハイエンドな業務用システム直系の機能が搭載されていると言えます。


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なお、サウンドの調整時ですが、ATEM Miniシリーズは、Extremeを除いて本体にオーディオ専用の出力を装備していません。そのため、プレビュー用の音声は映像と一緒にHDMI OUTから出力することになります。
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セッティング的に一番簡単なのは、モニタのヘッドホン出力などで聴く方法です。一般的なPC用モニタ等でも一応は可能ですが、例えばBlackmagic Video Assistなど収録用のモニタは、細部まで確認しやすい高品質なオーディオ出力を備えているので、映像と一括でコンパクトなセッティングで済む面も含めておすすめです。

イコライザーの詳細

先述のように6つ装備されているイコライザーのバンドは「1&6」と「2〜5」で若干仕様が異なります。

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「1&6」は4種類のモードを選択でき、メニュー中最上部の「ローパス」と最下部の「ハイパス」、2、3番目の「ローシェルビング」「ハイシェルビング」にグループ分けできます。


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「ローパス」(画像のバンド6)は設定した周波数以上、「ハイパス」(画像のバンド1)は設定した周波数以上の帯域を大幅にカットできます。メインの声などに影響が少ない、余分な低域成分や高周波ノイズなどを一括してカットするのに使用できます。


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「ローシェルビング」「ハイシェルビング」は、それぞれ低域・高域を、なだらかに減衰、または増幅することができます。ソースが持つ低音が強すぎる、高音がこもり気味などの音傾向を、大枠で修正することが可能です。

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その他のバンドは、シェルビングに加え、メニュー2番目の「パラメトリック」、3番目の「ノッチ」の2種類も使用できます。


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「パラメトリック」は、L、ML、MH、Hと大まかな周波数帯を選んだ上で、さらに特定の周波数をピンポイントで減衰もしくは増幅することができます。「Qファクター」は、エディットした部分の鋭さ(周辺の帯域が一緒に動く度合い)を調整できます。


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「ノッチ」は、指定した帯域をピンポイントで大幅にカットできます。たとえばハムノイズなど、一定の周波数で入る雑音を取り除く用途などに使えます。


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こちらは人の声に対して行った設定の例。声のソースは重低音が邪魔になる場合が多いので、ハイパスで100Hz以下程度をカットし、逆にハイシェルビングで高域を少しだけ持ち上げて明瞭さをアップ。声の特徴により耳につく帯域をピンポイントで若干下げています。

こうした形式のイコライザーは、多くのDAWなどにも装備されているので、宅録やミックスで得たノウハウをそのままライブ配信にも活かすことができます!

ゲートとエキスパンダーの概要

チャンネル全体の音量はフェーダーで調整し、配信中に大きな変化があった場合にはフェーダー自体でのバランス調整も必要になりますが、細かい部分のレベル変動はダイナミクス内の機能で、設定に応じて半ば自動的に調整することができます。

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「ゲート」は、入力される音量が「しきい値」を下回ると、文字通り門を閉めるようにカットできる機能で(「レンジ」が最高の60だと、閉じた状態で完全に無音になる)、会話の合間などの静かな部分で気になる空調のノイズなどをカットできます。「アタック」(動作を始める速さ)や「リリース」(開放時の余韻)の調整で、不自然で極端な動作にならないよう微調整します。

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ゲートは設定を下回る音を完全にカットできる一方、あまり静寂性を確保できない場所では自然に動作させるのが難しくなります。そこで役に立つのが、ゲートと択一で使用できる「エクスパンダー」。しきい値で動作する点はゲートと同じですが、こちらはバッサリとカットするのではなく、「レシオ」で設定したカーブに応じて、入力音量がさがるほどさらに大きく音量を絞るように動作します。うっすらと周囲の音が残るものの、自然な効果が得やすくなっています。

これらは、ノイズ除去ツールを使うと多少は生じてしまう音質変化が起こらないので、周囲の音を完全にカットすることにこだわりすぎずに設定することで、クリアかつ自然で聴きやすいサウンドを作ることが可能です。

リミッターとコンプレッサーの使い分け

「リミッター」と「コンプレッサー」は、どちらも音量が上がりすぎないように抑える機能ですが、特徴および向いている部分が若干ことなります。

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「リミッター」は、音量が「しきい値」を上回らないように抑える効果で、「ホールド」を大きくするほどしきい値付近で強固に抑えるようになります。どれぐらい音量が下がったかは「ゲインリダクション」のメーターで確認でき、どれぐらい効いているかの目安にもできます。
リミッターは、マスターチャンネルに挿入して全体のレベルオーバーを防ぐような用途でよく使われます。

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一方の「コンプレッサー」は、「レシオ」で動作の強さを調整でき、グラフ上で右上付近が水平に近くなるほどリミッターに近くなります。声や楽器などの音量を適度に整えて聴きやすくする用途によく使われ、抑制した分だけ全体の音量が下がった場合は「メイクアップ」で音量を底上げすることができます。
特にコンプレッサーは、最初のうち扱いが難しく感じがちですが、こちらもパラメーターの構成などは各種のDAWやプラグインなどと大枠で共通しているので、それらのプリセットなどを参考に設定してみるのも良いでしょう。


よく使われるアナログの小型ミキサーは操作がわかりやすい一方、設定できる項目はATEM Mini内蔵の1/10程度と言っても過言ではないほどささやかなものが大半です。機能が多いだけ最初のハードルは高いものの、文字通りの放送クオリティに迫れる実力を持っているので、ぜひ積極的に利用してみてください。

次回は、ATEM Miniとパソコン等との連携で、さらに高度なオーディオ処理を行う方法をご紹介します。


unnamed大須賀淳 プロフィール

映像作家・音楽家

1975年生まれ、福島県出身
企業ビデオ等様々な映像・音楽コンテンツを制作すると同時に、書籍や雑誌での執筆、大学やeラーニング等での講師、製品デモなども数多く務める。
2014年、日本初のシンセサイザードキュメント映画「ナニワのシンセ界」を監督。近著は「ネット時代の動画活用講座」(玄光社)ほか。

Twitter:
https://twitter.com/jun_oosuga

YouTube:
https://www.youtube.com/c/studionekoyanagi

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記事内に掲載されている価格は 2021年7月6日 時点での価格となります。

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