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変わり種?だけどユーティリティで美味しい音のマイク!
みなさんこんにちは!Rock oN Company渋谷店の店頭スタッフ、クーパー天野です!
今回は先日Chandler Limitedより新しく発売されましたコンデンサーマイクロフォン、TG MICROPHONEをご紹介させて頂きます!コンデンサーマイクなのに専用PSUがあったり、耳慣れないスイッチがあったりしますが、実際に触わってみると本体だけで出来る音作りが幅広い & 痒いところに手が届く良いマイクでした!
そもそもChandler Limitedってマイクのメーカーなの?と思った方もいらっしゃると思いますので、どんなメーカーなのか?まずはご紹介致します。
アビィロード・スタジオも認めた黄金のアナログサウンド!
Chandler LimitedはL.A.のBrent Averillsで働いていたWade Goekeという一人の天才的な若い技術者がスタートさせました。EMIのAbbeyroadの機材を復刻させたTGリプロダクション系シリーズが多く認知されていますが、TGシリーズ以外にもNeveリプロダクトのLTDシリーズ、唯一無二の操作感で好評を得ているGermaniumシリーズ、APIのVPR500規格のモジュールなども出ています。マイクも実はREDD Microphoneという本体にマイクプリアンプを内蔵した真空管マイクがリリースされています。果てはギターアンプやオーバードライブなどペダル系まで存在する、意外と手広いメーカーなのです!
(ギターアンプのGAV19TはプラグインとしてUAD-2やNative用としてbrainworxからリリースされています。余談ですがGAV19TのトーンセクションはBaxandallスタイルで、これが触っていて気持ちいい!つまみ位置を決めやすいというか、破綻しにくいというか、、、)
リリースされる機材、そのシリーズ全てにファンがいる稀有なメーカーでありますが、Chandler Limitedの機材に共通した特徴といえば私的には2点挙げたい所です。
1.押し出しの強いザ・アナログサウンド
2.とにかく!!!音がカッコいい!!!
あとは、、、一見すると使い方の分からない、独特な役割の「魔法のツマミ」がある機材が多い!と言う事、でしょうか。
TG Microphoneについて
さて話をTG Microphoneに戻しましょう。外見から見ていくと本体はU47スタイルのオーソドックスな形状で、付属のショックマウントも含めて特にマイキングの際に戸惑うことも無い扱いやすい作りです。
カラーリングは藍色でChandler Limitedのロゴマークとお馴染みAbbeyRoadStudiosのロゴマークがプリントされています。ちなみ電源を入れるとグリルの中のLEDが赤く点灯します。
そして4つのピンスイッチと1つのロータリースイッチ、専用PSUと接続するための4芯コネクタを備えています。
ピンスイッチはそれぞれ下記になります。
・10dB Pad
・無指向⇆単一指向の切り替え
・2段階切り替えのLOW CUT
・SYSTEM A,Bの切り替えスイッチ
5段階のロータリースイッチにはTGのロゴマークとともに[TAPE EQUALIZER]と書かれています。この[TAPE EQUALIZER]が目玉機能で何をするものかと言いますと、ビンテージのEMIコンソールに搭載されていたテーププレイバック規格間の補正用途で開発されたテープイコライザーです。つまり録音とプレイバックの音質差を無くすための補正用のイコライザー回路を、ここでは積極的な音作りの道具として採用したということですね!(元ネタとなっている機器は全く違いますが、OVERLOUDからよく似ている発想かと思われるDopamineというプラグインもリリースされているあたり、実用性はかなり高い裏技的なテクニックかと思われます)それにしてもテーププレイバック規格間の補正用途、、、Equalizerの語源が垣間見えますね。
次に気になるのがSYSTEM A,Bの切り替えスイッチですが、こちらを簡単に表すとビンテージ/モダン切り替えスイッチです。Aはより多くの倍音を含む、Chandler Limited印の明瞭なビンテージサウンドです。Bに切り替えると一転、ぽってりとしたクリーンなサウンドに切り替わります。またBモードでは感度が下がるため、大音量のソースに合わせてPAD的に切り替えるシチュエーションもありかもしれません。
FLATでは明瞭なビンテージサウンド、5段階のスイッチでキャラクターを変更可能
次にサウンドを聴いてみました。ヘッドホンアンプはSSL SiXに搭載のもので、そのまま自分の喋り声やアコースティックギターなどをヘッドフォンでモニタリングしてみた印象です。
まずはAモードでロータリースイッチはFLATを選択。本機の標準的な音色かと思われますが、出てきたサウンドは明るめなニュアンスでした。明るいといってもHighがうるさいと言うのではなく、良いマイクプリなどに良くある倍音豊かで実際に耳で聞く以上にハッキリと聞こえるあの感じです。
モードはAのままロータリースイッチを一番左、NAB/IEC 7.5ipsに切り替えてみます。ローの存在感が増し、腰高だった音の重さが一気に増しました。
NAB/IEC 15ipsに切り替えると、今度は打って変わって重心が上がり、ハイの煌びやかさが際立ちました。
一旦FLATに戻ります。やはり明瞭なビンテージサウンドです。直前のNAB/IEC 15ipsの方はかなりハイ寄りなサウンドに変わっていたのが良く分かります。
次は一つ右側、IEC/NABの15ipsに切り替えてみます。FLATと印象は大きく変わらず少しふくよかさが増しました。ただ曇ったりボヤけたりという印象は一切ありません。
そして、最後にIEC/NAB 7.5ipsですが、、個人的にはホームランなサウンドです!一言で言うとドンシャリなのですが、なんと心地の良いドンシャリでしょうか。ローもハイも一気に主張してきますが、全く煩くなく、まさに「とにかく全身カッコいいサウンド」です。普通こういう音作りをすると音像は引っ込んだり小さくなったりするものですが、このマイクの凄いところは存在感とリッチさが増す事です。Chandler Limitedならではのマジックを体験しました。
PultecEQで煽る感じと少し似てなくもないですが、いやはや、いい音でした!
ロータリースイッチは一通り試したので、次はBモードに変更してみました。FLATモードでは前述の通りクリーンな印象ですがわずかにふくよかさも感じます。マイクプリで例えるならSSLというよりは僅かにMillenia側な印象でしょうか。
TAPE EQUALIZERの効き方は先ほどと印象は変わらず、積極的な色付けのEQだと感じました。
途中いろいろスイッチの切り替えを試す中で、合う合わないがハッキリ判断出来たのが非常に好印象でした。
ソースの鳴り音が音楽的に完成している場合でもBモードでロータリースイッチを一通り回す価値があり、マッチすれば音楽的な魅力を一段階上げてくれるような印象を受けました。
またLOW CUTも単に狙った周波数で音を切るだけではなく、全体的な音の印象も変わってくるのでローを弄る必要を感じなくとも是非いろんなポジションを試して頂きたいです。
A/B、5段階、LOWCUTで2×5×3=30通りのキャラクターが得られます。(指向性も含めれば60通り?)
古風なサウンドを基調にしつつも、必ずソースにマッチする設定がある安心感は非常に所有欲を掻き立てられますね。
他にも、事情により本来使いたいHAを持ち運べず、オーディオインターフェースのクリーンなマイクプリで収録するようなシチュエーションにも、48Vファンタムを専用PSUで賄う本機の腰の据わった多彩で魅力豊かな音質は大活躍するのではないしょうか。
個人的には冒頭で紹介した「1,押し出しの強いザ・アナログサウンド」「2,とにかく!!!音がカッコいい!!!」がこの機種にもしっかりと感じられ、「魔法のツマミ」も音作りの肝として使えるもので、やはりChandler Limitedは最高!ウェイドゴークは超天才!!と手伝ってくれたスタッフと盛り上がりました。
ご紹介したChandler Limited TG MicrophoneはRock oN 渋谷店に展示中で、¥259,200-で絶賛販売中です!
購入して頂いた方には期間限定で、ストレートに「音が良い!」で話題の The NUDE CABLE TPS 7182 XLR 5m (M-F)(税込価格:¥6,400-)を1つプレゼント!!
TG Microphone Spec
・マイクタイプ:ラージダイヤフラム、コンデンサー
・トランスデューサー:金蒸着のカスタム・ダイヤフラム
・サーキットタイプ:TG ソリッドステート
・デュアルトーンシステム:A/Bボイシング
・テープイコライザー:TG 5セッティング切替
・ローカットフィルター:Out/90Hz/50Hz切替
・指向性:カーディオイド、オムニ
・PAD:-10 dBスイッチャブル
・インピーダンス:200Ω
・電源:外部パワーサプライユニット(付属)
・マイクケーブル:25′(約7.6m) Mogami製 4ピンケーブル(付属)
・専用ショックマウント(付属)
・専用木製ケース(付属)
Writer. クーパー天野
Chandler Limited(日本代理店ページ)
http://umbrella-company.jp/chandlerlimited-tg-microphone.html
記事内に掲載されている価格は 2019年5月14日 時点での価格となります。
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