MOD-7は、ウェーブシェイピングとリング・モジュレーションを含む VPM オシレーターと、 PCM サンプル・プレイバック、外部入力、マルチモード・フィルターなどを組み合わせて自由にパッチングできるセミ・モジュラー・シンセサイザーです。( VPM シンセシスとは Variable Phase Modulation の略で、コルグ独自の Frequency Modulation (FM) シンセシス技術です)。
MOD-7 の主な特長
- 6基の VPM オシレーターは正弦波、ノコギリ波、三角波、方形波を生み出し、それぞれFMとウェーブシェイピング、リングモジュレーションが可能。また、他の入力された信号を加工するだけのウェーブシェイパーやリングモジュレーターとして使用することも可能。ウェーブシェープテーブルは101種類を備え、ドライブやオフセットをコントロール可能。
- コルグの超低エイリアシング技術を用いた HD-1 クラスのPCM オシレーターは、ROM、EXs、Smp、User Sample Banks のモノサンプルの4段階ベロシティスイッチにより、表情豊かな音色を生み出します。また、PCMオシレーターをFMモジュレーターとして使用する事も可能。
- 専用フィルターとサチュレーションが設定できるノイズ・ジェネレーター搭載。
- 外部オーディオ入力が使用可能。
- 1ボイスあたり、LFO 4基、リトリガー可能な EG 10基、キートラッキングジェネレーター 9基、AMSミキサー 8基、ステップシーケンサー1基が使用可能。
- 79種のテンプレート・アルゴリズムを収録し、ヴィンテージFM シンセサイザーDX7の音色 .SYXファイルのコンバージョンロードが可能。
MOD-7 オシレーター、Waveshapersの概要図

●OSCILLATOR Mode
・Sine
・Saw
・Triangle
・Square
・Sine + Waveshaper
・Waveshaper
・Ring Mod Only
ウェイブシェイパーやリングモジュレーターのみを使用できるのもポイント
●フィードバック
VPM オシレーター自身をモジュレージョンするのがフィードバック。同時にキャリアとモジュレーターとして動作。
●Waveshaper
KORG 01Wで初めて搭載された機能。変調用の波形が別に用意され、VPMオシレーター波形を変調することができます。PCM 波形、他のVPMオシレーター出力、外部オーディオ入力音などを変化させる事も可能。
リングモジュレーション
2つの入力信号によって新たな周波数成分を作り出す機能で、微妙に音色をブライトにする効果から、ゴングのような激しい不協和音を生み出します。
●DX サウンドのロード
DX7 の音色 .SYX ファイルは、インターネットを検索すれば、数多くのファイルがアップロードされているのを見つけることができます。コンバージョン・ロードしたこれらのサウンドは、MOD-7 の独自の機能を使って新たにサウンドを作りかえる事が可能です。読み込めるのは 6オペレーターFMシンセや DX9がサポートしている初代DX7フォーマット。
MOD-7 プリセット試聴動画
特徴的なFMサウンドのプリセットをセレクトしました。デジタルピアノとして完成されたDXエレピ、デジタルでありながら温かいブラスサウンド、ゴリゴリに一時代を築いたFMシンセベース、デジタルとアナログの中間のようなPluck系音色、透き通ったシンセパッド、鍵盤弾きにはたまらないアナログライクなシンセリード、マレット系エレピのコロコロとした質感、MOD-7ならではのPCMとノイズジェネレーターを活用した複雑で波打つ音変化など、定番の音色から最新の音色まで、NAUTILUSには即戦力のプリセットが幅広く搭載されています。
Waveshaper波形バリエーション一覧
なんと101種類の変調用波形が用意され、ウェーブシェイパーに入る信号のボリュームを設定する「Drive」や、ウェーブシェイパー波形開始位置をずらす「Offset」で音色コントロールが可能!これらの波形を見るだけでテンション上がります。







無限の音色コントロールを可能にするAMS (Alternate Modulation Source)
「NAUTILUS特集 第2回:アナログモデリング音源」でもご紹介しましたが、AMSとはエンベロープやLFOなど、一般的にモジュレーターと呼ばれる機能とNAUTILUS本体コントローラー情報をまとめた総称で、それら信号をミックスできるAMSミキサーが特徴です。多くのパラメーターがAMSに対応し、前述したオシレーターのピッチや Waveshaper の Drive パラメーターをコントロールするなど、特にVPM/FM音源では無限の音作りを可能にする重要な機能です。
MOD-7では何と、Ampエンベロープのほか9つのエンベロープジェネレーターを搭載し、様々なパラメーターにアサインが可能。そして4基のLFOは、LFO同士でも変調が可能。8基のAMSミキサーではエンベロープやLFO、本体コントローラーからの信号をミックスでき、AMSミキサーで作成された信号同士もミックスできてしまうなど、何が変調しているのか、されているのか、はたまたその両方なのか、モジュラーシンセのように自由自在に音色パラメーターを変調することが出来るのです。

AMSを活用した音づくりの例
動画のグラフィックは、NAUTILUSのUSBポートからDAWにMOD-7の音を入力し、iZotope Insight2 のアナライザーで視覚化したものです(MOD-7にアナライザー機能は含まれません)。FMで生まれたサウンドが描き出す音の文様をお楽しみください。
MOD-7のAMS機能を活用すると、有機的でとても複雑な音変化が楽しめます。エンベロープ10基、LFO4基、AMSミキサー8基、それらでオシレーターピッチやWaveshaperのドライブを変調したり、LFOでLFOを変調したり、エンベロープを変調したりと、その組み合わせはモジュラーシンセのように自由自在。上の動画では、3つのオペレーターそれぞれのピッチとWaveshaperをLFOで変調し、AMSミキサーではLFOにクオンタイズをかけて階段状の音程を得ています。鍵盤をたった1つ押さえるだけでシンセがしゃべり始め、複数使用しているLFOランダム波形の周期が最小公倍数を迎えることはありません。それはつまり音の繰り返しが発生せず、何時間でも飽きずに聴き続けられる世界が展開されるのです! そのサウンドをiZotope Insight2で解析描画して、アート作品のようなリアルタイムグラフィックを眺めて楽しむのも良いでしょう。
定番普遍的サウンドから宇宙サウンドまで
MOD-7にはAORや80年代ゲームミュージックファンをはじめ、現代の音楽制作に活躍してくれる即戦力プリセットが多数搭載されています。がしかし!FM音源の醍醐味はなんと言っても音作りです。透明感がありながら太く、激しく変調をかければ攻撃的になり、予想の上を行く最高に面白い音源です。特にNAUTILUSには変調元になるAMSが大量に用意され、それらを全て生かし切れるMOD-7は普遍的な楽器音色はもちろん、モジュラーシンセファンをも唸らせる変調のディジーチェーンにより、摩訶不思議なサウンドまで守備範囲は無限大です。現代の音楽制作にぜひ活用して頂きたい奥深き音源です。それでは次回もお楽しみに! (SCFED IBE)
KORG NAUTILUS 61鍵、73鍵、88鍵 ラインナップ