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07
Jul.2020
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トラックメイカー ミツビシテツロウのLove Live!第4回〜Liveでライブする方法 マニピュレーター(後編)〜

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お疲れ様です!トラックメイカーのミツビシテツロウです。

普段は広告などの楽曲制作をしたり、”カタカナ”“GEEKS”といったバンドで活動しています。

この連載では、全4回にわたってAbleton Liveの解説をしていきます。

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前回はLiveを使ったマニピュレーションについて書きました!
「トラックメイカー ミツビシテツロウのLove Live! 〜Liveでライブする方法 マニピュレーター編(前編)〜」
前回の記事はこちら

今回は後編です!

5.レベルを合わせよう!

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前回これで完了です!!!と大言壮語しましたが、とても大事な作業を失念していました。

リハーサルまでには複数ある曲のレベルを統一させておきましょう。

前回リターントラックに各セクションを作ったので、そのレベルを合わせていきます。原曲の2Mixデータを聞きながら同じようなバランスになるようにセクションごとの音量を決めます。1曲分完成したらその曲の一番音の大きい部分を確認して、他の曲もそのレベルに合うように音量を決めて行きます。

ただし原曲のバランスを壊してしまうようであれば本末転倒なので、臨機応変にバランスを取っていきます。両方を完璧に両立する事はできませんが、なるべく全部の曲のピークが同じくらいになるように、原曲のバランスのままレベルを調整しましょう。

僕は0dbよりも-3dbや-6dbに合わせる事が多いです。Liveは+6dbまでしか上げら れないので音量を上げる幅を確保する為です。トラック数が多い時ほどレベルは下げて調整します。

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画像はギターセクションのトラックです。音量めちゃくちゃ下げていますが、しっかり聞こえるレベルに揃えています。

6.Liveでリハーサルに行こう!

さぁ、トラックの準備は全て済みました。用意は完璧です。クリックも数種類用意してあり、全てのトラックを確認済みです。

ケーブルやマウス、トラックボールなどの忘れ物が無いように何度も確認したらリハに向かいます。

現場に着いたら大きな声で挨拶します。その場に居る人は全てライブが成功する事を望む仲間たちです。当日現場でのリハしか行わない場合も、数ヶ月前からのリハの場合も同じです。僕は人の名前を覚えるのが徹底的に苦手なので、マニピュレーターの作業をするテイを保ちながら名前をメモしています。

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到着後、PAの準備が出来次第すぐに回線を仕込みます。担当の方に自分が使う回線を伝えましょう。前回作った回線図が役に立つはずです。

このタイミングで使いたかった回線が使えない事もあります。ミキサーやDIに空きが無かったりで当日の会場の制限により柔軟に対応する必要が出てきます。

ここでLiveの設定を変えるので30分くださいとは言えないので素直にリターントラックの出力先を変えてさっとまとめます。最終的なアウトプットがリターントラック数分しかないのでチャンネルの変更はすぐに終わります。

こちらは実際の出力リターントラックです。

本来はリズムトラックとFXトラックを分けたかったのですが、回線が8ch分しか用意できなかったので、RYTHMトラックとFXトラックが同じ出力先(7/8)になっています。

ここを変えるだけでインターフェースから出力する回線を変更できるのでリターントラックで操作するのがおすすめです。

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回線の準備が終わればチェックの時間です。

上記の画像で言えば A Main BInst C Vocal…..の順で再生してチェックしましょう。

この作業時確認用のリターントラックを作っておくと便利です。

各リターントラックの出力をアサインして、インターフェースのヘッドフォンアウトに出力されるように設定します。

バンドメンバーの演奏中にソロで確認したいトラックが出てきても、ヘッドフォンアウトを用意しておけば演奏の進行を止めずに確認する事ができます。
(下の画像のようにセッティングし、Masterトラックの出力をヘッドフォンにしましょう)

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リハーサル中に曲のアレンジや構成が変わったり、EQする必要が出てくることもあります。すぐに対応できるように現場の雰囲気を読んで先に対応できる事はしておきましょう!

また、リハーサルが何日間かに分かれているのであれば、休憩時間ごとにバックアップを取っておくと便利です。

バックアップ時点での変更点を確認することもできますし、気づかないままトラックを削除していて、そのまま進行してしまっていた時などバックアップが有効的に働きます。

リハーサルが進行していく中で曲をスタートさせるタイミングについて必ず打ち合わせを行いましょう。お客さんの拍手が終わるのを待つのか、ボーカルが定位置に着いたらなのか、前の曲が終わったら最速でスタートさせるのか、アウトロをループしてMCで盛り上げてからスタートなのか。

必要な演出によってタイミングは絶対に違います。わかりやすい様に自分なりのセットリストを作って書き込みましょう。

7.Liveでライブ本番の仕込みをしよう!

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リハーサルを終え、次はゲネプロです。

本番前最後の通しリハーサルに向かう前にプロジェクトをチェックしましょう!

・テンポ情報は正しく書けているか。
・セットリスト通りに曲順を並べ替えられているか。
・出力のルーティングは間違えていないか。
・リハーサル中に変更になった点については全て指示通りになっているか。
・0dbを超えるような瞬間は無いか。
・セットリストはマニピュレーターが見やすい様にアレンジされているか。
・次の曲のスタートタイミングは全て書き込んであるか(絶対に分かるものでも必ず書き込みましょう。本番中は緊張のあまり全てを忘れる事が多々あります。本番中の自分を信用しないでください)

練習が必要なパートでは無いと勘違いされやすいのがマニピュレーターですが、本番前には筋トレの如く再三再四プレイバックします。何度も再生して絶対に落ちない。落ちてもバックアップマシンが元気に動く事を確認します。

本番の安心感はここで手に入れておきます。本番前日の夜はプレイバックテストに費やして、翌日の本番は安心してスペースキーを押しましょう!

8.LiveでマニピュレーターTips

・フリーズ

リハーサルが終わって本番に向かう前に処理が重くなりそうなトラックはフリーズしておきましょう。

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フリーズを行うとEQやコンプレッサー等をリアルタイムで処理せずに、録音した音声で再生を行ってくれますので処理を軽くするのに一役立ちます
本番のステージ上はリハーサルスタジオより高温多湿で何が起こってもおかしくありません。可能な限り処理を軽くする為にフリーズを使ってオーディオトラックに書き込んでおきましょう。

・テンポ検出

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自分で作った曲ならテンポ情報はわかっていますが、多くは誰かが作った曲のデータを使う事になります。
気の利いた作曲家、アレンジャー、アーティストチームの案件ですと曲のテンポをファイル名に記してくれます。(ex song1_bpm200_Synth.wav)

そうでない場合には自分でその曲の正確なテンポを図る必要がありますが、AbletonLiveなら簡単にテンポを検出できます。

テンポ検出をしよう!

1)プロジェクトにそのままテンポを検出したい楽曲のトラックをドラッグアンドドロップします。この時楽曲のパラデータよりも全てまとまっている2mixのデータか、ドラムトラックを使うと検出が正確になります。

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2)Warpをオンにしているとテンポが自動検出され、空のプロジェクトにドラッグアンドロップしていた場合にはプロジェクトのテンポも変更されます。

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3)メトロノームをオンにしてから楽曲を再生します。テンポがズレていたり楽曲の開始位置が違うとズレて聞こえますのでテンポを+-1ずつ動かしながら楽曲の正確なテンポを掴みましょう。

途中で変拍子になっていたり、テンポチェンジのある曲を扱う場合には落ち着いてブロックごとに分けて正確なテンポマップを作りましょう!

・セッションビュー
Liveでマニピュレートを行うのに慣れてきたらセッションビューでマニピュレートできるようにしましょう!
僕がLiveでマニピュレートする際に一番便利でよく使う機能です。

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曲のセクションごとにシーンを区切っておけば、視認性も高く急にAメロが2倍になっても1回ループするだけですし、本番でX time(演奏しながらMCを行うなどしてセクションの長さが一定でない)があってもすぐに対応できます。
曲の展開を入れ替えるのも、曲の順番を入れ替えるのも一発でできます。
(仕込みの時間は倍かかりますが・・・)

ライブアレンジなどで急に曲の構成が変わる事はよくありますが、最速で対応できるのはLiveだなと思うのはこの部分です。

仕込みの方法は曲の構成ごとにオーディオの波形を分割(⌘+E)してセッションビューにコピーするだけ!
この時クリックも一緒にコピーするのをお忘れなく!

そのままAメロを再生するとAメロを再生しただけで終わってしまいますのでフォローアクションを設定します。

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例えばAメロが8小節ならFollowActionを8小節に設定して↓NEXT にすると自動的に次のセクションに移ります。
ライブ本番で同じセクションをループする必要がある場合にはLOOPをオンにしてFollowActionに何も設定しないでおきます。

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9.良いマニピュレーターであるためには

ここまで行えばシステムとしてのマニピュレーターの準備は完璧です。しかし良いマニピュレーターとして業務を行う為に必要なことは一体何でしょうか。そこでライブ現場でバリバリ活躍するドラマー2人にお話を伺いました!

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悠木レオン
様々なアーティストのlive recを行っている。

AKB48 HoneyWorks adieu(上白石萌歌)
まふまふ 江口洋介 萩原健一 etc (敬称略)


千葉訓久

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ライブサポート、レコーディングの他に得意とするセルフレコーディングでも様々な作品に参加している。

天月-あまつき-/悲激のヒロイン症候群/
CrariS/井口裕香/ASCA

Q:クリック前提のライブとそうでないライブの違いは?

レオン:”重視するものが違う”
本来音楽は生き物なので、全体でハシったりモタったりしていいものではあると思うんです。演奏によっての一期一会みたいなものが大事になっているライブはクリックが無いライブに多くて。

クリックがあるライブはお客さんにクリックが聞こえてるわけではないので、クリックと共にアンサンブルをしているイメージですね。あくまでベーシックになるものとして一緒に演奏しているような感覚です。どっちも音楽として成立させるっていう部分は変わらないです。自分でMTRポン出しする必要に迫られた事もあるんですが、極力なんとかやらない方向で進めますね笑

Q:マニピュレーターが居るライブそうでないライブの違いは?

千葉:”曲に対する心構えが違う”
MTRを使って自分でポン出しすることもあるんだけど、集中力が切れちゃう。きっかけのMCを聞いて、自分で再生ボタンを押して、カウントするっていう3つの仕事が来る事になっちゃう。でもマニピュレーターがいるとイントロから曲に対して超集中できるから全然演奏のノリも違ってくる。

そもそも自分でポン出しするとトラブルが起こったら終わり。原因を探ってる余裕なんか無いんだよね、演奏してるから。あとポンだし待ちしている姿勢がダサい笑

Q:良いマニピュレーターはどんな人?

レオン:”全体を見渡せている人”

トータルで全てを見通せていて、リハーサル1回目、1曲目でメンバーが何をしているかを瞬時に把握できて必要なトラック操作やEQができる人は良いマニピュレーターですね。1回目で譜面把握して、2回目で足りない帯域を補ってくれるPA補佐みたいなことまでしてくれる人は優秀ですよね。

あとは対人間としてのコミュニケーションもとても大事で、一番コミュニケーション力が必要なんじゃないですかね。

作業スピードも大事です。現場はスピード感が求められるからマニピュレーターが待たせちゃうと熱量冷めちゃうし、スピーディな作業が大事です。リハのテンポも良くなるし!

マニピュレーターは楽器を演奏しませんが、より一層音楽力が必要とされるパートだと思います。

千葉:”ライブ中のトラブル対応ができる”

例えばライブ本番中にSEを止め忘れちゃって、本来必要ない部分が再生されちゃってもDJ風にいい感じに次に繋いだライブがあって。

演奏者は冷や汗かいたけどいい感じに繋がって音だけで聴いたら違和感なかった時はトラブル対応してるなーと!PAさんや照明さんよりもっとメンバー!って感じのパートだね。

メンバーがリハの休憩というか曲の間で話している内容も覚えていて、さっき話したんだけど〜〜って相談を受ける前には作業が終わってる。
他にも”作業が早い” “コミュニケーションが取りやすい”この2点はめちゃめちゃ大事!

二人がマニピュレーターとして大切な部分ですと共通して言っていたのは
・作業が早い
・コミュニケーションが取れる
・音楽力が高い

この3点でした!
確かにとても重要かつ必要なスキルです。。。僕も精進します。


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二回に分けてマニピュレーターについてお話しさせていただきました!

Liveを使ってぜひ同期を使ったライブも試してみてください!慣れると並行して歌も歌えます!!!!

Writer. ミツビシテツロウ


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ミツビシテツロウ

ニューウェイブバンド カタカナでの活動に加え、souichiro igari名義でロックバンドGEEKSのサポート、声優ユニット イヤホンズのバックバンドとして東京キネマ倶楽部で行われたデビュー2周年記念公演「月世界旅行楽団」にも参加。その他キーボーディスト、マニピュレーターとして多数のライブに出演。

作家として音楽制作を行う傍らレコーディングエンジニアとしても活動している。

https://www.kata-kana.net/

記事内に掲載されている価格は 2020年7月7日 時点での価格となります。

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