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作曲とは?
作曲をした事のない人にとって「メロディ」を生み出すのは難しい作業だと思います。これまで聞いて来た音楽や育った環境、楽器の演奏能力、音楽に対する考え方を総動員して0から1を生み出す苦労は、誰もが経験する楽しい作業であり、産みの苦しみでもあります。
メロディの最小単位となるリフレイン(=リフ)。リフはメロディという一文を作り、メロディという一文が文節を作り、文節が1曲という文章を構成して行きます。つまり、最高のリフが出来れば、それは1曲を展開していく原動力になるのです。
音楽とサイコロの関係
では実際に、リフをどうやって作ったら良いのでしょうか?無の状態から鼻歌だけで作る、コード進行を決めてからそこに合うリフを試行錯誤する、楽器を演奏しながら降りてくるのを待つなど、個人個人の方法があるかと思います。
人が演奏するほとんどの楽器は、1オクターブを12個に平均分割した12音階で成り立っています。つまり、サイコロを2個以上振れば作曲する事は可能なのです。そこでサイコロ的な「確率」を作曲に取り入れる試みが古くから行われて来ましたが、そこに現れるメロディは幾何学的で、人には共感しにくいメロディが大半です。なぜサイコロで作った音楽への共感が難しいのか、それは「音楽とは?」という大テーマであり、”人間 VS AI作曲論” にまで話が発展しますので今回は割愛しますが、音楽は国や地域によってメロディが言語化されていて、それを小さい頃から聞いて育ち、言語のように体が覚えた音楽感覚が各人の「琴線」になるからだと考えられます。そして、その言語化された音楽の仕組みや12音階を数学的に紐解いたのが音楽理論です。
音楽理論を作曲サイコロに応用した IN SESSION AUDIO / RIFF GENERATION
音楽理論では、キー(調)とスケール(音階)が決まると、何を弾いても全く自由だった音の世界から一変して、音楽の世界にルールが生まれます。これは一見不便なようですが、逆に何もルールが無く全くでたらめに楽器を演奏する方が、作曲は難しくなります。そこで、サイコロに音楽理論を応用すれば強力な作曲ツールになり得る、それを実現したプラグインが RIFF GENERATION なのです。
KONTAKTで起動
RIFF GENERATION は KONTAKTまたは無償のKONTAKT Player ver5.6.1以上で起動します。Native Instruments NKS に対応していますので、同社のMIDIキーボードKomplete Kontrolシリーズとの連携もバッチリです。KONTAKTプラグインの鍵盤に色が付いていると、Komplete Kontrolシリーズは鍵盤上部のLEDが同じ色で光るのもポイント。どの鍵盤に音が割り当てられているのかが一目でわかるので、制作時のストレスが大分軽減されます。
音楽理論の基本:スケール(音階)
音楽理論の基本はドレミファソラシド。これをダイアトニック・スケールと呼び、そのスケール上に生まれる和音をダイアトニック・コードと呼びます。
動画では DAWソフト Ableton Live11を使用して、C メジャースケールとコードを演奏。クリップにスケール設定をすると音程に色がつき、横に伸びる青色ストライプが C メジャースケールを構成する音階を表し、ノートが全て青色ストライプに収まっていることが分かります。また、伴奏は C メジャースケール上に生まれるダイアトニック・コードを順番に弾いています。このようにダイアトニック・スケールとダイアトニック・コードは、同じ音階のルールの中で演奏されます。動画の最後は、ダイアトニック・スケール上に作られる4和音 Cメジャーセブンスコード(C,E,G,B)をアルペジオで弾いています。メロディはコードの構成音と、そこに向かったり外れたりする経過音の集合体と言えるため、アルペジオはメロディを考える時の大きなヒントになります。
インテリジェント・リフ・アルペジエイター
通常のアルペジエイターは入力された和音を分解するため、音楽的な知識があればスケールから外れずに使えます。しかしコードの知識がない場合には、演奏パターンが予め決められているアルペジエイター(ここでは便宜的にリフ・アルペジエイターと呼びます)が便利です。リフ・アルペジエイターはカッコ良いリフを誰でも指一本で演奏できるため、楽曲の素材としても活用できます。ただし リフ・アルペジエイターにも難点があり、演奏開始する音程によってリフを並行移動するため、演奏する鍵盤によっては曲のスケールから外れてしまう音程が発生します。
しかし、今回ご紹介する RIFF GENERATION は作成されたリフを演奏するリフ・アルペジエイターでありながら、リフをスケールに合わせて自動修正してくれるのです。どんなに複雑なコード進行でもルートに合わせてリフを展開し続ける事が可能で、いわば、インテリジェント・リフ・アルペジエイターと呼べる画期的なソフトなのです。
従来のリフ・アルペジエイターではスケールから外れ、コードと合っていない音がいくつか確認できます。そして RIFF GENERATION ではスケールに合わせて修正されていることが分かります。
RIFF GENERATION は指一本でリフを生み出す、革新的ツール。
RIFF GENERATION はインテリジェント・リフ・アルペジエイターという事をお分かり頂いた上で、さらに!RIFF GENERATIONは [GENERATE]ボタンを押すだけでオリジナルのリフが次々に生成される、魔法のようなツールなのです。冒頭の「音楽理論をサイコロに応用した強力な作曲ツール」の理由がここにあったのです。
まずは RIFF GENERATION のプリセットを聞いてみよう!
Riff Generation にはテンポごとにカテゴライズされた 325個のプリセットが用意されています。
これらのリフは、スケール上の音階を指定すればスケールから外れる事なく追従します。(リフ開始音程がスケール外の音になった場合の設定もあり、ルートだけ鳴らしたり無音にする事も可能です)
リフを作る5つの要素を自在に設定可能
「リズム」「レベル」「ピッチ」「タイム」「サウンド」といった、リフ生成のための5つの要素があり、それぞれに GENERATION ボタンが用意されています。GENERATION ボタンは上述の「サイコロ」を意味し、5つの要素の中に細かく設定されたパラメーターを指定して生成する事が可能です。各要素ごとにリフを生成できるほか、下部の大きな「GENERATEボタン」を押すと、5つの要素を全て適用したリフが生成できます。
ドット・マトリクス
生成されたリフにダイナミックな変化を与える特徴的なセクションで、5つの要素を持ちます。サウンド、グライド、スタッター、そしてドット・マトリクスからセンドする専用ディレイとリバーブを各ステップごとに設定可能です。
5つの音源で一つのリフを作り上げる
RIFF GENERATIONは 255種類のサウンドを搭載し、生成されたリフは5つの再生音源を使用して音符ごとに鳴らし分ける事が可能。いまやスタンダードとなったウェーブテーブル的な、リフの中で音色を激しく変化させる事ができます。1音ごとに音をアサイン出来るのが画期的で、リフに大きな表情をつけるのにとても役立ちます。
ドット・マトリクス内のサウンド列にあるギアマークを押すと、SOUND GENERATIONの設定に従ってサウンドの再アサインが行われます。アサインの後は、ドット・マトリクスで自分好みのサウンドに選び直す事も可能。グライドやスタッターなど、サウンド以外の列でも同じようにギアのマークを押せば、サイコロ的に新たなマトリクスパターンが生成されます。こういった音変化をDAWのオートメーションで作成したら、、それは気の遠くなる作業ですが RIFF GENERATIONなら一瞬で完成します。
豊富なエフェクトとフィルター
フィルターやEQなど6種類のエフェクトと、ドット・マトリクスから専用でセンドするディレイとリバーブ、そしてLFOを搭載し、リフ作成からサウンド作りまで総合的に行えてしまう、新世代音楽制作ソリューションに仕上がっています。これらはリフ生成のオマケ的な代物ではなく、フィルターもエフェクトも音作りに大きく貢献してくれます。
実践1:リアルタイム生成の様子
IN SESSION AUDIO社 といえば、劇判音楽制作に役立つ和太鼓音源の決定版 TAIKO CREATOR も有名な製品です。TAIKO CREATORとRIFF GENERATIONのコラボをしてみました。GENERATEボタンを押して、リフがリアルタイムに生成されて行く様子をご覧ください。
実践2:FULL ON トラック
シンセのリフは事前に何度もGENERATEボタンを押し、気に入ったリフが生成されたらシーンに保存する工程を8回繰り返し、保存したシーンをキースイッチで呼び出しています。ドラムとベースは他社製音源を使用し、サイケデリック・トランスの中でもイスラエル系のゴリゴリ・バッキバキにシンセを使い倒した Full oN トラックが出来ました!シンセパートはエフェクトも含めて RIFF GENERATION だけで作っています。
実践3:癒しのフレーズ
RIFF GENERATIONで生成したリフは、ドラッグ&ドロップでMIDIファイルを書き出せます。DAWでの詳細なMIDIエディットが可能になるほか、普段お使いのソフト音源を鳴らす事もできます。動画ではリフをMIDIエクスポートして、至高のニューエイジ系ソフト音源「NADA」をRIFF GENERATION 内蔵音源とレイヤーして鳴らしています。
兄弟製品:アナログサウンドを取り入れた OUTSIDE IN EDITION
RIFF GENERATION OUTSIDE IN EDITION は、実世界の楽器やハードウェア機材を収録した『RIFF GENERATION』のアナログ版とも言える製品で、それぞれの製品で重複したサンプルはありません。OUTSIDE IN EDITIONにはテンポごとにカテゴライズされた235個のプリセットと、234種類のサウンドが用意されています。
RIFF GENERATION 製品ラインナップ
2017年8月に「RIFF GENERATION」がリリースされ 2019年9月にアナログサウンドを取り入れた「RIFF GENERATION OUTSIDE IN EDITION」がリリースされました。そして2020年6月には OUTSIDE IN EDITION にプリセットを追加した「RIFF GENERATION OUTSIDE IN EDITION + EXPANSION」リリース。そしてさらに、RIFF GENERATION と RIFF GENERATION OUTSIDE IN EDITION + EXPANSIONをバンドルしたお得なパッケージも登場。RIFF GENERATION OUTSIDE IN EDITIONに後からプリセットを追加する事は出来ないので、OUTSIDE IN EDITIONのプリセットを活用したい方には+ EXPANSIONの方をお勧めしますが、やはり何と言ってもお得なのは RIFF GENERATION と OUTSIDE IN EDITION + EXPANSIONのお得なバンドルです。製品名が長く、ラインナップも理解しにくいかと思いますので下にまとめました!
記事内に掲載されている価格は 2021年8月25日 時点での価格となります。
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