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日本の伝統楽器といえば、琴、三味線、尺八、笙、など様々な音源がリリースされており、その中でも和太鼓はラインナップが多くなっています。特に近年の映像音楽の中で和太鼓のサウンドはよく聞かれるようになり、現代の劇判音楽制作に欠かせないシネマティック音源となりました。そこでご紹介したいのが 和太鼓の最強音源となる IN SESSION AUDIO社『TAIKO CREATOR』です。
TAIKO CREATOR は 24種に及ぶ和太鼓と12種の掛け声やスティック音などをサンプリングし、独奏からなんと135パートの和太鼓隊まで構築することができるという、数ある和太鼓音源の中でも群を抜いた性能を誇ります。9881に及ぶサンプル、ベロシティレイヤー7段階、ラウンドロビン7種、そして様々なコンセプトを持ったMIDIライブラリを豊富に収録し、日本の伝統文化とシネマティックサウンドを両立させた、和太鼓音源の決定版です。
TAIKO CREATORメイン画面(GLOBAL)
プリセットのキットごとに表示される美しいグラフィックがクリエイティビティを刺激します。KONTAKT / KONTAKT PLAYER専用ライブラリとして起動し、無償版KONTAKTでも動作します。Native Instruments NKS に対応していますので、同社のMIDIキーボードKomplete Kontrolシリーズや、Maschineシリーズなどとの連携もバッチリです。KONTAKTプラグインの鍵盤に色が付いていると、Komplete Kontrolシリーズは鍵盤上部のLEDが同じ色で光るのもポイント。どの鍵盤に音が割り当てられているのかが一目でわかるので、制作時のストレスが大分軽減されます。
TAIKO CREATORの核となる、グループ画面
従来の和太鼓ライブラリーは、複数人が同時にドラムを叩いたアンサンブルやグループレコーディングが多く、この方法は和太鼓の迫力や統一感をキャプチャーするのに適していました。しかし、細かいフレーズ修正や個別楽器のボリューム調整といった柔軟な対応ができないため、TAIKO CREATORでは新たな和太鼓カスタムエンジンを開発。独奏から大編成に至るまで、1楽器単位でのピッチ、ボリューム、パンの調整を可能にしました。
TAIKO CREATORには3つの楽器カテゴリー ①DRUMS(太鼓)、②PERCUSSION(パーカッション)、③AUXILIARY(補助楽器) があり、それぞれのカテゴリー内にグループが用意されています。①DRUMS(太鼓)は9グループ、②PERCUSSION(パーカッション)は6グループ、③AUXILIARY(補助楽器)は2グループを持っていて、AUXILIARY(補助楽器)を除いた ①DRUMS+②PERCUSSION=15グループで編成を詳細に作り込む事が可能です。1グループ内には9パートまで楽器を読み込めるため、15グループx9パート = 最大135パートという壮大な太鼓隊を編成できるのです。
楽器カテゴリー①DRUMS(太鼓)
太鼓を叩いた通常音をメインに、一部にはマレットやスティックの演奏オプションがあります。
HUGE DRUMS
★Odaiko 1 – w mallet/w bachi ★Odaiko 2 – w mallet/w bachi ★Nishaku ★Sanjaku Daiko – w mallet/w bachi ★Ohira Daiko
LARGE DRUMS
★Nagado Daiko 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10 ★Katsugi Okedo Taiko 1,2,3
MEDIUM DRUMS
★Shime Daiko 1,2,3,4,4,5,6
これらの楽器を9パートまで同時に読み込めるのが下のグループ画面です。
各パートはピッチ、ボリューム、パンが個別に設定でき、Mute/Solo が可能です。この1画面分の構成が1グループとなり、DRUMSカテゴリーには9グループ用意されています。それぞれMIDIノートにマッピングされていて、上の画像はMIDIノートC1とD1にアサインされたグループ。グループ内に読み込まれた9つのパートはマルチティンバーではなく、1つの鍵盤演奏で9パートが同時に鳴る事になります。
下の画像、DRUMSカテゴリーは白鍵2個に対して1つのグループが割り当てられ、合計9グループ存在します。
GUI下部にあるコントロール部では、グループ全体のピッチ、ボリューム、フィルター、エンベロープ、4ポジションマイクのレベル調整が可能です。そして、9つのパートが一斉に演奏される際のタイミングを微調整できるのがTAIKO CREATORの大きな特徴の一つ。UNITYつまみを右に回すとタイミングがバラけて、左に回すとジャストになるので、人数感を調整するのにも役立ちます。UNITY文字左にあるGLOBALボタンは他のグループと設定値を共有するために使うなど、本当によく考えられています。右側に設置された DRUM GROUP CREATION SETTING は昨今のトレンドとなるサイコロ機能! パート数や太鼓の種類、ピッチとパンの範囲を決めて CREATE GROUP ボタンを押すと、グループ内のパートをランダムに設定してくれます。ピッチだけをサイコロで決めたいとか、パンの広がりだけをサイコロで決めるなど、必要な要素だけサイコロに頼る使い分けが可能です。
楽器カテゴリー②PERCUSSION(パーカッション)
太鼓の縁(ふち)を叩いた縁打ち、ばち打ち、木魚、金物など。
★Rim Hits (24) ★Bachi Stick Hits (10) ★Temple Blocks (5) ★Canon (3)
これらの楽器を9パートまで同時に読み込めるのが下のグループ画面です。
カテゴリーが変わった事がわかりにくいので赤丸をつけました。PERCUSSIONカテゴリーでは6グループが用意されています。
下の画像のように黒鍵2個に対して1つのグループ、合計6グループが割り当てられています。白鍵を弾けばDRUMSのグループ、黒鍵を弾けばパーカッションのグループといった具合に分かりやすくマッピングされています。TAIKO CREATOR共通動作として、MIDI鍵盤を押すだけでグループの呼び出しが可能なので、エディットしたいグループのMIDI鍵盤を弾けば一発でグループを呼び出し可能です。
PERCUSSIONカテゴリーのコントロール画面はDRUMSカテゴリとほぼ同じですが1カ所だけ違って、DRUM GROUP CREATION SETTING の CREATE RIM SET がアクティブになっています。DRUMSグループに読み込まれている太鼓に対応したリムショットが自動で生成されるのが便利です。
楽器カテゴリー③AUXILIARY(補助楽器)
和太鼓サウンドに面白さと興奮を与えるためにデザインされた74のサンプル/サンプルセットが収録されています。「ビッグブーム」「ディープアトモスフェアー」「メタリックアトモスフェアー」「シンバル」「ボーカル」などを収録。
★Big Booms (8) Deep Atmospheres (8) ★Metallic Atmospheres (8) ★Brushed Cymbals (8) ★Vox (M/F & Group) ★Chappa ★Tingsha ★Gong (2) ★Cymbals (4) ★Tam Tam
これらの楽器を9パートまで同時に読み込めるのが下のグループ画面です。AUXILIARYカテゴリーでは C4からG#4まで と A4からF5まで の2グループが用意され、合計18音色を読み込み可能です。
AUXILIARYカテゴリーのMIDIマップ
AUXILIARYカテゴリーはサンプラー的な使い方ができて、サンプル読み出し開始ポイントを遅らせたり、アタックとリリースの調整のほかリバースまで行えます。ユーザーが用意したwavファイルが読み込めたらもっと便利になるので、バージョンアップ時に対応してくれると嬉しいですね。
135パートの和太鼓隊を作って試聴してみた!
15グループx9パート=135パートをフルに鳴らすとどんな演奏になるのか、実際に135パートの編成を作って試してみました。MIDIデータはTAIKO CREATORのMIDIデータをDAWにドラッグして、2つのMIDIデータをマージして鳴らしています。楽器に近いマイクを上げると全体のリアリティが無くなるので、あえてアンビエンスマイクのボリュームを上げ気味にしました。この最大編成から独奏まで、1パート単位で楽器パートを調整できるのは唯一無二の音源です。
TAIKO CREATOR に搭載された即戦力のMIDIパターン集
現代の音源ソフトに求められるのは、大量の即戦力フレーズとそれを迅速に見つけ出すための優秀なブラウザです。TAIKO CREATORにも様々なコンセプトをもったMIDIライブラリが収録され、各キットのテーマに応じたMIDIフレーズはホストDAWテンポに追従し、半分のテンポ、倍のテンポに設定したりベロシティの強弱も調整可能です。気に入ったらDAWにドラッグ&ドロップして、MIDIデータを本格的にエディットできます。ableton Liveをお使いの方であれば、気になったフレーズをドラッグ&ドロップしてクリップとして管理すれば、楽曲アレンジに活用しやすいです。
そして、更に便利なTAIKO CREATORのMIDIデータ活用裏技もあります! Toontrack Superior Drummer3をお持ちの方であれば、TAIKO CREATORのMIDIデータをDrummer3のGROOVESブラウザでUSER MIDIデータとしてブラウズや検索する事ができるのです。
フレーズの小節数表示と、発音数の多さがIntensityメーターで表示されます。シンプルなフレーズや手数の多い複雑なフレーズをパッと見て判断できるので、フレーズを直感的に選べます。Drummer3プラグインにはMIDIアウト機能があるので、Drummer3からTAIKO CREATORを鳴らすという技が可能なのです。そしてDrummer3の強みである Tap2Find機能が使えてしまいます! この辺りは少々話が脱線しますので、ご興味ある方はこちらの記事でご確認ください。
そして再び TAIKO CREATORメイン画面(GLOBAL)
このプリセットキットには Minato At Midnight(真夜中の港区) という名前が付けられています。太鼓といえば神との対話というイメージが強いですが、シネマティック・サウンドというジャンルがここ15年程度で確立され、日本民族音楽の枠を超えた近代的で重厚な太鼓の轟きは、楽曲のローエンドをアグレッシブに支えて劇判のあらゆるシーンで活躍してくれます。
このGLOBAL画面には主に、前述したグループ全体のミキシングに関わる機能が集約されています。中央に見える4つのスライダーは4ポジションのマイクバランスを調整できるほか、EQ、リバーブ、ドライブやステレオイメージャーも搭載され、ユーザーがイメージするシーンを具現化するための、多彩な音色の引き出しを提供してくれます。
太鼓は低音処理が大切!
クリアなローエンド拡張を可能とするマルチバンド・サブハーモニクス・プラグイン ROOTONE
LEAPWING AUDIO ROOTONE プラグインを使えば、音源のローエンドを自由自在にプッシュできます。特に5.1チャンネルなどサブウーハーが使用される環境では効果絶大!太鼓のサウンドをよりダイナミックに仕上げる事が可能です。
ROOTONE詳細はこちら
TAIKO CREATORの製品ラインナップ
TAIKO CREATOR
プリセットキット10種類、20曲分のMIDIライブラリ収録。プリセットキットとMIDIライブラリを増やすEXPANSIONを後から追加できませんが、自分でフレーズを作りたいという方はこちらで問題ありません。後で音色とMIDIライブラリを増やしたくなるかもという方には TAIKO CREATOR + EXPANSION 1&2 をお勧めします。
TAIKO CREATOR + EXPANSION 1&2
プリセットキット30種類、60曲分のMIDIライブラリ収録。太鼓音色とフレーズの引き出しを多く持っておく事が作家のアドバンテージとなりますので、できればこちらのパッケージをお勧めします。
Writer:IBE
記事内に掲載されている価格は 2021年1月29日 時点での価格となります。
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