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09
Jun.2023
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SCFEDイベのスタジオ探訪記 第2回:サウンド・シティ

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Music is Magic!音楽は魔法だ!

ホームスタジオでの音楽制作がポピュラーになった現在、商用スタジオの価値が見直されています。高価なビンテージ機材、大型スタジオ・コンソール、熟練のエンジニアによる最高のサウンド。そして何よりも、多くのミュージシャンが「スタジオでは特別なマジックが生まれる」と言います。

SCFEDイベが憧れのスタジオを訪問してスタジオの魅力、ハイエンド機材やビンテージ機材の魅力、そしてマジックの正体について解き明かす探訪インタビュー第2回は、サウンド・シティをお送りします!

SCFEDイベのスタジオ探訪記 第2回:サウンド・シティ

interview

麻布台の地で47年間にわたって日本の音楽産業を支え続けている「株式会社サウンド・シティ」。前身である「飛行館スタジオ」時代から数えればその歴史は60年以上!老舗の座に安んじることなく、2022年8月には Dolby Atmos / 360 Reality Audio の両方に対応したイマーシブ・スタジオ「tutumu(ツツム)」をオープン。

サウンド・シティの新たなフラッグシップ・スタジオ tutumu を訪問して、取締役の中澤 智氏(写真右)、レコーディングエンジニアの中山 太陽氏(写真中)、レコーディングエンジニアの秦 正憲氏(写真左)にお話を伺ってきました!

  • 中澤 智 氏:取締役(写真右)
  • 中山 太陽 氏:ミュージックDiv. 課長 レコーディングエンジニア(写真中)
  • 秦 正憲 氏:ミュージックDiv. 部長 チーフエンジニア(写真左)

スタジオで生まれるマジックを求めて

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ーーーサウンド・シティのスタジオの響きが、演者のテンションを上げるという話をよく伺います。

中澤氏:Aスタ、Bスタは響く音を意識したスタジオに作られていて、壁面には大理石のパネルが貼り付けられています。演奏する場所や向きによって響きが変わるので、楽器編成やエンジニアの判断で場所を選びます。オーケストラやストリングスセクションのレコーディングでは、演者の向きが大きく変わることもありますよ。

中山氏:金管楽器の奏者から聞いたのですが、響かないスタジオで演奏すると「しんどい」と。自分の音が響かないから頑張って吹こうとしてしまうらしいんです。狭いブースに入るのもしんどくなるので嫌だ、という話も聞いたことがあります。どんな演者さんも、気持ち良く響き渡る所で演奏したいという希望が根本的にあるのだと思います。

ーーー日本が誇るストリングス音源 Tokyo Scoring Strings の収録は、サウンド・シティのAスタジオが使用されました。DAW環境でTokyo Scoring Stringsを使用した作品と、サウンド・シティで実際にストリングスを演奏した作品に生まれる違いは何でしょうか?

中山氏:楽しい音楽を録音したい時には、演者が楽しい感情を込めて演奏してくれるというのが大きいです。人間の感情をダイレクトに演奏に乗せられるというのは、生演奏ならではだと思います。「この曲は悲しい曲なので、そのニュアンスをお願いします」とディレクターがリクエストすると、それで実際にバイオリニストの演奏が変わるんです。

中澤氏:コミュニケーションを取りながら生まれる、演奏に対する空気感というものはプラグインでは表現できないかなと思っています。打ち込みの弦だとしても、そこに生演奏のプラスアルファを少しでも入れると、音に躍動感が生まれます。

ーーーTokyo Scoring Strings収録で演奏したミュージシャンは、どんな音楽にも対応できる音源を作るために、録音時の感情はニュートラルだったのではないでしょうか。スタジオでのレコーディングは、演者さんの感情移入が特別なマジックを呼ぶという事なんですね!音楽という感情表現の中に、演者の感情がキャプチャされるというのは非常に意味が大きい事ですね。

中山氏:たとえば、誰かが演奏をミスをして皆で笑ってリラックスすると、その後のテイクが明らかに良くなったりします。音楽を楽しんでいるというニュアンスが音に感じられるんです。

ーーーそういった、感情面から生まれるマジックを生み出すために、スタジオが心がけていることはありますか?

中山氏:演奏したいタイミングを逃すようなオペレートをしないということですね。そしてとにかく心地良く演奏できるように、モニターのバランスには特に気を遣っています。

中澤氏:演者に良いバランスでモニターを返すと良い演奏が生まれます。演者からモニターバランスを褒められるとこちらもテンションが上がりますし、良いモニターバランスの中で生まれる曲というのは、実際にミックスのバランスを取りやすいです。

ーーーモニター返しのバランスが、演奏マジックを引き出す大切な要素になっているのですね。そういえばライブ演奏の時でも、モニター返しのバランス次第で、パフォーマンスの良し悪しが左右されますね。

中澤氏:モニター返しのバランスはとても重要です。スタジオに入った時のテンション、そこで生まれるアイディア、演奏への集中、それらが良い作品を生み出すきっかけになっていると思います。

アナログ機材の魅力

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ーーーレコーディングエンジニアから見た、アナログ機材の魅力とは何でしょうか?

秦氏:アナログ機材を通すと音楽的に耳に馴染むとか、ひと膜とれるとか、そういった要素をアナログに求める事が多いです。数値をきっちり決められないアナログの曖昧さが、音楽の聞きやすさにもつながっていると思います。アナログをエミュレートしたプラグインは実機以上に設定を細かく追い込めるメリットがありますが、アナログの挙動を完全には再現できていないので、適材適所でアナログの実機を使っています。

中澤氏:音の入り口、録りの段階では特に、アナログ機材の存在感が大きいです。最初にしっかりしたサウンドを録音しておくことが重要で、ヘッドアンプが生み出す歪みの倍音に、メーカー各社のキャラクターが現れていると思います。

中山氏:欲しい倍音をバランス良く得られるのがヘッドアンプのメリットで、EQとは本質的に異なります。中域の豊かさを求めて単純にEQで中域をブーストすると、不要な帯域まで足されてしまう事が多いです。

私がヘッドアンプに求めているのは音の大きさではなく「音の量」で、量感あるサウンドを引き出すために、いつもゲイン設定のせめぎ合いですね。ゲインでギリギリ歪まない所まで音量を稼いで録音した方が良い音になります。小さいゲインで録音して、後からボリュームを揃えても全然同じ音にはならない。

Dolby Atmos / 360 Reality Audio ハイブリッド対応のイマーシブ・スタジオ「tutumu(ツツム)」

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ーーーtutumuのスピーカー構成は「9.2.5.3」で、Dolby Atmos 9.2.4 を基本に、360 Reality Audio はTop Center x 1、Bottom x3を追加した「9.0.5.3」で出力されるということで、現在 Dolby Atmos と 360 Reality Audioではそれぞれどんな比率でイマーシブ制作がされていますか?

中澤氏:弊社のエンジニアは基本的に360 Reality Audioからイマーシブを始めましたが、現在案件として制作するのは半々といった所でしょうか。

ーーーtutumu(ツツム)というスタジオ名から想像される、体全体を包み込むサウンドというのは実際に可能なのでしょうか?

秦氏:音場の中心(自分)に同じ量のサウンドエネルギーが集まってくれば、それが音に包まれているという感覚になります。実際、音に包まれていると感じるイマーシブ作品は、アナライザーで見てもエネルギーが中心に集まっています。音を全身で浴びているという感覚です。

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ーーーイマーシブミックスは常識が確定していない今だからこそ、色々な実験ができる面白い時期なのではないでしょうか。

中山氏:エンジニアの実力が問われる段階に来ています。2ミックスの時代から、優れたエンジニアは良い耳を持っているので、広がった空間への対応力も高いです。イマーシブというのは逆相成分が発生する “諸刃の剣” のような一面があって、多チャンネルスピーカーで聞くと問題ないミックスなのに、バイノーラルに変換した時に位相がとても悪く聞こえてしまう事があります。

優れたエンジニアのイマーシブミックスはスピーカーでもヘッドホンでもカッコ良くて、結局はエンジニアの感性と耳による判断が大事だなと思います。

秦氏:イマーシブでは個々の音の説得力、完成度がより求められると思います。

コンプやEQで作る音像というよりは、音像そのものが大きくダイナミクスがあることの方が重要で、表現する音場が大きくなればなるほどその効果は顕著に現れます。録音やステレオミックス時から、我々エンジニアが再認識すべきポイントだと思います。

Music is Magic!音楽は魔法だ!

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ーーースタジオでのレコーディングは演者の感情移入が特別なマジックを呼ぶ。モニター返しの良いバランスが演奏のマジックを引き出す。今回の取材で2つのマジックを教えて頂きました、ありがとうございます!最後に皆さんから、サウンド・シティをこんな風に活用して欲しいというメッセージをお願いします。


中澤氏:昨今は映像メディアにイマーシブサウンドが求められつつあるので、映像を含めたイマーシブ音楽制作に、ぜひtutumuを活用して頂きたいですね。スタジオ録音のほか、弊社はポストプロダクション(映像編集、MA)セクションもありますので、映像も絡めたイマーシブコンテンツ制作も可能です。


秦氏:『サウンド・シティでしか得られないモノ』があるので、それをぜひ体感して欲しいと思います。引き続きその魅力を発信していきますのでどうぞご贔屓に。


中山氏:スタジオ録音以外のエディットやミックスなど、音に関することなら何でもお任せください。弊社の「ライブ・レコーディング・サービス」は最大96chのライブ収録を提供するサービスで、サウンド・シティのエンジニアがライブレコーディングを担当します。

ライブハウス、コンサートホール、各種フェス、コンサート会場以外でのイベントなど、マルチ録音に加えて配信Mix業務等も対応可能です。作業内容に応じて最適なプランニングをさせて頂きますので、お気軽にお声がけ下さい。

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■サウンド・シティ Webサイト https://www.soundcity-w.com/

■サウンド・シティ YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@user-qz1nu9ne8r/videos

■サウンド・シティ 公式Vtuber 音街 ひびき https://www.youtube.com/@hibiki_otomachi


Writer:SCFED IBE 2023年5月8日取材

記事内に掲載されている価格は 2023年6月9日 時点での価格となります。

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