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【10】波形の変形によって倍音を増やす方法 〜直接波形を「書く」〜
前回に引き続き、減算ではなく波形の変形によって倍音を増やす方法を解説したい。今回はアナログのシーケンサーで直接波形を「書く」というメソッドだ。
モジュラーシンセには電圧の列を一時的に記憶できるシーケンサーがある。MIDIが出たばかりの頃、電圧の値をデジタイズしてメモリに組み込めることが斬新であり、新しい時代の息吹を感じさせたものだった。ローランドのMCシリーズはテクノポップを可能ならしめた、とさえ論じていいだろう。
さて時代は下って今、このシーケンサーを135BPMではなく、120Hzぐらいで動かしてみる。クロックは他のオシレーターから取るとしよう。毎秒120回シーケンスをかけめぐるため、BPMにすると120 ✕ 60 = 7200BPMに相当する。なんだかハードディスクを連想させる数値だ。ここまで速くなると、個別の電圧の山と谷が耳の中でつながって、シーケンス全体が一つの波形へと変貌する。ツマミをいじることが、そのまま波形を生み出すことになる。
以下、動画を収録したのでご覧いただきたい。
シーケンサーでオシレーターを作る
(画像クリックで再生)
シーケンサーから出る波形を「Waveshaper」などの歪み回路に通すと、ツマミの列を少し動かしただけでも音色が劇的に変わる。その模様はオシロスコープでも確認可能だ。たとえ高速であってもシーケンサーの動く速度が一定していれば、「Silent Way」からオシレーターとしてチューニングし、正確なピッチでメロディーを奏でることができる。
「Serge」のシーケンサーである
「Touch Key Board」
(画像クリックで拡大)
今回は波形の歪み加減をランダム回路で制御した。「Serge」のランダム回路にはいくつもアウトがある。スムーズに変わる電圧、カクカクの階段状に変わる電圧、さらにはランダムなタイミングのパルスをそれぞれ同時に出力する。ランダム・ボルテージには周期性がないので、使いこなすまでには時間がかかる。だが不安定なゆらぎに向き合って、心を開けるようになればきっとおもしろい使い方が見つかるだろう。
「Silent Way」のCV Inputの設定
(画像クリックで拡大)
今回はさらに一歩踏み込んで、モジュラーシンセのランダムな電圧をDAWに取り込んでみた。少々トリッキーだが「Silent Way」のプラグインを2つ組み合わせれば「MIDI -> CV」ではなく、「CV -> MIDI」という風にシグナル・フローを逆流させられる。
「Silent Way」のCV to MIDIの設定
(画像クリックで拡大)
MIDI CCになった情報はDAWのパラメータだけではなく「Massive」のようなVSTにもアサインできる。結果、LFOを使わないランダムなウォブルのパッチが完成した。
今後、モジュラーからDAWに収録したCVを編集してパフォーマンス用のスコアを作ることもできるようになるだろう。新たなアナログの時代は確実にやってきていると思う。
【参考資料】
今回の記事では以下のチュートリアル動画をソースにした。
Why we love the SERGE - Part One
(画像クリックで再生)
☆☆ライブのお知らせ☆☆
5月24日・土曜 西麻布「BULLETS」にてモジュラー・シンセを持ち込んだライブをやります。
詳細はこちらまで
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モーリー・ロバートソン プロフィール
日米双方の教育を受けた後、1981年に東京大学に現役合格。日本語で受験したアメリカ人としてはおそらく初めての合格者。東大に加えてハーバード大学、MIT、スタンフォード大学、UCバークレー、プリンストン大学、エール大学にも同時合格。1988年ハーバード大学を卒業。在学中に作曲家イワン・チェレプニンに師事、モジュラー・シンセを専門的に学んだ。現在はテレビ、ラジオ、講演会などで活躍中。
2014年4月に独自の英語塾「リアル・イングリッシュ」を開催。